無呼吸アラーム
人工呼吸器には異常を知らせる8種類のアラームがあることは、人工呼吸器のアラームについてでお話ししましたね。
ここでは、無呼吸アラームについて説明していきます。
無呼吸アラームとは
無呼吸アラームは、患者さんの呼吸が一定時間なくなったときに発生します。一定時間・・・とはどのくらいのことを指しているかというと、通常の設定では15秒〜20秒くらいです。ただし、どれくらいの時間で無呼吸アラームが鳴るようにするかどうかは、患者さんの状態に合わせて設定することが可能です。
「無呼吸」は、英語で「apnea(アプ二ア)」と呼ばれているので、「アプ二アアラーム」と言われる場合もあります。
また、無呼吸が起きているということは、同時に気道内圧の低下と換気量の低下も起きている、ということになります。
そのため、無呼吸アラームが鳴った時には同時に気道内圧低下アラームと換気量低下アラームも作動します。
無呼吸アラームの原因
それでは、無呼吸アラームの起こる原因についてみていきましょう。
<患者側の原因>
患者側の原因には、以下のようなものがあります。
・自発呼吸の停止、あるいは減少
・分時換気量(MV)の低下
・呼吸中枢の障害
・カフからのリーク
また、プレッシャーサポート(PSV)やCPAPなどの、患者さんの自発呼吸に依存する換気モードの場合には、患者さんの吸気がきちんとトリガーされないことによって無呼吸アラームが作動してしまう場合があります。その場合には、トリガーの設定を変更しましょう。
<呼吸器側の原因>
呼吸器側の原因には、以下のようなものがあります。
・呼吸回路のはずれ、ゆるみによるリーク
・呼吸回路の水分貯留
・チューブ、回路の閉塞
・機械の故障
無呼吸アラームへの対応
無呼吸アラームが発生し、その原因がぱっと分からない場合には、まずバッグ換気に切り替えます。
そのあとは、以下のような手順で対応していきましょう。
引用:羊土社 「人工呼吸管理に強くなる」 編集 讃井將満、大庭祐二
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