発熱時の看護
発熱の経過のページで、発熱の経過については確認できましたでしょうか。発熱の経過のどの段階にいるかによって、熱の放散と産生のバランスは全く違うということが分かったと思います。そのため発熱時の看護は、「熱が出た!さあ冷やそう!」ではないのです。
それぞれの発熱の経過に合わせた看護を解説します。
上昇期
上昇期は、熱産生>熱放散となっています。
体はどうにか熱を増やそうと、鳥肌が立ち悪寒戦慄でぶるぶる震えている状態です。そのため、発熱の上昇期では、患者さんの熱の放散を防ぐ介入が必要になってきます。
また、発熱上昇期では、末梢血管収縮により手足の温度が下がります(いわゆる「末梢がしまっている」状態)。特に自分の状態を話すことができない小児や意識障害のある患者さんに対しては、高体温であるからすぐに冷罨法を行うのではなく、手足の温度を確認したうえで、その患者さんが発熱の経過のどの段階にいるのかを把握するようにします。
また、免疫力の低下している小児・高齢者や、免疫不全状態にある患者さんの場合、感染による発熱後急速に全身状態が悪化することがあります。そのため、素早くDrレポートを行い、血液検査や抗生剤の投与を検討することが必要です。
<上昇期の看護>
◎環境調整
羽織りものを羽織らせたり、温かい毛布を提供するなどして、患者さんの体を温めます。
◎温罨法
ホットパックなどを用いて温罨法を行います。
極期
極期は、熱産生=熱放散となっています。
ようやく体の中の熱は均衡状態になりました。このため、患者さんの悪寒は落ち着き、逆に暑さを感じるようになります。体温が1℃上昇するごとに脈拍は8〜10回/分増加するため、頻脈になったり頻呼吸になったりといったほかのバイタルサインの変化も出現します。また、食欲不振や倦怠感も増します。
この時期は、患者さんの熱の放散を促す介入が必要になります。
<極期の看護>
◎環境調整
上昇期とは反対に、あまり掛物をかけすぎないようにし、患者さんの熱の放散を促します。
◎冷罨法
氷枕やアイスノン等で、冷罨法を行います。よく頭の下に氷枕を置く人がいますが、実はこれは効果的な冷罨法とは言えません。効果的な冷罨法は、腋窩動脈部(脇の下)、大腿動脈部(鼠蹊部)などの体表近くを走っている太い動脈を冷やすことです。
◎食事の調整
食欲の低下している患者さんに対しては、口当たりのやさしいものを提供する等、食事の形態を変更する必要があります。
解熱期
解熱期は、熱産生<熱放散となっています。
セットポイントが平熱に戻ることにより、大量の発汗や不感蒸泄がみられるようになちます。そのため、この時期は患者さんの熱放散を促す介入をするとともに、脱水を起こしていないかも注意深く観察していく必要があります。
<解熱期の看護>
◎環境調整
掛物をかけすぎず、なるべく薄着にして、熱の放散を促します。また、大量の発汗により衣類がぬれると皮膚が汚れ、汗疹ができることもあります。そのため、患者さんの負担になりすぎない程度にこまめに着替えをさせ、汗をかきやすい部分だけでも清拭することが必要です。
◎冷罨法
◎水分出納バランスの確認
飲水量と尿量の把握を行い、脱水状態になっていないか確認します。飲水を促したり、必要時補液を行うなどして脱水予防に努めます。
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