発熱時の看護

 

 

一口に「発熱」とはいっても、発熱のどの段階にいるかによって、体で起こっていることは全く異なります。つまり、同じ「発熱」の患者さんを看護するときでも、その患者さんが発熱のどの段階にいるかによって、提供する看護ケアが全く違ってくるのです。

 

まず簡単に、発熱の経過を説明します。

 

発熱には、「上昇期」「極期」「解熱期」という3つの段階があります。

 

「上昇期」は、熱を上げるために体がぶるぶると震え、鳥肌が立つような時期です。

 

「極期」では、熱が上がりきって、顔が赤くなり、体がぐったりとします。

 

そして「解熱期」は、汗がどんどん出てきて熱が下がっていく時期です。

 

これを見ただけでも、各時期によって特徴が異なることがわかると思います。

 

発熱の看護は、「氷枕でクーリング!」だけではないのです。その時期に合わせた適切な看護ケアを提供していく必要があります。

 

今回は、発熱の時期に合わせた看護について説明していきます。。

 

上昇期

 

上昇期は、熱がぐいぐいと上がっていく時期です。

 

このとき体の中では、「熱をどんどん作り出す」「熱を逃がさないようにする」という2つのことがおこなわれています。

 

「熱をどんどん作り出す」ために、体はぶるぶると震えます。震えることで熱を作り出そうとしているのです。これを「悪寒」といいます。

 

「熱を逃がさないようにする」ためには、鳥肌が立って、皮膚の血管が収縮します。これにより、少しでも体の中に熱をキープしようとします。

 

発熱時の看護

 

上昇期に何が起こっているのかを知れば、どのような看護ケアを提供すればよいのかイメージがつくと思います。

 

発熱の上昇期では、「患者さんの熱を逃がさないようにする」看護ケアが必要になるのです。

 

「上昇期」の見極め方

 

それでは、受け持ちの患者さんが「上昇期にいる」ということを見極めるにはどうしたらよいのか説明します。

 

まずは、上述した症状が出ていることを確認しましょう。さっきまで元気だった患者さんが、急に「寒い」と言いながらぶるぶる震えだしたら、「もしかして発熱上昇期かな?」と考える必要があります。

 

また、発熱上昇期では、末梢血管収縮により手足の温度が下がります。これを、臨床では「末梢がしまっている」と呼ぶこともあります。

 

特に自分の状態を話すことができない「小児」「意識障害のある患者さん」にとっては、抹消冷感は上昇期にいることの一つの目安になります。そのため、少しでも「熱が上がるかもしれない」と思ったら手足の温度を確認してみましょう。

 

発熱上昇期の看護

 

発熱上昇期は、体が熱を作り出し、逃がさないようにしている時期です。そのため、看護をする上では、なるべく熱を逃がさないような介入をしましょう。

 

<環境調整>

 

羽織りものを羽織らせたり、温かい毛布を提供したりするなどして、患者さんの体を温めましょう。これにより、患者さんの体から熱が逃げていくのを防ぐことができます。

 

<温罨法>

 

ホットパックなどを用いて温罨法を行います。これも、患者さんの体から熱が逃げていくのを防ぐ狙いがあります。

 

<Drレポート>

 

「乳児」「高齢者」「免疫不全状態にある患者」の場合、感染による発熱後、急速に全身状態が悪化することがあります。

 

これは、「予備力がない」「体力がない」「病原菌と戦ってくれる白血球の数が少ない」などの理由により、感染後すぐに菌が体中に回ってしまうことがあるからです。

 

最悪の場合には敗血症になってしまい、命にかかわることもあります。

 

そのため、このようなハイリスクの患者さんが発熱した場合には素早くDrレポートを行い、血液検査や抗生剤の投与を検討することが必要です。

 

極期

 

極期は、熱が上がりきった状態のことです。

 

そもそもなぜ発熱が引き起こされるのかというと、「高体温のほうが病原菌と戦いやすいから」です。そのため、熱が上がりきったことによって、ようやく体は病原菌との戦いを本格化させることができるのです。

 

「発熱」は、私たちが病原菌と戦う上で非常に重要なことです。しかし、患者さんにとって、高熱の状態が続くことは非常につらいものです。

 

つまり、極期は患者さんにとって非常につらい時期となります。

 

極期では、どのようなことが体内で起きているのかみていきましょう。

 

