呼吸困難について
ここまで呼吸数、呼吸の型、呼吸のリズムという視点から呼吸の異常についてみてきました。
呼吸の異常がみられた場合、呼吸困難がともなっている場合があります。日常的にも、臨床においてもよく耳にする呼吸困難という言葉。改めて、医療者として、「呼吸困難」とはなんだか説明できますか?
呼吸困難って何?
「息が苦しい」「空気が入りにくい感じがする」「空気が出にくい」「肺が膨らまない」「酸素が足りない」
・・・この中で、呼吸困難をしめす症状はどれでしょうか?
正解は、全部です。
呼吸困難は、「この症状が出たら呼吸困難!」というものではありません。痛みと同様、感覚的なものなのです。呼吸をする際に生じた苦痛や努力感、不快感などの自覚症状をすべてまとめて「呼吸困難」と表します。
呼吸困難の原因
呼吸困難は、様々な疾患でみられます。代表的なものでは、気胸やぜんそくなどの呼吸器疾患のほか、狭心症などの心疾患、貧血などがあげられます。また、過換気症候群などの精神疾患でも呼吸困難が生じることがあります。
呼吸困難と呼吸不全の違いは?
呼吸困難とは、主観的なものである、ということはわかりましたね。それでは、呼吸困難と呼吸不全の違いは判りますか?
呼吸困難が患者さんの感覚的なものであるのに対し、呼吸不全は何らかの原因により、血液中のガス交換がうまくいっていない状況を指します。臨床的には、動脈血酸素分圧PaO2が60mmHg以下の場合を呼吸不全と定義します。
呼吸困難について 関連ページ
- バイタルを制する
- そもそもバイタルとは?
- 体温とは? 体温に影響を及ぼす因子
- 体温調整中枢はどこ?
- 体温の測定方法と注意点
- 体温の異常:高体温〜発熱〜
- 発熱の経過
- 代表的な4つの熱型
- 熱放散の3パターン
- 発熱時の看護
- 体温の異常:高体温〜うつ熱〜
- うつ熱時の看護
- 体温の異常:低体温
- 低体温時の看護
- 脈拍とは?
- 脈拍の測定方法と注意点
- 不整脈の考え方
- 脈拍の異常:脈拍数〜頻脈@〜
- 脈拍の異常:脈拍数〜頻脈A〜
- 脈拍の異常:脈拍数〜徐脈〜
- 脈拍の異常:脈拍のリズム
- 脈拍の異常:脈拍の大きさ
- 脈拍の異常:脈拍の立ち上がりの速さ
- 脈拍の異常:脈拍の緊張度
- 呼吸とは?
- 呼吸器系の構造と働き:気道系@
- 呼吸器系の構造と働き:気道系A
- 呼吸器系の構造と働き:肺胞系
- 呼吸器系の構造と働き:肺
- 呼吸器系の構造と働き:縦隔、胸郭
- 呼吸の3要素
- 呼吸中枢の場所と化学受容体の関係
- 呼吸の測定方法と注意点
- 肺機能検査:換気機能検査
- パルスオキシメーターによるSpO2測定
- 呼吸の異常:呼吸数、呼吸の深さ
- 呼吸の異常:呼吸の型、左右差
- 呼吸の異常:リズム
- 血圧とは?
- 脈圧ってなに?
- 血圧の測定方法と注意点@
- 血圧の測定方法と注意点A
- 観血的動脈圧モニタでの血圧測定
- 血圧の異常:高血圧
- 危険な高血圧
- 白衣高血圧と仮面高血圧
- 高血圧 資料
- 血圧の異常:低血圧
- 起立性低血圧
- 意識があるってどんな状態?
- 「意識」を作り出す脳の仕組み
- 意識を維持する中枢はどこ?
- 意識障害はなぜ起こる
- 失神とは
- 意識の評価 JCS
- 意識の評価 GCS
- 子どもの意識の評価
- 意識状態による眼球運動の変化
- 眼球運動@瞳孔のアセスメント
- 眼球運動A眼位のアセスメント
- 意識状態悪化時の呼吸
- 意識状態悪化時 その他のバイタル
- あいうえおちっぷす(AIUEOTIPS)