代表的な4つの熱型
発熱の経過については把握できましたでしょうか。一般的には先ほど説明した発熱の経過を辿りますが、疾患によっては特徴的な発熱の経過を辿ることがあります。
それではこれから、代表的な4つの熱型を見ていきましょう。
稽留(けいりゅう)熱
定義:日内変動が1℃以内の高熱が持続する場合
疾患:肺炎、化膿性髄膜炎、腸チフス等
稽留熱がほかの熱型と異なる点は、一日中ずっと高熱が持続しており、日内変動が1℃以内である点です。
ちなみに「稽留」とは、「とどまること」という意味です。熱が高い状態でずっととどまっているということですね。
弛張(しちょう)熱
定義:日内変動が1℃以上あるが、一番低い時でも平熱にはならない場合(37℃以下にはならない場合)
疾患:敗血症、化膿性疾患、悪性腫瘍、ウイルス感染症
弛張熱の特徴は、日内変動は1℃以上あるものの、平熱にはならないということです。
ちなみに「弛張」とは、「ゆるむことと、はること」という意味です。熱が上がったり下がったりする様を表しています。
間歇(かんけつ)熱
定義:日内変動が1℃以上あるが、低い時には平熱になる場合。高熱と平熱が交互に現れる熱型。
疾患:胆道感染症、マラリア
間歇熱は、次に説明する「波状熱」と区別がつきにくいですが、違いは平熱が続いたと思えばぽーんと高熱が出て、下がったと思えばまたぽーんと上がって・・・・というように、高熱と平熱が一定期間を置いて交代で現れる点です。
波状熱
定義:有熱期と無熱期を不規則に繰り返す場合
疾患:ホジキン病、ブルセラ病
※ホジキン病…悪性リンパ腫の種類の一つ
※ブルセラ病…細菌感染によって起こる、人獣共通感染症
波状熱は、熱のある時期と熱のない時期が、不規則に、そして数か月にわたって交互に繰り返されるのが特徴です。
熱型は、患者さんからの問診や、継続的に体温をモニタリングしていくことで把握することができます。
どのような熱型であるかによって疾患の目安つく場合もあるため、熱型の把握は非常に重要です。
熱型を把握するために、解熱剤をなるべく使わずに発熱の経過を追っていくこともあります。
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