呼吸器系の構造と働き:気道系A
空気の通り道である気道系には、「上気道」と「下気道」があるとお伝えしましたね。
では次に、下気道の構造と働きについて説明していきます。
下気道の構造と働き
上気道で加温、加湿、異物の除去が行われた空気は、喉頭を気道に入ってきます。
下気道は、上気道で除去しきれなかった細かい塵や微生物を排出する役割をもっています。下気道には、声帯より末梢の、気管、気管支、終末細気管支が含まれています。
<気管>
気管は、喉頭から左右の気管支に枝分かれするまでの部分です。気管の長さはおよそ10〜12cm、直径はおよそ2.0〜2.5cmで、C字型の気管軟骨に囲まれています。ちなみに後ろ側は平滑筋でおおわれています。
気管の前には甲状腺が、後ろには食道があります。
気管の50%以上が狭窄すると、呼吸困難を来すといわれています。
<気管支>
気管から繋がってきた空気の通り道は、胸骨の中央付近で左右に枝分かれし、そこから先が気管支になります。心臓があるため、左の主気管支(主気管支とは、最初に左右に枝分かれした気管支のこと)は、右の主気管支よりも細く、心臓に押されるように角度も急になります。その角度は、左の主気管支が45°、右の主気管支が25°です。そのため、誤嚥した際には、異物は角度の緩やかな右の主気管支に入りやすくなります。
気管から気管支にかけて存在している粘液腺からは、粘液が1日に100ml程分泌され、細かい塵や微生物を捕まえます。また、気管支の粘膜には細かい線毛が生えており、この線毛が粘液を上気道へと向かって運搬しています。上気道まで運ばれてきた粘液は、飲み込まれるか、咳とともに痰として喀出されます。
気管支は、16回枝分かれを繰り返し、気道系の最終地点である終末細気管支へとたどり着きます。
※主気管支から終末細気管支までの道のり
主気管支(約10mm)→肺葉気管支(約7mm)→小気管支(約4〜1mm)→細気管支(約1〜0.5mm)→終末気管支(約0.5mm)
<終末細気管支>
空気の通り道である気道系の最終終着地点が、終末細気管支です。なお、空気の通り道である気道系(上気道、下気道)は、酸素と二酸化炭素の交換は行っていません。
その容量はおよそ150mlであり、解剖学的死腔と呼ばれています。
呼吸器系の構造と働き:気道系A 関連ページ
- バイタルを制する
- そもそもバイタルとは?
- 体温とは? 体温に影響を及ぼす因子
- 体温調整中枢はどこ?
- 体温の測定方法と注意点
- 体温の異常:高体温〜発熱〜
- 発熱の経過
- 代表的な4つの熱型
- 熱放散の3パターン
- 発熱時の看護
- 体温の異常:高体温〜うつ熱〜
- うつ熱時の看護
- 体温の異常:低体温
- 低体温時の看護
- 脈拍とは?
- 脈拍の測定方法と注意点
- 不整脈の考え方
- 脈拍の異常:脈拍数〜頻脈@〜
- 脈拍の異常:脈拍数〜頻脈A〜
- 脈拍の異常:脈拍数〜徐脈〜
- 脈拍の異常:脈拍のリズム
- 脈拍の異常:脈拍の大きさ
- 脈拍の異常:脈拍の立ち上がりの速さ
- 脈拍の異常:脈拍の緊張度
- 呼吸とは?
- 呼吸器系の構造と働き:気道系@
- 呼吸器系の構造と働き:肺胞系
- 呼吸器系の構造と働き:肺
- 呼吸器系の構造と働き:縦隔、胸郭
- 呼吸の3要素
- 呼吸中枢の場所と化学受容体の関係
- 呼吸の測定方法と注意点
- 肺機能検査:換気機能検査
- パルスオキシメーターによるSpO2測定
- 呼吸の異常:呼吸数、呼吸の深さ
- 呼吸の異常:呼吸の型、左右差
- 呼吸の異常:リズム
- 呼吸困難について
- 血圧とは?
- 脈圧ってなに?
- 血圧の測定方法と注意点@
- 血圧の測定方法と注意点A
- 観血的動脈圧モニタでの血圧測定
- 血圧の異常:高血圧
- 危険な高血圧
- 白衣高血圧と仮面高血圧
- 高血圧 資料
- 血圧の異常:低血圧
- 起立性低血圧
- 意識があるってどんな状態?
- 「意識」を作り出す脳の仕組み
- 意識を維持する中枢はどこ?
- 意識障害はなぜ起こる
- 失神とは
- 意識の評価 JCS
- 意識の評価 GCS
- 子どもの意識の評価
- 意識状態による眼球運動の変化
- 眼球運動@瞳孔のアセスメント
- 眼球運動A眼位のアセスメント
- 意識状態悪化時の呼吸
- 意識状態悪化時 その他のバイタル
- あいうえおちっぷす(AIUEOTIPS)