「意識」を作り出す脳の仕組み
意識状態を左右するもの、それは脳です。そのため、意識状態について勉強するうえで、脳がどのような仕組みになっているのかを知ることは欠かせません。まずは脳の仕組みについて確認していきましょう。
脳の構造
「脳の構造」と聞くだけでなんだかややこしい気分になってしまいそうですが、実は脳の構造自体はシンプルに考えることができます。
脳は、大きく3つに分けることができるのです。大脳、小脳、そして脳幹です。順番にみていきましょう。
大脳
大脳は、脳の中で最も大きな面積を占めています。脳は、大脳縦列と呼ばれる溝により、左右2つに分かれています。そして、厚さ2〜5mmの薄さの皮質(灰白質)といわれる皮が、髄質(白質)といわれる実の部分を覆っています。
大脳は、高度な情報処理を行い、体に指令を出す役割を担っています。わたしたちが思考したり、言葉を話して理解するなど高度な知的活動を行うことができるのは、大脳のおかげなのです(大脳の中でも、特に皮質(灰白質)でこれらの働きが行われている)。
また、大脳の中心部には、大脳核(大脳基底核)と呼ばれる構造があります。この大脳核では、本能的な活動や情動、記憶などの中心的役割を担っています。
小脳
小脳は、大脳の下にちょこんとくっついています。重さは大脳の1/10と小さいですが、小脳は体の平衡を保つ中心的な役割を担っています。小脳がちゃんと機能してくれているおかげで、私たちはバランスよく立ったり座ったりできているのです。
また、小脳では、皮膚や筋肉からの信号を受けて筋肉の動きを調整するような役割もあります。
脳幹
脳幹は、1つの構造の名前ではありません。脳幹はいくつかの構造から成り立っています。脳幹と呼ばれているものは、上から間脳(視床、視床下部)、中脳、橋(きょう)、延髄です。延髄の先は、脊髄につながっています。
脳幹は、私たちが生きていくうえで非常に重要な役割を担っています。というか、私たちは脳幹が正常に機能していなければそもそも生きていることができません。
脳幹は、大脳から出された指令が脊髄に伝わっていくまでの通路としての役割はもちろん、首から上の部分の働き(眼球運動、嚥下、顔面の感覚や運動)を司る神経の出入り口としての役割、呼吸や心拍、血圧、消化管などの内臓の働きを自動的に調節する役割もあります。
私たちは、脳幹が正常に機能しているからこそ心臓が動き、呼吸ができているのです。仮に大脳や小脳が正常だったとしても、脳幹の働きが完全に停止してしまうようなことがあれば私たちは生きていけません。
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