発熱はどのような経過を辿るのか
ここで、発熱が起こった時、どのような経過を辿るのか確認しましょう。
発熱の経過は、大きく3つの時期に分けて考えることができます。
@上昇期
上昇期とはその名の通り、何らかの原因(感染等)により体温がぐいぐいと上昇していく時期のことです。
体温調整中枢である視床下部では、いつも体温を一定に保つべく「セットポイント」が設定されています。元気な時の私たちのセットポイントは、平熱である37℃前後で設定されています。しかしこの上昇期では、何らかの原因を排除すべく、セットポイントが38〜39℃(その時によって異なります。必ずしも38〜39度とは限りません)に設定されるため、このセットポイントに到達しようと体が活動を開始するのです。
まずは熱放散を抑制するため、皮膚の血管が収縮したり、鳥肌が立ったりします。同時に熱産生を促すべく、体の震え等が起こります。患者さんは、このとき悪寒を感じます。
この時点では、熱の産生>熱の放散となりますます。
また、この上昇期においては、頭痛、倦怠感、関節痛などの症状も伴うことがあります。
A極期
極期は、体温がセットポイントに達した時期のことです。
セットポイントに到達することができたため、体は必要以上に熱を作り出す必要がなくなります。熱の産生=熱の放散と、体内の熱バランスがようやく均衡になるのです。
この時期は、必要以上に熱を作り出さなくてよくなるため、鳥肌、体の震え等の症状は消失します。その代わりに、顔面の紅潮がみられたり、倦怠感、食欲不振を感じます。
B解熱期
何らかの原因(感染等)が取り除かれると、体温調整中枢である視床下部は、セットポイントを平熱に戻します。それにより、体はどうにか熱を放散させて平熱に戻ろうとします。この時点で、熱の産生<熱の放散となります。
解熱期には熱の放散が急激に促進されるため、大量の発汗がみられます。
発熱の経過 関連ページ
- バイタルを制する
- そもそもバイタルとは?
- 体温とは? 体温に影響を及ぼす因子
- 体温調整中枢はどこ?
- 体温の測定方法と注意点
- 体温の異常:高体温〜発熱〜
- 代表的な4つの熱型
- 熱放散の3パターン
- 発熱時の看護
- 体温の異常:高体温〜うつ熱〜
- うつ熱時の看護
- 体温の異常:低体温
- 低体温時の看護
- 脈拍とは?
- 脈拍の測定方法と注意点
- 不整脈の考え方
- 脈拍の異常:脈拍数〜頻脈@〜
- 脈拍の異常:脈拍数〜頻脈A〜
- 脈拍の異常:脈拍数〜徐脈〜
- 脈拍の異常:脈拍のリズム
- 脈拍の異常:脈拍の大きさ
- 脈拍の異常:脈拍の立ち上がりの速さ
- 脈拍の異常:脈拍の緊張度
- 呼吸とは?
- 呼吸器系の構造と働き:気道系@
- 呼吸器系の構造と働き:気道系A
- 呼吸器系の構造と働き:肺胞系
- 呼吸器系の構造と働き:肺
- 呼吸器系の構造と働き:縦隔、胸郭
- 呼吸の3要素
- 呼吸中枢の場所と化学受容体の関係
- 呼吸の測定方法と注意点
- 肺機能検査:換気機能検査
- パルスオキシメーターによるSpO2測定
- 呼吸の異常:呼吸数、呼吸の深さ
- 呼吸の異常:呼吸の型、左右差
- 呼吸の異常:リズム
- 呼吸困難について
- 血圧とは?
- 脈圧ってなに?
- 血圧の測定方法と注意点@
- 血圧の測定方法と注意点A
- 観血的動脈圧モニタでの血圧測定
- 血圧の異常:高血圧
- 危険な高血圧
- 白衣高血圧と仮面高血圧
- 高血圧 資料
- 血圧の異常:低血圧
- 起立性低血圧
- 意識があるってどんな状態?
- 「意識」を作り出す脳の仕組み
- 意識を維持する中枢はどこ?
- 意識障害はなぜ起こる
- 失神とは
- 意識の評価 JCS
- 意識の評価 GCS
- 子どもの意識の評価
- 意識状態による眼球運動の変化
- 眼球運動@瞳孔のアセスメント
- 眼球運動A眼位のアセスメント
- 意識状態悪化時の呼吸
- 意識状態悪化時 その他のバイタル
- あいうえおちっぷす(AIUEOTIPS)