意識状態による眼球運動の変化
意識状態を客観的に評価するスケールで、臨床で広く用いられているものには、JCSとGCSがありましたね。詳細は意識の評価 JCSと意識の評価 GCSでご確認ください。
JCSとGCSを用いれば、患者さんの意識状態を客観的に把握することが可能です。しかし、その患者さんの状態をより正確に把握するためには他の所見も観察していく必要があります。
意識障害の患者さんは自分で自覚症状を訴えることのできない場合がほとんどなので、医療者が丁寧なアセスメントを行うことで患者さんの声を代弁する必要があります。
ここで役に立つ所見が、呼吸状態と眼球運動の2点です。呼吸状態と眼球運動のアセスメントを行うと、その患者さんの状態を一歩踏み込んで把握することができます。
呼吸状態のアセスメントについては、意識状態悪化時の呼吸で解説しているのでご確認ください。呼吸をコントロールする中枢は延髄と橋であり、体内のCO2濃度の変化やpHの変化を察知して呼吸を調整してくれています。そのため、意識状態の原因によっては特徴的な呼吸パターンになることがあるのです。
ここでは、眼球運動について説明していきます。
なぜ眼球運動をみるのか
眼球運動のアセスメントについて触れる前に、なぜ眼球運動が意識の評価に関係しているのかお話します。
私たちが無意識に動かしている(意識的に動かすこともできる)眼球。その眼球運動の中枢は、大脳皮質にあります。大脳皮質からでた命令が脳幹に伝わり、神経、筋肉へと伝わっていくことで眼球を動かすことができるのです。ということはつまり、脳に何らかの異常が見られた場合には、眼球運動に変化が現れるということになります。
眼球運動の見るべきポイントには、大きく分けて瞳孔、眼位があります。
それでは次のページから、順にみていきましょう。
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