脈圧ってなに?

 

「脈圧」とはなにかを説明する前に、血圧とは?に出てきた、収縮期血圧と拡張期血圧についての知識が必要です。

 

もう一度、簡単に振り返りましょう。
心臓がぎゅっと縮こまって(収縮して)血液を送り出したときに動脈に加わる圧力を、収縮期血圧(最大血圧)
そして、心臓が広がって(拡張して)血液をため込むときの動脈に加わる圧力を、拡張期血圧(最低血圧)というのでしたね。

 

脈圧とは、この収縮期血圧と拡張期血圧の差のことなのです。

 

血圧を測定し、収縮期血圧(最大血圧)と拡張期血圧(最小血圧)の値をそれぞれ把握することはもちろん大切です。しかし、一歩進んでその差はどのくらいか・・・つまり脈圧はどれくらいかを知ることは、循環動態をアセスメントするうえで非常に重要になってきます。

 

脈圧の平均値は、40〜50mmHgです。つまり、収縮期血圧と拡張期血圧の間は40〜50mmHg空いていれば問題ない状態なのです。

 

脈圧が大きい時ってどんなとき?

それでは、脈圧が40〜50mmHgを超えてしまった場合とはどんなときなのか考えていきましょう。
血圧は、心臓と血管という2つの因子によって決まるのでしたね。つまり、脈圧が大きいということは、この2つの因子のどちらか、もしくはその両方が、平常時とは違う働きをしているときなのです。

 

@心臓(1回拍出量)の変化
脈圧が大きい時、1回拍出量は増加しています。つまり、1回に送り出す血液の量が増えているのです。
具体的にどのような時に1回拍出量が増加するのかといいますと、運動時、甲状腺機能亢進症、貧血の場合などです。

 

A血管(大きな血管)の変化
大きな血管の弾力性は低下・・・すなわち、血管が硬くなり、抵抗が大きくなると、脈圧が大きくなります。大きな血管が硬くなると、それだけ心臓はぎゅっぎゅと必死に血液を送り出さなくてはなりません。すなわち、収縮期血圧(最大血圧)は上昇します。収縮期血圧が上昇すると、反射的に末梢血管をひらくような反応がおこります。これにより末梢の抵抗が減り、拡張期血圧はむしろ低下します。それにより脈圧が大きくなるのです。
大動脈が広範囲に動脈硬化を起こしてしまっている場合などにおこります。

 

脈圧が小さい時ってどんなとき?

では逆に、脈圧が小さいときは、どのようなときなのでしょうか。

 

臨床的によくみられるのは、末梢血管抵抗の変化により、脈圧が小さくなる場合です。末梢血管抵抗が大きくなる・・・すなわち末梢血管が硬くなることで、収縮期血圧も拡張期血圧も上昇し、拡張期血圧のほうがより上昇するために脈圧が小さくなります。
本態性高血圧(原因不明の高血圧。高血圧患者全体の90%を占めている)などでみられます。


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