吸気を成立させるものAリミット
吸気を成立させる要素は、全部で3つあります。
人工呼吸器の用語でいうと
@息を吸うこと(吸気の開始)をトリガー
A吸い込んだ状態をキープすること(吸気の維持)をリミット
B吐き出すこと(吸気の終了、吸気から呼気への移り変わり)をサイクルと呼んでいます。
このページでは、吸い込んだ状態をキープすること(吸気の維持)を表すリミットとは何かについて説明していきますね。
リミットとは何か
人工呼吸器は、容量(送り込む空気の量)、気道内圧、流速(フロー)をモニターしています。そして、これらが一定値を超えないように「制限」をかけることを「リミット」といいます。
リミットには、3つの種類があります。容量リミット、圧リミット、フローリミットです。
容量リミット(volume limit)
容量リミット(volume limit)とは、設定容量を超えた場合に、ガスが流入できなくなる仕組みです。VC(volume control)モードは、すべて容量リミットです。
圧リミット(pressure limit)
圧リミットは、ガスが流入してくるときに、一定以上の気道内圧が生じないようにする仕組みです。気道内圧が設定値以上に上がると、排気弁が開いて、呼吸回路内から外へ空気ガスが排出されます。このことによって肺に過剰な圧がかかり、肺障害が起こるのを防ぐことができます。
PC(pressure control)、PS(pressure surport)では設定圧を目標に圧リミットが採用されています。
フローリミット(flow limit)
フローリミットとは、一定以上のフロー(流速)が流入できなくなる仕組みです。
最新の呼吸器では、フロー(流速)の制限をかけなくてよく、患者さんの必要量に応じて変化するオートフローが設定できる場合もあります。
しかし、旧式の呼吸器では、最大流速(ピークフロー)を設定しなくてはいけない場合が多いです。この場合、フロー(流速)が速くなりすぎると、吸気のための時間が極端に短くなり、患者さんの呼吸器が同調しない原因にもなります。一方、患者さんの吸気努力が非常に強い場合、あえて早いフローを選択する場合もあります。
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