ぶるぶると震えていた悪寒は落ち着き、逆に暑さを感じるようになります。熱のため顔は真っ赤になり、手足も熱を持ち熱くなります。

 

また、体温が1℃上昇するごとに脈拍は8〜10回/分増加するため、頻脈になったり頻呼吸になったりといった、ほかのバイタルサインの変化も出現します。食欲不振や倦怠感も増します。

 

発熱時の看護

 

この時期は、患者さんが少しでも熱を逃がすことができるよう、体を冷やすことが重要です。

 

「極期」の見極め方

 

患者さんが極期にいるかどうかを知るには、まず患者さんの全身状態を見ることが重要です。

 

高熱の患者さんは、ぐったりとしていることが多いです。そのため、「いつもよりも元気がない」「寝てばかりいる」などの変化が見られたら、一度発熱を疑ったほうがよいです。

 

また、活気が落ちていなかったとしても「顔が赤い」「手が熱い」などの症状がみられたら、発熱の極期である可能性があります。

 

発熱極期の看護

 

発熱極期の患者さんの看護をするときには、熱を体の外に逃がしやすくしてあげることが重要です。

 

<環境調整>

 

上昇期とは反対に、あまり布団をかけすぎないようにします。また、風通しの良い服装をさせましょう。

 

<冷罨法>

 

氷枕やアイスノン等で、冷罨法を行います。

 

よく頭の下に氷枕を置く人がいますが、これは効果的な冷罨法とは言えません。効果的な冷罨法は、腋窩動脈部(脇の下)、大腿動脈部(鼠蹊部)などの体表近くを走っている太い動脈を冷やすことです。

 

<食事の調整>

 

食欲の低下している患者さんに対しては、口当たりのやさしいものを提供するなど、食事の形態を変更する必要があります。

 

食欲の低下に伴い脱水のリスクもでてくるため、積極的に飲水、食事摂取を促します。もし難しい場合には、補液も検討しましょう。

 

<解熱剤の投与>

 

解熱剤を飲むことで熱が下がり、発熱に伴う症状が落ち着く場合があります。そのため、患者さんが発熱により「眠れない」「倦怠感が強い」などの症状があるときには、使用を検討します。

 

しかし、中には「あえて解熱剤を使わずに熱型を追いたい」という場合もあるので、担当医に確認したほうが良いこともあります。

 

解熱期

 

解熱期は、文字通り「熱が下がっていく時期」のことです。

 

発熱の原因となった「感染症への罹患」「アレルギー反応」などが落ち着き、体温調節中枢が「平熱に戻せ」という指令を出します。これにより、平熱に戻っていくのです。

 

解熱していく過程では、体が熱を体外に放出させようとします。それにより、大量の発汗や不感蒸泄がみられるようになちます。

 

発熱時の看護

 

そのため、この時期は患者さんの熱放散を促す介入をするとともに、脱水を起こしていないかも注意深く観察していく必要があります。

 

解熱期の見極め方

 

解熱期にある患者さんはみな、大量の発汗がみられます。そのため、今まで熱があった患者さんがたくさんの汗をかいているときには、「もしかしたら熱が下がってきたのかな」と考えることができます。

 

また、解熱期には、「食欲不振」「倦怠感」など、それまでみられていた発熱に伴う症状が落ち着くことも多いです。そのため、活気が上がってくる患者さんも多いです。

 

発熱解熱期の看護

 

発熱解熱期には、引き続き熱を体外に逃がすためのサポートが必要になります。

 

<環境調整>

 

掛物をかけすぎず、なるべく薄着にして、熱の放散を促します。

 

また、大量の発汗により衣類がぬれると皮膚が汚れ、汗疹ができることもあります。そのため、患者さんの負担になりすぎない程度にこまめに着替えをさせ、汗をかきやすい部分だけでも清拭することが必要です。

 

<冷罨法>

 

解熱期に積極的なクーリングは必要ありません。しかし、患者さんが「気持ちいいから」などの理由により氷枕・アイスノンをほしがった場合には、提供するようにしましょう。

 

<水分出納バランスの確認>

 

飲水量と尿量の把握を行い、脱水状態になっていないか確認します。飲水を促したり、必要時補液を行うなどして脱水予防に努めます。

 

このように、一口に「発熱時の看護」とはいっても、発熱のどの時期にいるかによって看護ケアは全然違います。

 

その時々の患者さんの様子を見極めながら、適切な介入をしていきましょう。

 

 

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