発熱時にみられる、代表的な4つの熱型

 

 

あなたは臨床で高体温の患者さんの体温を測るとき、なぜ1日に数回測っているか分かりますか?

 

その理由は、熱がどのように推移していくか知りたいからです。ちなみに、「熱がどのように推移していくか」について経時的に追ったものを、「熱型」といいます。

 

実は疾患によって、熱型は異なります。

 

疾患によって、「ずっと高熱が持続する」「高熱と平熱を繰り返す」などと特徴があるので、熱型を知ることによって病気を診断する手助けになるのです。

 

熱型を把握するために、解熱剤をなるべく使わずに発熱の経過を追っていくことさえあります。

 

このことを知っているのと知らないのとでは、体温を測定する上での心構えも異なってきます。あなたが日々測っている体温は、それだけで疾患名を診断できてしまうほど、重要な情報の一つなのです。

 

それではこれから、代表的な4つの熱型を見ていきましょう。

 

稽留(けいりゅう)熱

 

稽留(けいりゅう)熱は、「日内変動が1℃以内の高熱が持続する熱型」と定義されています。

 

簡単に言うと、朝から晩まで、ずっと発熱が続いている状態のことです。

 

さらに稽留(けいりゅう)熱の場合、熱の変化は1℃以内です。38℃、38.8℃、38.5℃……と高熱が持続し、「急に36.5℃になった」ということはありません。

 

稽留(けいりゅう)熱を引き起こす疾患には、「肺炎」「化膿性髄膜炎」「腸チフス」などが挙げられます。

 

ちなみに「稽留(けいりゅう)」とは、「とどまること」という意味です。熱が高い状態でずっととどまっているという意味の言葉です。

 

発熱時に見られる、代表的な4つの熱型

 

弛張(しちょう)熱

 

弛張(しちょう)熱は、「日内変動が1℃以上あるが、一番低い時でも平熱にはならない熱型」と定義されています。

 

つまり、1日の中で37.5℃になったり39℃になったりと「1℃以上の差」はあるけれども、常に発熱している状態のことです。一番低いときでも、37℃以下にはなりません。

 

弛張熱は、「敗血症」「化膿性疾患」「悪性腫瘍」「ウイルス感染症」などでみられます。

 

ちなみに「弛張」とは、「ゆるむことと、はること」という意味です。熱が上がったり下がったりする様を表しています。

 

発熱時に見られる、代表的な4つの熱型

 

間歇(かんけつ)熱

 

間歇(かんけつ)熱は、「日内変動が1℃以上あるが、低い時には平熱になる熱型」と定義されています。

 

間歇熱の場合には、高熱と平熱が交互に現れます。

 

しばらく平熱が続いたかと思ったからいきなり高熱が出て、また下がったと思えば高熱が出る……というように、間歇熱の場合は、高熱と平熱が一定期間をおいて交互に現われます。

 

間歇熱が見られる疾患には、「胆道感染症」「マラリア」などがあります。

 

発熱時に見られる、代表的な4つの熱型

波状熱

 

波状熱は、「有熱期と無熱期を不規則に繰り返す熱型」と定義されています。

 

波状熱の場合、熱のある時期と熱のない時期が、不規則に、そして数か月にわたって交互に繰り返されるのが特徴です。

 

「発熱と平熱を繰り返す」という点では先述した「間歇熱」と似ています。しかし異なるのは「数か月にわたって交互に繰り返す」という点です。

 

数か月の間発熱と平熱を繰り返すようであれば、波状熱を引き起こす疾患に罹患していると考えたほうがよいでしょう。

 

波状熱を引き起こす疾患には、「ホジキン病」「ブルセラ病」などがあります。

 

ちなみに、ホジキン病とは、悪性リンパ腫のことです。ブルセラ病は、細菌感染によって起こる、人獣共通感染症です。

 

発熱時に見られる、代表的な4つの熱型

 

このように熱型は、それぞれの原因疾患により、特徴的な波形を描きます。

 

熱型を把握するには、患者さんからの問診の他、継続的に体温をモニタリングしていくことが必要不可欠です。

 

体温測定の際、ただやみくもに測定するのではなく、「この患者さんの熱型は何だろう」と意識しながら測っていくようにしましょう。それだけで、アセスメント能力の向上に結びつきます。

 

 

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