呼吸器系の構造と働き:肺
人間が吸った空気が、どのような経路を通って肺胞にまでたどり着くかはわかりましたね。
それでは続いて、気管支や肺胞、そして様々な血管や神経を包み込む、肺についてみていきましょう。
肺の構造
肺は、右肺が3葉(上葉、中葉、下葉)、左肺が2葉(上葉、下葉)に分かれています。それぞれの肺葉は、ここからさらに細かく肺区画に分けられています。
※肺区画(Pulmonary segment):「S」と表記されます。肺区画は、右肺はS1〜S10の10区画、左肺はS1+2〜S10(S7はない)の 8区画あります。
※区域気管支(Segment bronchs):「B」と表記されます。肺区画には、それぞれに担当する気管支が決まっており、その気管支のことを区域気管支といいます。右肺には10個、左肺には8個あります。
肺に、気管支や肺動脈・肺静脈が出入りする部分を肺門といいます。
肺の血管
肺には、2種類の血管が流れています。呼吸機能に関わる血管と、肺に栄養を届ける血管です。
呼吸機能に関わる血管のことを機能血管、栄養を届ける血管のことを栄養血管といいます。
<機能血管>
機能血管には、肺動脈と肺静脈があります。ここで「動脈」と「静脈」について簡単に説明します。よく、動脈は酸素を運ぶもので静脈は不要になった二酸化炭素を運ぶもの・・・・と思われることがありますが、これは全くの誤解です。動脈は、「心臓から出ていく血管」のことを指し、静脈は「心臓に戻る血管」を指します。つまり肺動脈とは、「心臓→肺」に向かう血管のことで、肺静脈とは「肺→心臓」に戻る血管です。どちらが酸素をたっぷり含んでいるかといいますと、そう、肺→心臓ルートである肺静脈ですね。
心臓の右心室から出た肺動脈は、気管支の分岐に沿って走行しており、毛細血管となって肺胞を通り抜けたあとは、肺静脈となって心臓の左心室に戻ってゆきます。
<栄養血管>
栄養血管には、気管支動脈、気管支静脈があります。栄養血管は、肺自身に栄養を送り届けるべく働いてくれます。気管支動脈は、胸部大動脈から分かれて肺門より肺の中に入ります。気管支の分岐に沿って肺の中を進んだ後は、肺の末梢までたどり着き、そして気管支静脈となります。
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