意識の評価 JCS

 

 

「意識がある状態」というのは、「覚醒状態が維持されており、覚醒と睡眠が繰り返されている状態」であることは、今まで見てきて分かりましたね。
では臨床で意識状態を測定するときは、どのような方法が用いられるのかご存知ですか?
「なんとなくぼーっとしています」「声をかけるとうっすら目を開けることができます」・・・などの説明でもなんとなーくはその人の意識状態について知ることはできますが、これでは冷静に客観的にその患者さんの状況について、スタッフみんなで共有することはできません。意識状態を客観的にスタッフで共有するためには、指標が必要です。
臨床では、JCS(ジャパン・コーマ・スケール)GCS(グラスゴー・コーマ・スケール)という2つの指標がよく用いられます。
このページでは、JCSについて学んでいきましょう。

 

JCS(Japan Coma Scale : ジャパン・コーマ・スケール)

Comaとは、昏睡状態という意味があります。JCSは、主に日本で用いられている意識レベルを知るための指標です。どの施設でも用いられており、救急隊も主にこのJCSを用いて意識レベルの評価を行っています。

 

JCSは、大きく分けてT〜Vの3つの段階に分類することができます。

 

T.覚醒している
U.刺激すると覚醒するが、刺激をやめると眠り込む
V.刺激しても覚醒しない

 

要は、覚醒するのに刺激がいるかいらないか、というお話です。Tの状態では、何にも刺激しなくても覚醒状態(目覚めている状態)を維持することができます。Uの状態では、刺激をしていれば覚醒状態になることができます。そしてVの状態では、刺激をしても覚醒しません。

 

T.覚醒している

刺激なしで覚醒しているTの状態を細かく見ると、さらに3つに分けることができます。

 

T-1.だいたい意識清明だが、今ひとつはっきりしない
T-2.見当識障害がある
T-3.自分の名前、生年月日が言えない

 

※見当識障害・・・自分自身が置かれている状況を理解する能力(見当識)が障害された状況のこと。ここでのポイントは、「自分自身が置かれた状況がわからない」ということ。季節や日付、時間がわからない「時間の見当識障害」、今いる場所がわからない「場所の見当識障害」、家族や周囲の人がわからない「人物の見当識障害」に分けることができる。

 

簡単に説明すると、T-1は、なんとなくいつもと比べてぼーっとしている状態、T-2は、「ここはどこ?」状態、そしてT-3は「私は誰?」状態であるといえます。

 

U.刺激すると覚醒するが、刺激をやめると眠り込む

Tの状態では、患者さんは刺激しなくても覚醒していられました。Uの状態では、患者さんは刺激しないと覚醒できません。この状態も、3つに分けることができます。

 

U-10.普通の呼びかけで容易に開眼する
U-20.大きな声または体を揺さぶることにより開眼する
U-30.痛み刺激を加えつつ、呼びかけを繰り返すとかろうじて開眼する

 

ここでいう「覚醒」は、もっと簡単に「目を開けることができるか」と考えることができます。つまりUの状態では、刺激を加えると目を開けることができるかが重要になります。

 

また、「刺激」にもいろいろな種類があります。U-10では呼びかけ、U-20ではゆさぶり、U-30では痛み刺激と、患者さんにどうにか目を開けてもらおうと刺激がどんどん強くなっていることがわかります。

 

V.刺激しても覚醒しない

Uの状態では、もっとも強い刺激である痛み刺激を加えれば、患者さんは覚醒(開眼)することができていました。Vの状態では、痛み刺激を加えても患者さんは開眼しません。しかし、一口に覚醒しない状態と言っても、細かく3つに分けることができます。

 

V-100.痛み刺激に対し、払いのけるような動作をする
V-200.痛み刺激で少し手足を動かしたり、顔をしかめる
V-300.痛み刺激に反応しない

 

目は開けないけど払いのけられるのがV-100、全く反応しないのがV-300、その中間であるちょっと顔をしかめるなどの反応がみられるのがV-200です。

 

判断しずらい場合のJCS評価方法

JCS、覚醒(開眼)しているかどうかが重要な評価のポイントとなります。しかし、患者さんによっては開眼しているかどうかだけでは判断しずらい場合があります。それは以下の場合です。

 

R:Restlessness(不穏状態)
I:Incontinence(失禁)
A:Akinetic mutism(無動性無言症)、Apallic state(失外套状態)

 

これらの状態になったときは、数字の下にそれぞれのアルファベットを追加して表記します。たとえば、V-100の人に失禁があった時の評価方法は、V-100-Iとなり、最初のVを省略して100-Iと表記されます。

 

 

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