換気量上限アラーム
換気量上限アラームとは
換気量上限アラームとは、ざっくりいうと、換気量が増えていることを知らせてくれるアラームです。測定される呼気の換気量が、設定を上回った場合に作動します。
このアラームが作動したら、まずは患者さんが実際に高い換気量を必要としてるのかどうか評価します。
放っておくと、低二酸化炭素症(二酸化炭素のはけ過ぎ)による呼吸性アルカローシスが起きる場合もあるので注意が必要です。
換気量上限アラームの原因
換気量上限アラームが作動する原因としては、患者側の原因と、呼吸器側の原因とが考えられます。
それぞれみていきましょう。
<患者側の原因>
患者側の原因には、以下のようなものがあります。
・不安、疼痛による一回換気量の増加
・呼吸筋疲労による頻呼吸
・咳嗽
・ファイティング
必要ならば、鎮静薬の増量も考慮されます。
<呼吸器側の原因>
呼吸器側の原因には、以下のようなものがあります。
・呼吸回数や一回換気量の不適切な設定
・呼気弁異常
・オート・トリガリング(auto-triggering)
・外付けのネブライザーの使用
・吸気フローセンサーやアラーム設定の異常
呼気分時換気量上限アラームは実測値の2倍、呼吸回数上限アラームは35〜45回/分が望ましいとされています。
なお、気管チューブのカフおよび呼吸器回路からのリークや、回路内の結露の揺れを自発呼吸と感知し、吸気を送ってしまうオート・サイクリング(auto-cycling)によって過換気となり、換気量上限アラームが作動することがあるので注意が必要です。
換気量上限アラームの対処
換気量上限アラームが作動したら、以下のように対応していきましょう。
引用:羊土社 「人工呼吸管理に強くなる」 編集 讃井將満、大庭祐二
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