呼吸の異常:呼吸数、呼吸の深さ
異常値についてみていく前に、呼吸数の正常値はわかりますか?
成人における呼吸数の正常値は14〜20回程度です。
ちなみに、吸気時間と呼気時間の比は1:2です。自分の呼吸を感じてみても分かるように、人は、息を吸うよりも吐きだす時間のほうが長いのですね。
それでは呼吸数と呼吸の深さの異常についてみていきましょう。
呼吸数の異常
@頻呼吸
呼吸数が24回/分以上の場合を頻呼吸といいます。いわゆるハカハカしているような状態です。
この時、呼吸は浅くなる(一回換気量が減る)ことがほとんどです。
さまざまな呼吸疾患でみられるほか、緊張や興奮などの心理的な状態の変化によっても起こります。
A除呼吸
呼吸数が12回/分以下の場合を除呼吸といいます。車をゆっくり運転するときに「徐行」という言葉が使われるように、「除」にはゆっくり、という意味があります。つまり除呼吸とは「ゆっくりした呼吸」のことです。
呼吸は深くなる(一回換気量が増加する)ことが多いです。
脳圧亢進時、麻酔時にみられます。
B無呼吸
無呼吸とは、鼻・口からの気流が10秒以上停止する状態と定義されます。つまり、呼吸が10秒以上止まってしまう状態です。無呼吸では、安静呼気位(普通の呼吸で息を吐ききったとき)の状態で呼吸が止まります。
有名な疾患が、睡眠時無呼吸症候群です。
呼吸の深さの異常
@過呼吸
過呼吸とは、呼吸が深くなった(一回換気量が増えた)状態です。いわゆる深呼吸のような呼吸です。
過呼吸の状態が続くと、必要以上に換気をしてしまうことで体の中に酸素が増えすぎてしまい、その結果二酸化炭素が減りすぎて体がアルカリ性になり、息苦しくなります。程度がひどくなると「過呼吸症候群」と言われます。
陸上や水泳などのスポーツの後に見られることが多いです。
一般的に「過呼吸」というと、過換気症候群と混合されがちな用語ですが、過換気症候群はその原因が精神的なものであるという点が過呼吸(過呼吸症候群)と異なります。
A低呼吸
低呼吸とは、呼吸が浅くなった(一回換気量が減った)状態です。睡眠中などにみられます。
呼吸数・呼吸の深さの異常
@多呼吸
呼吸数も呼吸の深さも増えてしまった状態です。大きな呼吸でハカハカします。
過呼吸症候群や、肺血栓塞栓症などでみられます。
また、健康な人でも運動をした後などでみられます。
A少呼吸
呼吸数も呼吸の深さも減ってしまった状態です。
亡くなる前の呼吸などがこれにあたります。
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