脈拍の異常:脈拍数〜頻脈@〜

 

 

脈拍数の異常には、「頻脈」と「徐脈」があります。
まずは、頻脈についてみていきましょう。

 

頻脈

成人で100回/分以上の脈拍数のものを、「頻脈」といいます。頻脈は英語で「Tachycardia」と言い、臨床的には「タキる」と表現されることもあります。頻脈は、日常的には運動したときや、交感神経優位になったとき(緊張しているときなど)にみられます。頻脈がみられる疾患には、発熱、貧血、血圧低下、甲状腺機能亢進症、心不全、ショック(出血性、敗血症性)などがあります。ちなみに、発熱時は、体温が1℃上昇するごとに8〜10回/分程度多くなるといわれています。

 

ここで、頻脈の種類について説明します。頻脈には、代表的なものに「洞性頻拍」「発作性上室性頻拍」があります。どちらも、心臓のリズムは一定(洞調律)の状態で起こる頻脈です。

 

洞性頻拍

<洞性頻拍とは?>
洞性頻拍は、心臓のリズムが一定(洞調律)の状態でおこる頻脈です。洞性頻拍では、「ドッドッドッ」と心臓が大きく強く打っているように自覚されます。強い自覚症状を伴うため、心臓に何かあったのではないか…と不安感を抱く患者さんもいます。
洞性頻拍は、日常的には運動時、緊張時、興奮時にみられますが、これらの場合、時間がたてば自然に落ち着くため問題はありません。しかし、強いストレスに晒されたり緊張状態が持続したりすると、洞性頻拍が長く続いたり、夜になって緊張感から解放された時にドキドキと洞性頻拍が起こる場合もあります。なお、洞性頻脈の場合は、心拍数が120〜130回/分の場合がほとんどであり、それ以上の場合にはほかの不整脈が疑われます。

 

<洞性頻拍を引き起こす疾患>
洞性頻拍を引き起こす疾患には、感染、貧血、甲状腺機能亢進症(バセドウ病)、心臓疾患、呼吸器疾患などがあります。

 

<洞性頻拍の特徴(ほかの頻脈との違い)>
ここで、洞性頻拍の特徴を挙げます。以下に挙げた特徴が洞性頻拍の特徴であり、ほかの頻脈と異なる点となります。
@心電図を取った時に、心拍数の増加以外の波形の変化がみられないこと(心拍数は120〜130回/分程になる)
A心拍数は徐々に上昇していくこと
B血圧は、変わらないか上昇すること

 

<洞性頻拍の治療>
疾患による洞性頻拍の場合では、その原因となる疾患を治療することで洞性頻拍も改善されていきます。精神的なストレスや、緊張状態の持続によって洞性頻拍が続く場合には、患者さん本人が気にならないのであれば特に治療は必要ありません。しかし頻脈の自覚症状が強く、患者さんの不安が強い場合には、投薬が必要になる場合があります。
投薬の種類は、β遮断薬カルシウム拮抗薬抗不安薬です。

 

β遮断薬:交感神経にあるアドレナリン受容体(受容体とは、刺激を受け取る物質のこと)には、「α受容体」と「β受容体」があります。β遮断薬は、このβ受容体に対して効果を発揮する薬です。β受容体は、心臓の拍動数をコントロールしている洞房結節を興奮させ、拍動数を増やす働きがあります。β遮断薬はβ受容体の働きを遮断する作用、すなわち洞房結節の興奮を抑えて拍動数を減少させる作用があります。
カルシウム拮抗薬:まず、「拮抗薬」とは、ある物質の働きを阻害する薬のことを指しています。つまり「カルシウム拮抗薬」とは、カルシウムの働きを阻害する薬のことです。カルシウムにはいろいろな役割がありますが、その中の一つに、心臓や血管を収縮させる作用があります。カルシウムが「カルシウムチャンネル」と呼ばれるカルシウムの通り道を通り、血管内に侵入してくることで、心臓や血管は収縮します。カルシウム拮抗薬は、カルシウムチャンネルの通り道をブロックすることで、カルシウムが血管内に侵入するのを防ぐ薬です。今回の場合では、これにより心臓の収縮をゆるませ、拍動数を減少させます。

 

 

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