意識状態悪化時 その他のバイタル

 

意識状態が悪化したとき、呼吸状態と眼球運動に特に変化が生じやすいということは、眼球運動の変化意識状態悪化時の呼吸でみてきましたね。

 

このページでは、そのほかのバイタルサインにどのような変化が生じるのか説明していきます。

 

体温の変化

体温を調節している中枢は、間脳(脳幹の一部)の視床下部です。そのため視床下部が障害されると体温に変化が現れます。高熱となってしまうのです。これを「中枢性過高熱」といいます。中枢性過高熱になると体温は40℃近くまで上昇します。これは、末梢血管が収縮して血液が内臓に集まるためです。末梢血管は収縮するので、脈拍は触れにくく、冷たくなります。一方、体幹は熱感があります。
中枢性過高熱は、解熱剤が効きにくいのが特徴です。意識障害を起こしているような重症な患者さんの発熱は、肺炎や尿路感染症などの感染症によるものや、脱水によるものが多いのですが、このように体温調節中枢に障害が起こったことによる発熱もあるので注意しましょう。

 

血圧、脈拍の変化

脳出血、脳腫瘍、脳梗塞などの疾患で意識障害が生じる場合、頭蓋内圧が亢進します。すると、特徴的な脈が出現することがあります。
頭蓋内圧が亢進すると、上昇した頭蓋内圧に負けて脳への血流が減少してしまう恐れがでてきます。それを防ぐために、心臓は一回拍出量を増やすことで、どうにか脳への血流を増やそうとします。すると、収縮期血圧(最高血圧)が高く、拡張期血圧(最低血圧)が低くなり、その差がどんどん大きくなります。つまり、脈圧が大きくなってしまうのです。一方、迷走神経が刺激されて脈拍数は低下します。これを、クッシング現象といいます。

 

ドクンドクンと以上に脈が大きく打っているにも関わらず徐脈だった場合には、クッシング現象を疑いましょう。


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