呼吸の異常:リズム
正常な呼吸では、呼吸数、呼吸の深さ(一回換気量)、呼吸のリズムはほぼ一定に繰り返されます。
ここでは、リズムの異常にはどのようなものがあるかみていきましょう。
リズムの異常
@チェーンストークス呼吸
チェーンストークス呼吸では、まず数秒〜数十秒の呼吸停止がみられます。その後、浅ーい呼吸が始まり、徐々に徐々に深い呼吸となった後、再び浅い呼吸に戻ってまた呼吸停止になります。このサイクルを繰り返すのが、チェーンストークス呼吸です。およそ1〜2分でこのサイクルを繰り返すので、最低でも1〜2分観察する必要があります。
健康な人でも、高地で低酸素状態になったときや、乳幼児・高齢者の睡眠中にみられることがあります。
臨床では、脳出血、脳腫瘍、心不全、尿毒症、薬物中毒などでみられます。Nsかなむんは、脳腫瘍のターミナルの患者さんでチェーンストークス呼吸をみたことがあります。かなり特徴的な呼吸だったので明らかにそれとわかりました。
Aビオー呼吸
深い頻呼吸と無呼吸を不規則に繰り返す呼吸です。この呼吸の特徴は、呼吸の深さが不規則であること。また、無呼吸の時間も10〜30秒と不規則です。
脳炎、髄膜炎、脳圧亢進時にみられます。
Bクスマウル呼吸
クスマウル呼吸とは、異常に深い呼吸が規則正しくみられる呼吸のことです。
クスマウル呼吸は、代謝性アシドーシスのときにみられます。糖尿病や尿毒症などでpHが低下し体が酸性に傾くと、体の中では以下のような化学反応式がおこります。
CO2 + H2O ← H2CO3 ← HCO3− + H+
この式は、つまり、腎臓から出すことのできない酸(水素イオンH+)を二酸化炭素CO2という形に変えて、肺から排出させよう、という反応がおきている式です。この状態を肺による代償反応といいます。
そして、肺による代償反応がおきているとき、このクスマウル呼吸がみられるのです。
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