起立性低血圧

 

 

起立性低血圧とは、臥位(寝ころんだ状態)では血圧は問題ないものの、立位や坐位をとったときに低血圧になる病態です。立位や坐位の時、収縮期血圧(最高血圧)が20mmHg以上低下します。
学生時代、全校集会で立っている時にばたーんと倒れてしまったお友達に遭遇したことはないですか?起立性低血圧ではこのように、立位を取り続けることで低血圧になってしまい、いろいろな症状が現れます。

 

起立性低血圧の症状

臥位のときには正常血圧なのですから、症状は何も現れません。臥位から急に立ち上がった時やずっと立位を取り続けた時などに低血圧となり、ふらつきやめまい、易疲労感、動悸、視野のかすみ、失神などがおこります。午前中に出現しやすいのも特徴です。

 

原因

なぜ起立性低血圧の患者さんは、臥位では大丈夫なのに立位や坐位では低血圧になってしまうのでしょうか?
その答えは、体位が変わることで全身の血の巡りが変化することにあります。

 

臥位のとき、心臓から送り出された血液は全身均等に流れてたあと心臓に戻っていきます。しかし、立位や坐位のときは、重力の関係で血液が下半身(腹部や下肢)に溜まりやすくなっているのです。血液が下半身に溜まることで、心臓に戻る血液の量が減ります。その結果、心拍出量(心臓から送り出される血液量)は減少してしまうので、大動脈や頸動脈洞にある血圧をコントロールするセンサーへの刺激も低下します。
健康な人であれば、このような状況になった時点で交感神経が働き、心拍数を増やしたり末梢血管抵抗をふやす(末梢血管を収縮させる)ことで血圧を保ってくれます。
しかし起立性低血圧の患者さんは交感神経がうまく働かないため、血圧は下がったままになってしまい低血圧になってしまうのです。

 

起立性低血圧は、一次性、二次性、薬剤性のの3つの原因でおこります。一次性は、起立性低血圧が主となる病気、二次性は、ほかの病気がきっかけで起立性低血圧になってしまったもの、そして薬剤性は薬が原因で起立性低血圧になってしまったものです。以下にそれぞれの病気の詳細を載せておきます。(スマートフォンの方は画面を横にしてご覧ください)

 

一次性 純粋自律神経機能不全、多臓器の委縮に伴う自律神経失調(シャイ・ドレーガー症候群)、パーキンソン病に伴う自律神経失調
二次性

@加齢
A一般的内科疾患(糖尿病、アミロイドーシス、アルコール中毒、腎不全)
B自己免疫疾患(ギラン・バレー症候群、混合型結合組織病、リウマチ性関節炎、全身性エリテマトーデス)
C中枢神経系の感染(HIV感染、梅毒、シャーガス病)
D中枢性疾患(多発性硬化症、ウェルニッケ脳症、血管病変、腫瘍)
E代謝疾患(ビタミンB12欠乏症、ポリフィリン血症、ファブリー病)
F脊髄疾患
G家族性高ブラジキニン血症

薬剤性 利尿薬、β遮断薬、α遮断薬、アルコール、アンジオテンシン変換酵素阻害薬、抗うつ薬、向精神薬・睡眠薬、血管拡張薬、中枢性に作用する降圧薬、節遮断薬

 

シェロングテスト

難しい機械がなくても、血圧計と聴診器だけで起立性低血圧を診断できる方法があります。それが、「シェロングテスト」です。シェロングテストとは簡単に言うと、患者さんに臥位になってもらった後立ち上がってもらい、臥位の時と立位のときの血圧の変化を調べるテストです。

 

<シェロングテストの方法>
@患者さんに10分間の安静臥床をしてもらう。このときに3回程度、心拍・血圧測定をしておく。
A立ち上がり、10分間立位を保ってもらう。このとき、1分ごとに心拍・血圧を測定する。
B立ちくらみ、ふらつき感、目の前の暗黒感等の起立失調症状を認め、起立時に20mmHg以上の収縮期血圧(最大血圧)低下があれば、起立性低血圧と診断される。

 

このとき注意することは、なるべく静かな落ち着いた環境で行うこと、患者さんとは会話をしないこと、患者さんには何かに寄り掛かったりするのではなくしっかりと立位を取ってもらうことです。検査室にテレビがついていたり、検査者と楽しいお話しなどをしてしまっては患者さんが興奮して心拍数が上がってしまい、正確な検査ができなくなってしまいます。

 

治療法

原因疾患がある場合には、そちらの治療を行うことで次第に軽快していきます。その他の場合には、まずは生活指導(立位をとっていて具合が悪くなったら座る等)を行い、必要に応じて薬物療法が行われます。

 

 

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