体温とは? 体温に影響を及ぼす因子

 

 

医療の現場で働いていると、「バイタルサインの測定」という業務があります。

 

バイタルサインの測定は日常的な業務であるため、多くの人はあまり意識せずに行っているかもしれません。しかし、実はバイタルサインは非常に奥深いのです。正しく測定しアセスメントするためには、豊富な知識と経験が必要になります。

 

今回は、そんなバイタルサインの中でも「体温」に焦点を当ててお話ししていこうと思います。まずは、体温の基礎知識からです。

 

体温の定義

 

体が発している熱のことを「体温」といいます。

 

しかし、一口に「体温」といっても体のどの部分を測っているかによって、数値は大幅に変わってきます。例えば、おでこから発している熱を測るのと、直腸内の熱を測るのでは全然数値が違います。これでは、一体全体どの値を「体温」と呼んでいいのか分かりません。

 

そこで、「体温は人間の深部温度の値とする」と定義づけられました。ここでいう「深部温度」とは、身体の芯の部分の温度のことです。

 

しかしながら、現実的には身体の芯の部分の温度をタイムリーに把握するのは不可能です。そこで臨床現場では、「口腔温」「腋下温」「直腸温」「鼓膜温」などを測ることで、体温としています。

 

人間は「代謝」によって熱を作っている

 

それでは、私たちはどのようにして熱を作り出しているのでしょうか。

 

当然のことながら、何にもないところから熱は発生しません。実は、私たちが日頃せっせと摂取している食物から熱は作られています。正確にいうと、食物の栄養素(糖質、タンパク質、脂質)を代謝することによって、熱は作られているのです。

 

代謝とは、体の中で起こる化学反応のことです。この場合は、摂取した食物が「代謝」と呼ばれる化学反応によって、熱に変身するようなイメージです。

 

人間の正常体温(平熱)

 

次に、人間の正常体温は何度なのか見ていきましょう。

 

結論から言うと、正常体温(平熱)は人によって異なります。

 

ちなみに日本人の平均は36.6℃〜37.2℃と言われています。このデータから見ても分かるように、37℃越えが平熱の人もいるのです。そのため、「37℃を超えた!大変、発熱だ!」と考えるのは安易なことです。

 

体温に影響を及ぼす4つの因子

 

先述したとおり、人間の正常体温には個人差があります。

 

しかし、同じ人であっても一生のうちで常に体温が一定であるわけではありません。その時々に置かれた状態によって、体温は変わってくるのです。

 

ここでは、人間の体温に影響を及ぼす4つの因子について紹介します。ちなみに、今回紹介する因子はあくまで「正常範囲内」のものです。病気などによる体温上昇については除外しています。

 

@年齢差

 

皆さんは赤ちゃんに接したことはありますか? 全力で動き、全力で泣く赤ちゃんは、すぐに汗だくになってしまいます。体を触ってみると、とても熱いです。

 

一方、お年寄りはどうでしょうか。あなたのおじいちゃんやおばあちゃんは、夏でも「冷える」と羽織りものを羽織っていませんか? 体に触れたとき、皮膚はひんやりとした印象を受けると思います。

 

生後120日までの赤ちゃんの平熱は、37℃〜37.5℃です。赤ちゃんは熱をたくさん作り出しているにも関わらず、体温調節機能が未熟です。そのため、熱を体の外にうまく放出できず、体温が高めになってしまうのです。

 

高齢者はその反対で、熱を作り出す量も少なければ、体温調節機能も弱っています。そのため、体温が低いのです。

 

この例からも分かるように、同じ人間でも年齢によって体温は異なるのです。

 

A個人差

 

体温の個人差とは、「同じ人間でも、人によって平熱が違う」ということです。35℃が平熱の人もいれば、37℃が平熱の人もいます。

 

体温の個人差について理解する上で、女性の月経を例に出します。

 

女性は理解しやすいかもしれませんが、月経の前後では体温が変化します。でも、一口に「体温が変化する」とはいっても、その変化が少ないためにほとんど平熱と変わらない人もいれば、変化が大きいために毎回微熱が出てしまう人もいます。

 

これは、人によってホルモンバランスの機能の違いがあるからです。このように、年齢や性別が一緒であっても人によって体温に差が出ることがあります。

 

B日差

 

体温は一日中ずっと同じ値を保っているわけではありません。一日のうちで変動しているのです。

 

一般的に、一日のうちで一番体温が高くなるのは、活動時間帯であるPM3時〜8時です。一方、一番体温が低くなるのは、睡眠中のAM2時〜6時です。睡眠中は代謝が低くなるために、体温もやや低めになるのです。

 

このように体温は一日の中でも変動がありますが、注意すべきことがあります。それは、正常な日差は1℃未満であるということです。

 

一日のうちで日差が1℃以上であると、それは「弛張熱」と呼ばれる病的な状態です。

 

C行動差

 

行動差とは、「どのような行動をしたか」、つまり行動の違いによって体温が上下することです。

 

あなたは、長距離マラソンの後で体が熱くなった経験がないでしょうか。このとき、体温は平常時よりも上昇しています。

 

なぜこのようなことが起こるのかというと、急激に大量の熱を作り出したにも関わらず、熱の放散(体の外に出すこと)が追いついていないためです。

 

このように、同じ人物で同じ時間帯であっても、どのような行動をしたかによって体温に差が生じることがあるのです。

 

ここまで見てきて、「体温」の基礎知識や、体温が変化する因子についてご理解いただけたでしょうか。

 

今回お伝えした内容は、この後「体温」について理解していく上で欠かせない、基礎的な内容になります。

 

「平熱は人によって違う」「同じ人でも、体温は常に一定というわけではない」という2点について、頭に入れておいてください。

 

 

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