パルスオキシメーターによるSpO2測定
パルスオキシメーター、皆さんはみたことがありますか?
「ないかも」と思ったあなた。よーく思い返してみてください。パルスオキシメーターとは・・・SpO2を測定するときに指に装着させる、あの機器のことですよ。
ここでまずは、「SpO2」について再確認しましょう。
SpO2とは?
「体の中にちゃんと酸素がいきわたっているか知りたい!」と思うとき、2つの指標からそれを知ることができます。
一つは、PaO2(P=分圧 a=動脈血 O2=酸素) 動脈血酸素分圧
そしてもう一つは、SaO2(S=飽和度 a=動脈血 O2=酸素) 動脈血酸素飽和度
動脈血酸素分圧PaO2とは、簡単に言うと動脈血中の酸素の量のことです。
一方の動脈血酸素飽和度SaO2は、動脈血中の酸素のうちヘモグロビンと結びついているものの量を示しています。
少しわかりづらいですよね。
実は、動脈血中にある酸素が運ばれる方法は、2通りあります。血漿に溶けて運ばれる方法と、ヘモグロビンと結びついて運ばれる方法です。そしてどちらが多いかというと、ヘモグロビンと結びついて運ばれる酸素の方が、圧倒的に多いです。
つまり、ヘモグロビンと結びついている酸素の量(動脈血酸素飽和度SaO2)がわかれば、動脈血中の酸素の量(動脈血酸素分圧PaO2)を知ることができるのです。
なんとなく見えてきましたか?
酸素の量(動脈血酸素分圧PaO2)が多ければ多いほど、ヘモグロビンと結びついている酸素の量(動脈血酸素飽和度SaO2)も多い。その逆も然り。考えてみれば、当たり前ですよね。
PaO2とSaO2の関係を表した図があります。これが、有名な「ヘモグロビン酸素解離曲線」です。
この曲線ではある重要なポイントがあります。それは、「PaO2 60mmHg、SaO2 90%」というポイントです。
なぜこのポイントが重要かというと、このポイントを下回ると、今までなだらかだったカーブがストーンと落ちます。これは、このポイントを下回ると、末梢組織に十分に酸素をいきわたらせることができない、呼吸不全の状態であるということを示しています。
PaO2とSaO2の関係がわかったところで・・・じゃあ、「SpO2」って何でしょうか?
SpO2とは、S=飽和度 p=脈(pluse) O2=酸素 経皮的酸素飽和度
簡単です。
SaO2が動脈血を直接抜き取った値を示しているのに対し、SpO2は経皮的に調べた値を示します。
つまり、動脈血酸素飽和度を調べるために、経皮的に測りましたよ〜ということをアピールしたい場合に「SpO2」という言葉を用いるのであって、本質的にはSaO2と変わりません。
パルスオキシメーターは、どうやってSpO2を測っているの?
指に少し機械を当てただけで、ヘモグロビンと結びついている酸素の量がわかるなんて、すごいですよね。一体どんな仕組みなのでしょう。
パルスオキシメーターを見たことがある人はわかると思いますが、パルスオキシメーターには赤い光がでていますよね。実は、パルスオキシメーターからはもう一つの光が出ているんです。それが、目には見えない赤外線です。
この2つの光を動脈血中に照らしてみると、酸素と結びついたヘモグロビンと、結びついていないヘモグロビンとでは、光の吸収量が変わっています。酸素と結びついたヘモグロビンは赤外線をよく吸収し、酸素と結びついていないヘモグロビンは赤い光をよく吸収するのです。この2つの吸収量の違いを、いろいろと計算すると(臨床では使わないので割愛します)、SpO2を知ることができるのです。
SpO2測定時の注意点
・マニキュアを塗っている爪や色素沈着がおきている爪は、うまく光を通すことができまい。このような場合は、耳で測定する。
・指先の末梢循環が悪いと、機械がうまくデータをひろってくれない。そのような場合は、指先を温める。
・一酸化炭素中毒、ひどい浮腫、血圧が非常に低下しているときも、測定できない。
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