呼吸の異常:呼吸の型

 

まずは、正常な呼吸の型について確認しましょう。
呼吸の型には胸式呼吸と腹式呼吸があり、成人は一般的に両者が入り混じった胸腹式呼吸を行っています。なお、女性は胸式呼吸のほうが多いといわれています。
胸式呼吸にはおもに肋間筋が使われ、腹式呼吸にはおもに横隔膜が使われています。乳児は、肋骨が平行に近い形で走行していることに加え、肋間筋が発達していないため、腹式呼吸です。高齢者も、肋軟骨が硬くなり胸郭が広がりにくくなるため、腹式呼吸になります。
健康な成人は、呼吸運動に伴い胸郭は左右同時に、なおかつ均等に動きます。

 

それでは、呼吸の型の異常について順番に見ていきましょう。

 

呼吸の型の異常

@シーソー呼吸
シーソー呼吸とは、息を吸ったときに胸部が下がって腹部が上がり、息を吐いた時には胸部が上がって腹部が下がる呼吸の型です。胸とおなかとがキーコーバッタンとシーソーのように上下することから、この名前が付きました。
舌根沈下、喉頭浮腫、気道内異物などにより気道閉塞が起きると、シーソー呼吸が起こります。Nsかなむんは、細気管支炎で入院した小児が分泌物多量だった際、この呼吸をみたことがあります。また、このような状態の時には同時に、陥没呼吸が認められることがあります。陥没呼吸とは、吸気時に胸骨の上、鎖骨のくぼみや肋間に陥没がみられることです。

 

A下顎呼吸、鼻翼呼吸、あえぎ呼吸
この3つの呼吸が見られたら大変です。これらの呼吸は、心肺停止前後に見られる「死戦期呼吸」といわれており、心肺蘇生を速やかに行わなくてはいけない状態です。
下顎呼吸は、吸気時に顎を動かして空気を飲み込もうとするような呼吸です。鼻翼呼吸は、吸気時に鼻の穴が広がる呼吸です。あえぎ呼吸は、深く早いテンポで息を吸う状態が数回続いた後、無呼吸になる呼吸です。しゃっくりをしているような動きに似ているためわかりづらいこともありますが、これらの呼吸を見かけたらすぐに心肺蘇生することが必要です。

 

B呼吸の左右差
左右差がみられるということはすなわち、どちらかの肺に空気が入りにくくなっている状態を指します。分泌物や異物により片方の気管支がふさがってしまい無気肺(肺がつぶれた状態)になると、無気肺が起きたほうの肺が膨らまず左右差が生じます。また、気胸や血胸、胸水でも左右差が生じます。


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