呼吸の測定方法と注意点
ここまで、呼吸はどのようなメカニズムに基づいて行われているのかみてきましたね。
それでは、臨床的にどのように呼吸を測定するか説明していきます。
呼吸測定のみるべきポイント
呼吸を測定していくうえで、みるべきいくつかのポイントがあります。それぞれについてみていきましょう。
<呼吸数>
1分間の呼吸回数を呼吸数といいます。安静時、成人の呼吸数は14〜20回/分が平均といわれています。一般に、高齢者では呼吸数が少なくなり、乳幼児では呼吸数が多くなります。
呼吸数は、聴診器で聴診するほか、胸郭の呼吸運動(胸の上下)を観察して測定することができます。呼吸数は、運動やその時の精神状態に左右されやすいため、できるだけ患者さんを安静にした状態で測定します。
<呼吸の型、左右差>
呼吸には胸式呼吸と腹式呼吸があり、成人は一般的に両者が入り混じった胸腹式呼吸を行っています。胸式呼吸にはおもに肋間筋が使われ、腹式呼吸にはおもに横隔膜が使われています。なお乳児は、肋骨が平行に近い形で走行していることに加え、肋間筋が発達していないため、腹式呼吸です。高齢者も、肋軟骨が硬くなり胸郭が広がりにくくなるため、腹式呼吸になります。
健康な成人は、呼吸運動に伴い胸郭は左右同時に、なおかつ均等に動きます。左右差が出た場合は、胸郭に異常があることを示しています。
<呼吸のリズム>
呼吸のリズムとは、呼吸の規則性のことです。正常な呼吸は、規則的に行われ、胸式呼吸と腹式呼吸も同時に行われています。また、吸気時間と呼気時間の比は1:2で、息を吐き出す時間の方が長くなるのが一般的です。
呼吸の測定方法と注意点 関連ページ
- バイタルを制する
- そもそもバイタルとは?
- 体温とは? 体温に影響を及ぼす因子
- 体温調整中枢はどこ?
- 体温の測定方法と注意点
- 体温の異常:高体温〜発熱〜
- 発熱の経過
- 代表的な4つの熱型
- 熱放散の3パターン
- 発熱時の看護
- 体温の異常:高体温〜うつ熱〜
- うつ熱時の看護
- 体温の異常:低体温
- 低体温時の看護
- 脈拍とは?
- 脈拍の測定方法と注意点
- 不整脈の考え方
- 脈拍の異常:脈拍数〜頻脈@〜
- 脈拍の異常:脈拍数〜頻脈A〜
- 脈拍の異常:脈拍数〜徐脈〜
- 脈拍の異常:脈拍のリズム
- 脈拍の異常:脈拍の大きさ
- 脈拍の異常:脈拍の立ち上がりの速さ
- 脈拍の異常:脈拍の緊張度
- 呼吸とは?
- 呼吸器系の構造と働き:気道系@
- 呼吸器系の構造と働き:気道系A
- 呼吸器系の構造と働き:肺胞系
- 呼吸器系の構造と働き:肺
- 呼吸器系の構造と働き:縦隔、胸郭
- 呼吸の3要素
- 呼吸中枢の場所と化学受容体の関係
- 肺機能検査:換気機能検査
- パルスオキシメーターによるSpO2測定
- 呼吸の異常:呼吸数、呼吸の深さ
- 呼吸の異常:呼吸の型、左右差
- 呼吸の異常:リズム
- 呼吸困難について
- 血圧とは?
- 脈圧ってなに?
- 血圧の測定方法と注意点@
- 血圧の測定方法と注意点A
- 観血的動脈圧モニタでの血圧測定
- 血圧の異常:高血圧
- 危険な高血圧
- 白衣高血圧と仮面高血圧
- 高血圧 資料
- 血圧の異常:低血圧
- 起立性低血圧
- 意識があるってどんな状態?
- 「意識」を作り出す脳の仕組み
- 意識を維持する中枢はどこ?
- 意識障害はなぜ起こる
- 失神とは
- 意識の評価 JCS
- 意識の評価 GCS
- 子どもの意識の評価
- 意識状態による眼球運動の変化
- 眼球運動@瞳孔のアセスメント
- 眼球運動A眼位のアセスメント
- 意識状態悪化時の呼吸
- 意識状態悪化時 その他のバイタル
- あいうえおちっぷす(AIUEOTIPS)