代表的な鎮静薬

 

 

このページでは、人工呼吸器使用中に使われる、代表的な鎮静薬について説明していきます。

 

プロポフォール

商品名:デュプリバン、プロポフォール

 

プロポフォールの特徴は、作用時間が1分以内と短く、ベンゾジアゼピン系の薬に比べて覚醒もすみやか(30分以内)である点です。つまり、ほかの薬に比べてすぐに鎮静がかかり、すぐに目覚めることができるのです。その他、頭蓋内圧降下作用もあるため、脳神経外科領域においても頻繁に使用されます。

 

このように述べるといいところだらけのプロポフォール!・・・と思われるかもしれませんが、デメリットもあります。以下に挙げて説明していきますね。

 

<プロポフォールのデメリット>
@感染のリスクがある
プロポフォールは、乳化製剤です。そのため、感染のリスクがほかの製剤に比べて高くなります。また、多剤と混合できないため、専用ラインが必要になります。

 

A呼吸循環抑制作用が強い
ミダゾラムなどの薬剤に比べて、血行動態に及ぼす影響が大きいです。著明な血圧低下や、軽度の心拍数減少などが起こる場合があるため、心機能が悪い患者さんなどに使用するときには十分な注意が必要です。また、呼吸抑制作用も強いため、原則としてPS(pressure surpport)モードでは使用できません。

 

Bプロポフォール注入症候群(propofol infusion syndrome : PRIS)
プロポフォール注入症候群は、プロポフォールの高容量・長期使用により起こるまれな副作用です。症状は、高カリウム血症、不整脈、心不全、代謝性アシドーシス、血中尿酸高値、横紋筋融解、高中性脂肪血症、腎不全などがあります。
プロポフォール注入症候群は、致死率が高い上に対処療法しかありません。そのため、予防が重要です。
4mg/kg/hを超える速さで48時間以上投与しないことが推奨されています。

 

以上のようなデメリットから、プロポフォールは長期使用には向かないとされています。
挿管時の導入や、術後1日の呼吸管理などの場合に有用な薬剤です。

 

ベンゾジアゼピン

商品名:セルシン、ホリゾン、ドルミカム

 

ベンゾジアゼピンは、人工呼吸器使用中の患者さんへの鎮静薬で最も使用されている薬剤です。前述したプロポフォールの呼吸循環抑制作用が心配な患者さんの場合は、第一選択になります。不安除去、催眠作用があり、健忘作用(後になって苦しかったことを覚えていない)があるのも特徴的です。ここで健忘作用がある・・・と書きましたが、ベンゾジアゼピンには苦痛そのものを軽減させる役割はないので注意が必要です。

 

<ベンゾジアゼピンのデメリット>
・ドルミカム
ドルミカム使用のデメリットは、短期間に使用した場合には覚醒は早いけれども、48時間以上にわたって投与されると逆に覚醒が遅くなってしまう点です。ミダゾラムを長期間使用した患者さんでは、鎮静を中止する数日前に、プロポフォールやデクスメデトミジン(後述)に変更する場合もあります。

 

・セルシン、ホリゾン
ほかの薬剤と混ざると沈殿しやすいという特徴があります。また、血管痛も起こりやすいです。

 

・ベンゾジアゼピン全体のデメリット
ベンゾジアゼピン系の薬剤はすべて、それ自身が不穏や興奮を引き起こしてしまうというデメリットがあります。また、せん妄との関連も指摘されています。

 

デクスメデトミジン

商品名:プレセデックス

 

デクスメデトミジンは、鎮静、抗不安作用のほかに、鎮痛作用も期待できる薬です。前述したプロポフォール、ベンゾジアゼピンに比べると、催眠作用は非常に少ないです。そのため、しばしばほかの鎮痛・鎮静薬と併用されます。
また、呼吸抑制がないので、デクスメデトミジン投与を継続しながら抜管するようなことも可能です。

 

ほかの薬剤と比べて高価ではありますが、今後使用頻度が高くなっていくことが予想されます。

 

 

 

なお、今まで説明した鎮静薬の具体的な使用法については鎮静薬、鎮痛薬の使用法まとめに書いてありますので、確認してください。

 

 

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