低体温時の看護

 

 

「低体温」とは、体温が35℃以下になってしまった状態のことを指します。

 

同じ体温の異常である「高体温」の場合、それ自体で命の危機にさらされることはありません。たしかに高熱が出るのは苦しいですが、それは体が病原菌と戦ってくれているかならのです。

 

しかし、低体温の場合は全く事情が異なります。低体温は、それだけで命に関わる状態なのです。

 

今回は、低体温の患者さんを看護する上でのポイントについて説明していきます。

 

低体温時の看護のポイント

 

低体温時に重要なのは、「なるべく熱を逃がさないようにすること」「熱の産生をサポートすること」の2点です。

 

なお、体温を回復させていく際、いきなり体温を回復させると体にダメージがある場合があります。そのため、1時間に0.5℃〜1℃くらいずつ体温の回復を図っていくことが理想的であるとされています。

 

環境調整、温罨法をおこなう

 

低体温時の看護のポイントは、とにかく全身の保温に努めることです。

 

具体的には、体を温めることで体温の回復を狙います。このとき、体を温めることを「加温」といいます。

 

加温方法は、主に2種類あります。

 

体の表面から加温する「表面加温」と、直接深部温をあげることを目的とした「中心部加温法」です。

 

「表面加温」は、電気毛布やウォームマットで患者さんの体を覆うことです。これにより
、熱がこれ以上体から逃げていくのを防ぎます。

 

「中心部加温法」は、簡単に言うと「体の中から温める」という方法です。私たちも、寒い日に温かいお茶を飲むと体が温まった経験をしたことがあると思います。中心部加温法では、これを人工的におこなっていきます。

 

具体的には、42℃〜46℃に加温・加湿された酸素の吸入や、40℃に加温された輸液の投与などです。これにより、直接的に体温の回復を狙います。

 

なお、「低体温」状態の患者さんすべてに、この2種類の加温方法をおこなっていくわけではありません。患者さんの体温によって、どの方法を選択するかは異なります。

 

体温が32℃〜35℃まで低下している「軽度低体温」の患者さんには、「部屋の温度を上げる」「衣類を着せる」「温かい綿毛布を掛ける」などで保温します。まずは表面加温や環境調整で、体温の回復を狙っていきます。

 

体温がさらに低下し、28℃〜32℃になってしまった「中等度低体温」の患者さんに対しては、電気毛布やストーブ、ウォームマットなどによる保温をおこなっていきます。軽度低体温の患者さんよりも、さらにしっかりとした表面加温をしていきます。

 

体温が28℃以下になってしまった「高度低体温」では、表面加温に加えて中心部加温法も行なっていきます。電気毛布、ウォームマットによる加温のほか、加温された酸素の吸入や加温輸液をしていきます。

 

全身状態のモニタリング

 

また、低体温時には、全身状態のモニタリングも欠かすことができません。なぜなら、低体温はそれだけで生命の危機に直結する状態だからです。

 

低体温の症状が進行していくと、不整脈(心室性)、除呼吸、意識障害などが出現するリスクが高まります。そのため、基本的なバイタルサインのモニタリングをしながら、これら重篤な症状の出現の有無を観察していきましょう。

 

また、低体温時には腎不全も出現するリスクがあるため、水分出納バランスも確認していく必要があります。

 

ここまで低体温の患者さんに対する看護をみてきましたが、重要なポイントは「なるべく熱を逃がさないようにすること」「熱の産生をサポートすること」の2点です。

 

患者さんの加温に努め、バイタルサインのモニタリングをしながら、体温回復のサポートをしていきましょう。

 

 

低体温時の看護 関連ページ

バイタルを制する者は臨床を制する
そもそもバイタルとは何か
体温とは? 体温に影響を及ぼす因子
体温調整の本部は「脳」にある
体温の測定方法と、やってしまいがちなミス
「なぜ」「どのような仕組みで」発熱するのか
発熱はどのような経過をたどるのか
発熱時に見られる、代表的な4つの熱型
発熱時の看護
「うつ熱」の基礎知識
熱放散3つのパターン
うつ熱時の看護
「低体温」とはどのような状態か
「脈拍」とはなにか
脈拍の測定方法と確認すべき5つのポイント
不整脈の考え方
脈拍の異常:脈拍数〜頻脈@〜
脈拍の異常:脈拍数〜頻脈A〜
脈拍の異常:脈拍数〜徐脈〜
脈拍の異常:脈拍のリズム
脈拍の異常:脈拍の大きさ
脈拍の異常:脈拍の立ち上がりの速さ
脈拍の異常:脈拍の緊張度
呼吸とは?
呼吸器系の構造と働き:気道系@
呼吸器系の構造と働き:気道系A
呼吸器系の構造と働き:肺胞系
呼吸器系の構造と働き:肺
呼吸器系の構造と働き:縦隔、胸郭
呼吸の3要素
呼吸中枢の場所と化学受容体の関係
呼吸の測定方法と注意点
肺機能検査:換気機能検査
パルスオキシメーターによるSpO2測定
呼吸の異常:呼吸数、呼吸の深さ
呼吸の異常:呼吸の型、左右差
呼吸の異常:リズム
呼吸困難について
血圧とは?
脈圧ってなに?
血圧の測定方法と注意点@
血圧の測定方法と注意点A
観血的動脈圧モニタでの血圧測定
血圧の異常:高血圧
危険な高血圧
白衣高血圧と仮面高血圧
高血圧 資料
血圧の異常:低血圧
起立性低血圧
意識があるってどんな状態?
「意識」を作り出す脳の仕組み
意識を維持する中枢はどこ?
意識障害はなぜ起こる
失神とは
意識の評価 JCS
意識の評価 GCS
子どもの意識の評価
意識状態による眼球運動の変化
眼球運動@瞳孔のアセスメント
眼球運動A眼位のアセスメント
意識状態悪化時の呼吸
意識状態悪化時 その他のバイタル
あいうえおちっぷす(AIUEOTIPS)

サイトマップ
HOME キャリアの考え方 紹介会社の活用法 お勧め転職サイト