「うつ熱」の基礎知識

 

 

「うつ熱」はあまり聞きなれない言葉かもしれませんが、実は私たちが身近でよく遭遇する体温の異常です。今回は、「うつ熱」についての基礎知識について説明していきます。

 

その前に、まずは「体温の異常とはなにか」について簡単に復習していきましょう。

 

「うつ熱」は「高体温」の一種

 

私たち人間は通常、体温が一定に保たれています。それにより、私たちは元気に活動することができているのです。

 

しかし、何か異常が起こったとき、体温が高くなりすぎたり低くなりすぎたりすることがあります。

 

体温が高くなりすぎてしまうことを「高体温」、低くなりすぎてしまうことを「低体温」といいます。これは、どちらも「体温が異常」である状態です。

 

今回お話しする「うつ熱」は、「高体温」という異常体温の一つです。

 

「高体温」には、「発熱」と「うつ熱」という2種類があり、それぞれ原因が異なるのです。

 

それでは、「うつ熱」の話に戻ります。

 

うつ熱とは何か

 

先述したように、「高体温」には2種類あります。それが、「発熱」と「うつ熱」です。

 

「発熱」と「うつ熱」は、それぞれ原因が異なります。

 

発熱は、「感染症」「アレルギー反応」「悪性腫瘍」などが原因によって起こります。これらの原因を排除して体を健康な状態に戻すために、体が熱を出して戦うのです。

 

つまり、発熱の場合は、体が指令を出してあえて「発熱」という状態を起こしているのです。体自身が命令しているという意味において、発熱は「内的因子」が原因であるといわれます。

 

しかし、うつ熱の原因は病気によるものではありません。「周辺環境の異常な暑さ」など、「外的因子」と呼ばれるものが原因となっています。

 

普段私たちの周辺環境は、体温よりも低いです。体温より周囲の気温が低ければ、熱を体の外に逃がしやすいので、平熱を維持することができます。

 

しかし、気温が38℃、39℃……と体温よりも高くなってしまった場合、熱が体の外に逃げにくくなってしまいます。その結果、熱が体内にこもります。

 

また、激しい運動などによって、熱を体外に逃がしきれないほどに熱が産生されてしまった場合も同様で、熱が体内にこもってしまいます。

 

このように熱がこもってしまった状態のことを、「うつ熱」といいます。身近な例でいうと、「熱射病」がこれに当たります。

 

体温調整中枢が未熟な乳幼児や、発汗調整がうまくいかなくなる麻痺のある患者さんは、特にうつ熱になりやすいため注意が必要です。

 

うつ熱の症状

 

うつ熱の主な症状は「熱が出ること」です。

 

「感冒症状もなく、さっきまで元気だった人が急に熱を出している」といった場合には、患者さんの周辺環境をよく見る必要があります。

 

そして、「高温多湿」「掛け物のかけ過ぎ」「衣類の着込みすぎ」など熱がこもりやすいような状況が見受けられた場合には、うつ熱を疑って対応していく必要があります。

 

うつ熱は、特殊な状況でのみ起こるのではありません。

 

臨床の場においても、「最初に体温測定したときは38℃だったけれども、掛け物を取って薄着にさせたら平熱に戻った」ということは頻繁に起こります。

 

「何の症状もない熱はうつ熱かもしれない」と疑い、対応していきましょう。

 

 

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