意識を維持する中枢はどこ?

 

意識を作り出す脳の仕組みのページでは、脳は、大きく分けて大脳、小脳、脳幹があり、それぞれが役割を担っているということをご説明しました。
大脳は高度な知的活動をするための拠点、小脳は体の平衡感覚を整える拠点、そして脳幹は生きていくために必要な調節を自動で行う拠点でしたね。

 

ここで、「意識」とはなにかについて簡単に復習しましょう。意識とは、覚醒状態が維持されている状態のことでした。「覚醒状態が維持」されているとき、私たちは見たり聞いたり話したり、考えたり・・・という高度な知的活動を行うことができます。高度な知的活動をする拠点はどこでしたか?そう、大脳ですね。

 

つまり、覚醒状態は、「大脳(大脳の中でも特に大脳皮質と呼ばれる、大脳の皮の部分)の活動が高い水準で保たれている」状態であるということができます。

 

意識がある状態とは、大脳の活動が高い水準で保たれている状態である、ということはわかりました。
では、意識がある状態をずーっと維持していくために必要なのは、脳のどこの部分かご存知ですか?

 

「意識がある状態」を維持するために

「意識がある状態」すなわち大脳の活動を高い水準でずーっと保っていくために必要なのは、脳幹です。詳しく言うと、脳幹の中でも特に網様体と呼ばれる部分です。

 

網様体は、脳幹の中心部にあります。
全身から集まってきた信号が網様体を刺激し、網様体がその刺激を大脳に伝えることで、大脳は活動を高い水準で保つことができています。
※これを、難しい言葉で上行性網様体賦活系(じょうこうせいもうようたいふかつけい)といいます。

 

実は、網様体にはもう一つ役割があります。それは、意識を維持し続けるだけではなく、睡眠を促す役割もあるということです。
睡眠は、高度な働きをし続けている脳を休ませるために必要なものでしたね。つまり睡眠とは、大脳の活動を生理的に抑制している状態であるといえます。

 

網様体は、ある時には覚醒状態を維持し、またある時には睡眠を促す、という、いわば意識の切り替えのスイッチのような役割を果たしているのです。


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