脈拍の測定方法と、確認すべき5つのポイント

 

 

脈拍測定は、臨床で看護をする上で日常的におこなわれる業務です。しかし、あなたは正しい脈拍測定をしていると自信をもって言えますか?

 

脈拍を測定することは、ただ数を数えるだけではありません。脈拍測定は、正しく行なうことで心臓の働きや血管の病気も分かってしまうことがあるほど、重要なものなのです。

 

それでは次に脈拍の測定方法についてお話していきます。

 

脈拍測定部位

 

脈拍は、全身のいくつかの動脈で測定することができますが、臨床で日常的に最も多く測定される部位は「橈骨動脈(とうこつどうみゃく)」です。

 

橈骨動脈が蝕知できない場合や、弱い場合には、足の甲にある足背動脈(そくはいどうみゃく)や首にある総頚動脈(そうけいどうみゃく)で測定します。なお、教科書によっては上腕動脈や大腿動脈で測定すると書いてあるものもありますが、臨床ではあまり使われません。

 

それでは詳しくみていきましょう。

 

橈骨動脈(とうこつどうみゃく)

 

橈骨動脈は、最もメジャーな脈拍測定部位です。なぜなら、橈骨動脈の下に骨があるため、軽く触れるだけではっきりと脈拍を感じることができるからです。

 

橈骨動脈の場所は、手首です。もっと詳しく言うと、手関節の親指側に通っています。

 

橈骨動脈に触れる際には、まず患者さんの手掌を上に向けます。そして、示指(ひとさいゆび)と中指の2指、もしくは示指、中指、環指(くすりゆび)の3指をそろえ、そっと触れます。このとき力を加えすぎると、脈拍に触れなくなることもあるため注意が必要です。

 

通常は左右差は認められませんが、大動脈疾患や末梢の血管疾患がある場合には、両側の橈骨動脈を触知して左右差がないか確認します。

 

足背動脈(そくはいどうみゃく)

 

足背動脈は、足の甲にあります。具体的には、足の甲の中央付近を走行しています。

 

足背動脈は、「骨折」「下肢の静脈瘤」「浮腫」などの症状・疾患の際によく測定されます。

 

総頚動脈(そうけいどうみゃく)

 

総頚動脈は、急変時などの末梢動脈が触れにくい場合に必ず測定されます。総頚動脈は、「胸鎖乳突筋」と呼ばれる筋肉の内側にあります。胸鎖乳突筋は、鎖骨と頭蓋骨の耳の後ろをつなぐ筋肉のことです。

 

総頸動脈は、心臓から近い位置にあります。そのため拍動は力強く、健康な人の場合は軽く触れただけでしっかりと認知することができます。

 

脈拍はどれくらいの時間をかけて測定するのが正しいのか?

 

バイタルサインは通常「1分間に○回」という値が目安になります。しかし、臨床の現場で1分間も脈拍を取り続けるというのは非現実的です。

 

そこで通常は、15秒間測定し、それを4倍(15秒×4)することで1分間の脈拍数とします。

 

ただし、「脈拍数が100回/分以上の場合」「60回/分以下の場合」「不整脈が出ている場合」などは、きちんと1分間測定し、正確な値を把握するようにします。

 

脈拍測定時に確認すべき5つのポイント

 

脈拍を測定するときには、ただ脈拍数だけをカウントすればいいという訳ではありません。なぜなら、脈拍に触れることで、循環動態の様々な情報を手に入れることができるからです。

 

そこで今回は、脈拍測定時に確認すべき5つのポイントをお伝えします。5つのポイントを覚え、脈拍測定時に実践することで、より高度なアセスメントをしていきましょう。

 

@ 脈拍数

 

「脈拍数」とは文字通り、脈が何回は駆動したかの回数のことです。

 

成人の正常値は、60〜80回/分です。小児ではこれより多くなり、高齢者では少なくなります。なお、成人でも普段の運動量が多い人は脈拍数が少なくなる場合があります。これをスポーツ心臓と呼びます。

 

A 脈拍のリズム(調律)

 

脈拍測定をするときには、脈拍のリズムにも注意すべき必要があります。正常の場合、脈拍は一定のリズムで「ドキ、ドキ、ドキ……」と刻まれているはずです。

 

脈拍のリズムが一定であるときは、心臓のリズムも一定です。このように、心臓のリズム(調律)が正しくコントロールされている状態のことを「洞調律(どうちょうりつ)」といいます。

 

洞調律の状態では、心臓は「ドキ、ドキ、ドキ……」一定のリズムを刻んでいます。しかし、期外収縮や心房細動などの不整脈が起きているときは、リズムが不整になります。心臓のリズムが乱れるのに伴い、脈拍のリズムも一定ではなくなってしまうのです。

 

B 脈の大きさ

 

脈拍の大きさとは、拍動の振り幅の大きさのことです

 

脈の大きさは、測定うる動脈に触れている指が、どれくらい持ち上げられるかどうかで判断します。

 

脈の大きさは、「脈圧(みゃくあつ)」と呼ばれるものによって決まります。脈圧とは、収縮期血圧(最高血圧)と拡張期血圧(最低血圧)の差のことです。

 

脈圧が大きいと拍動の振り幅が大きくなります。これを「大脈」といいます。逆に、脈圧が小さいと拍動の振り幅が小さくなります。これを「小脈」といいます。

 

C 脈拍の立ち上がりの速さ

 

「脈拍の立ち上がりが速い」状態とは、脈が急に速くなったり遅くなったりすることです。このように脈拍の立ち上がりが速い状態を「速脈(そくみゃく)」といいます。

 

逆に、「脈拍の立ち上がりが遅い」状態とは、脈が速くなったり遅くなったりするスピードがゆっくりであることです。このように脈拍の立ち上がりが遅い状態のことは、「遅脈(ちみゃく)

 

脈拍の立ち上がりの速さをみることで、全身に血液を送り届ける役割をもつ「左心室」の働きを知ることができます。左心室がきちんと収縮しているのかどうかが分かるのです。

 

D 脈拍の緊張度

 

脈拍の緊張度とは、「どのくらいの力を加えたら拍動が触れなくなるか」という度合いのことです。

 

脈拍の緊張度を把握するには、2本の指を使います。まずは、動脈に2本の指を沿わせます。そして、体の中心に近い側の指で動脈を圧迫します。その後、末梢側の指で脈拍に触れることができるかどうかを調べます。

 

動脈を圧迫するのに強い力が必要な場合、「緊張が強い」と言われます。緊張が強い脈のことを、「硬脈(こうみゃく)」といいます。

 

逆に、弱い力で圧迫できてしまうときは、緊張が弱いといわれます。緊張が弱い脈は、「軟脈(なんみゃく)」といいます。

 

このように、脈拍はただ数を数えるだけではありません。丁寧にアセスメントすることで、循環動態に関する多くの情報を得ることができるのです。

 

 

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