血圧の測定方法と注意点@

 

普段何気なく測定している血圧ですが、みなさんは胸を張って正しい常に血圧を測定できていると断言できますか?救急の現場や、患者さんの急変時には「あ、ちょっとよく聞こえなかったのでもう一回・・・」なんてことは許されないのです。どんなときにも正しい血圧値が測定できるようになるために、まずはこのページでしっかり知識をつけてから実践しましょう。

 

血圧測定3つの方法

まずは、基本となる血圧測定の方法についてです。

 

血圧測定の方法には、主に3つあります。血圧計と聴診器を用いて測定する「聴診法」と、血圧計と指による触診で測定する「触診法」、そして自動血圧計で測定される「脈波法」です。具体的な手順に関しては後ほど説明するので、まずはそれぞれの概要だけご説明します。

 

それでは順にみていきましょう。

 

@聴診法
聴診法とはその名の通り、血圧を耳で「聴いて」測定する方法です。血圧を聴くってなんだかわかりづらいですよね・・・どうして血圧を聴くことができるのでしょうか。血圧測定方法と注意点Aの「血圧測定の手順」のところでも解説していますが、血圧を測るためにはマンシェットを血圧測定部位に巻く必要があります。マンシェットの役割は何かというと、空気を膨らませて血圧測定部位の血流を止めることで、「どれくらいの圧をかければ心臓から送り出された血流の圧(血圧)と釣り合うのか」を把握するためにあります。

 

血流を止めた後、マンシェットの空気を徐々に抜いていくことで、血流が再開していきます。血流が再開したとき、「トン」という血管音が聞こえます。この音が聞こえたら、その時点が「収縮期血圧(最高血圧)」となります。
さらに空気を抜いていくと、「トン、トン、トン」という音から雑音が混じったような「ザーザー」という音になっていき、やがて音はなくなります。音が聞こえなくなったら、その時点が「拡張期血圧(最低血圧)」となります。
このときに聞こえる血管音が、有名な「コロトコフ音」です。

 

A触診法
血圧測定の際、基本的には聴診法が用いられますが、うまく聴診できない場合や、血圧が低下している場合には、触診法が用いられることがあります。
聴診法との違いは、聴診器を使うか、使わないかです。触診法では、聴診器の代わりに自分の指を使います。脈拍測定の時のように、人差し指、中指、薬指をそっと橈骨動脈に当てながら、マンシェットに加圧していきます。脈が触れなくなってからさらに20mmHgほど高くなるまで加圧してから、徐々に空気を抜いていきます。このとき最初に脈を感じた値が、拡張期血圧(最高血圧)となります。なお、触診法の場合、拡張期血圧(最低血圧)を図ることは非常に困難です。また、触診法の場合は、聴診法で測定するよりもやや低い値になります。

 

B脈波法
脈波法は、自動血圧計で測定するときに用いられる測定法です。脈波(血流を波としてとらえたもの)から血圧を求める方法です。

 


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