危険な高血圧

 

血圧の異常:高血圧では、高血圧には本態性高血圧と二次性高血圧があるというお話をしました。病気がきっかけで高血圧になってしまう二次性高血圧に対して、本態性高血圧は原因不明の高血圧でしたね。
いずれにせよ、ただ高血圧なだけでは緊急性は高くありません。高血圧は、じっくりじわじわと体にダメージが与えられるから怖いのです。しかし、高血圧の中で緊急度の高いものがあります。それは、「高血圧緊急症」です。

 

高血圧緊急症

高血圧緊急症とは、その名の通り緊急で治療を開始しなければ危険な高血圧のことです。著しい血圧上昇のため、すぐに降圧治療を開始しなければ脳や心臓、腎臓、大動脈などに重篤な障害を引き起こします。著しい血圧上昇・・・とはどのくらいのことをいうのかというと、拡張期血圧(最低血圧)が130mmHg以上の場合です。最高血圧ではなくて、最低血圧がこの数値です。正常な拡張期血圧は80mmHg程度なので、これは大変高い数値であるとすぐにわかると思います。

 

よく似た病態に「高血圧切迫症」というものがあります。これは、高血圧緊急症とは違って脳や心臓、腎臓、大動脈などに障害を伴わない高血圧のことです。高血圧切迫症ではもちろん治療は必要になります。しかし、急性合併症は起きにくいため、速やかに降圧させる必要はありません。

 

<高血圧緊急症の診断基準>
以下の4項目中、2項目以上あれば診断が確立します。
@拡張期血圧(最低血圧)が130mmHg以上
A眼底うっ血乳頭
B腎機能が進行性に悪化
C意識障害、頭痛、悪心、嘔吐、局所神経症状

 

<高血圧緊急症が引き起こす障害>
高血圧緊急症が進行すると、以下のような障害が起こります。これらは急速に進行してしまうため、しばしば致死的です。

 

高血圧性脳症、子癇、肺水腫を伴う急性心室不全、心筋虚血、急性大動脈解離、腎不全 等

 

<治療>
高血圧緊急症の状態が持続すると障害がどんどん悪化してしまうため、速やかな降圧が必要となります。血圧は、短時間作用型の、調整可能な静注薬が用いられます。しかし、急激な降圧や血圧の下げ過ぎは、脳などの血流を低下させてしまうため、好ましくありません。拡張期血圧を100〜110mmHg程度にするのが治療の目標となります。


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