13. 代謝性アシドーシスとその原因:重炭酸イオンが失われすぎる場合

 

 

このページでは、呼吸以外の原因で起こるpHの変化についてみていきましょう。

 

代謝性アシドーシスの病態

 

代謝性アシドーシスは、呼吸以外の原因で体が酸性に傾きすぎてしまった病態のことです。代謝性アシドーシスは、大きく分けて2つの原因によって引き起こされます。

 

一つは、重炭酸イオンHCO3−が失われ過ぎてしまった場合、そしてもう一つは、水素イオンH+が体に溜まりすぎてしまった場合です。

 

それではそれぞれみていきましょう。

 

原因@ 重炭酸イオンHCO3−が失われ過ぎてしまった場合

 

まずは、重炭酸イオンHCO3−について軽く復習します。詳しくは酸塩基平衡 in 腎臓に書いてあるので、まだ見ていない方はご確認ください。

 

塩基である重炭酸イオンHCO3−は、水素イオンH+を中和させて、体がpH7.35-7.45の狭ーい範囲を保つことができるように調整してくれるものでしたね。また、重炭酸イオンHCO3−は腎臓から再吸収されるという性質もありました。

 

それでは、重炭酸イオンHCO3−が失われ過ぎてしまうシチュエーションとはどのようなものがあるのでしょう。大きく分けて2つあります。

 

@腎臓で再吸収されなくなってしまった場合

 

A消化管から体外に排出され過ぎてしまった場合

 

以上の2つです。それでは順にみていきましょう。

 

@腎臓で再吸収されなくなってしまった場合

 

腎臓で重炭酸イオンHCO3−が再吸収されなくなってしまうと、尿の中にどんどん重炭酸イオンHCO3−が出ていってしまいます。その結果、体の中の重炭酸イオンHCO3−が失われてしまうのです。

 

体の中でどのような反応がおきているかみてみると、

 

CO2(二酸化炭素) + H2O(水) → H2CO3(炭酸) → HCO3−(重炭酸イオン) + H+(水素イオン)

 

矢印は→です。

 

重炭酸イオンHCO3−がどんどん失われていくために、体の中では、これは大変!と二酸化炭素CO2がどんどん分解され、重炭酸イオンHCO3−と水素イオンH+をどうにか増やそうとします。その結果、塩基である重炭酸イオンHCO3−が減り続けているにも関わらず酸である水素イオンH+が増え続けるので、体は酸性に傾き、アシドーシスになるのです。

 

ちなみに、腎臓で再吸収されなくなってしまったがために起こるアシドーシスのことを、代謝性アシドーシスの中でも特に「尿細管性アシドーシス」といいます。

 

A消化管から体外に排出され過ぎてしまった場合

 

二つ目のシチュエーションは、下痢などによって体の外に重炭酸イオンHCO3−が排出され過ぎてしまった場合です。この場合も、体の中でどのような反応が起こっているかどうかに関しては、「@腎臓で再吸収されなくなってしまった場合」と同様です。

 

塩基である重炭酸イオンHCO3−が減り続けているにも関わらず酸である水素イオンH+が増え続けるので、体は酸性に傾き、アシドーシスになるのです。

 

代謝性アシドーシスが起こる原因の一つ、「重炭酸イオンHCO3−が失われ過ぎてしまった場合」に関してはわかりましたでしょうか?

 

それでは次のページ14. 代謝性アシドーシスの原因:水素イオンが溜まりすぎるで、代謝性アシドーシスの原因のもう一つの原因である、「水素イオンH+が体に溜まりすぎてしまった場合」について考えていきましょう。

 

 

 

13. 代謝性アシドーシスとその原因:重炭酸イオンが失なわれすぎる場合 関連ページ

1. 「酸塩基平衡と血液ガス」に苦手意識をもつあなたへ
2. 酸塩基平衡の基礎:「酸」「塩基」の定義とは
3. 酸塩基平衡:体の中では常に「酸」が作られている
4. 酸塩基平衡:「塩基」とは、重炭酸イオンのことである
5. 酸塩基平衡は体のどこで調節されているのか
6. 「血液・体液」における酸塩基平衡の調整:緩衝系
7. 酸塩基平衡における「重炭酸緩衝系」とは何か
8. 「肺」でおこなわれている酸塩基平衡の調整
9. 「腎臓」でおこなわれている酸塩基平衡の調整
10. アシドーシスとアルカローシス
11. 呼吸性アシドーシス
12. 呼吸性アルカローシス
14. 代謝性アシドーシスとその原因:水素イオンが溜まりすぎる場合
15. 代謝性アルカローシス
16. 混合性アシドーシス
17. 混合性アルカローシス
18. 「血液ガス」とは何か:血液ガスの基礎知識
19. 血液ガスの単位はなぜ「分圧」なの?
20. 血液ガスは、どこで採る
21. なんで血液ガスを採るの?
22. 血液ガスの読み方〜2つの目的〜
23. 血液ガスの読み方:「ガス交換の評価目的」の場合
24. 血液ガスの読み方:「酸塩基平衡の評価目的」の場合@
25. 血液ガスにおける「BE」とは何か
26. 血液ガスの読み方:「酸塩基平衡の評価目的」の場合A
27. 酸塩基平衡における代償反応とは?
28. 血液ガスの読み方:「酸塩基平衡の評価目的」の場合B
酸塩基平衡と血液ガス:用語集

サイトマップ
HOME キャリアの考え方 紹介会社の活用法 お勧め転職サイト