脈拍の異常:脈拍数〜頻脈A〜

 

 

先ほどのページで、代表的な頻脈には「洞性頻拍」「発作性上室性頻拍」があり、どちらも共通している点は、心臓が一定のリズム(洞調律)の状態で起こる頻脈であることはわかりましたね。
それでは続いて「発作性上室性頻拍」について説明します。

 

発作性上室性頻拍(PSVT:Paroxysmal Supraventicular Tachycardia )

<発作性上室性頻拍とは?>
発作性上室性頻拍も、先ほど説明した洞性頻脈と同じく心臓のリズムが一定(洞調律)で起こる頻脈の一つです。洞性頻脈との違いは、洞性頻脈が徐々に脈拍数が増加していくのに対し、発作性上室性頻拍は突然、発作的に脈拍数が多くなり、そして突然消失する点です。持続時間は、数秒から数時間と様々です。脈拍数も多く、典型例では140〜180回/分程にもなります。自覚症状が強いため、強い動悸と不安感により救急車を呼ぶ患者さんも多くいますが、命に別条はありません。
動悸:動悸とは、「心臓の拍動を不快感または不安感として自覚する状態」と定義されます。自覚症状としては「ドキドキする」「脈が抜ける、とぶ」「ドキンとする」など様々です。

 

<発作性上室性頻拍発生の機序>
心臓は、「電動ポンプ機能」を持っています。なぜ「電動」という言葉がつくかというと、心臓は自ら電気信号を発することによって、心臓を動かしているからです。実際の心臓で、電気信号を発する役割を持っているのは「洞結節」という場所です。この洞結節から出た電気信号は、心臓の隅々まで一方通行で信号を送り、そして消えていきます。しかし、先天的に異常な電気回路(副伝導路という)があったり、何らかの原因により異常な副伝導路ができたりすると、電気信号がうまく伝わらずにその場でぐるぐると回り続けることがあります。すると、心臓の筋肉は絶え間なくドキドキと動くようにという電気信号を受け続けます。これにより、発作性上室性頻拍が発生します。

 

<発作性上室性頻脈を引き起こす疾患>
発作性上室性頻脈を引き起こす疾患には、WPW症候群、甲状腺機能亢進症などがあります。しかし、心臓に病気のない人にも起こることがあります。
※WPW症候群:生まれつき、心房と心室の間に異常な副伝導路がある病気。これにより、洞結節から出た電気信号がうまく伝わらずに、発作性上室性頻拍が起こる。

 

<発作性上室性頻拍の特徴(ほかの頻脈との違い)>
ここで、発作性上室性頻拍の特徴を挙げます。以下に挙げた特徴が発作性上室性頻拍の特徴であり、ほかの頻脈と異なる点となります。
@心電図をとった時に、一つ一つの波形は正常に近い、規則正しい幅のQRS波が記録される。脈拍数は140〜180回/分程度で、200回前後になることもある
A心拍数は突然、発作的に上昇し、そして突然元に戻る
B動悸が始まった直後に血圧が低下する。ふらつきめまいを感じることもある

 

<発作性上室性頻拍の治療>
誰でもできることとしては、息をこらえる、冷たい水を飲む等を行い、副交感神経を刺激することで発作を止める方法があります。
繰り返し発作がある場合には、抗不整脈薬の定期内服を行います。
それでも、薬剤によるコントロールが困難な場合や、頻脈発作が持続する場合、発作時にめまいや失神を起こす場合などには、「カテーテルアブレーション治療」が行われます。
カテーテルアブレーション治療:アブレーション(ablation)には、「取り除くこと、切除すること」という意味があります。つまりカテーテルアブレーション治療とは、カテーテルを使ってアブレーション(取り除く)する治療のことです。具体的には、カテーテルを太ももの付け根にある太い血管(大腿動脈か大腿静脈)に挿入し、カテーテル先端を心臓に到達させ、そしてカテーテルの先から高周波電流を流すことで副伝導路を焼き、取り除きます。手術時間は3〜6時間で、成功率は9割です。

 

 

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