そもそも酸塩基平衡とは?
酸塩基平衡とは、人間の体の中の酸と塩基のバランスのことです。
酸?塩基?少し難しい言葉がでてきました。それではここでそれぞれの定義を確認しましょう。
酸:水素イオンH+を放出する物質のこと
塩基:水素イオンH+を受け取る物質のこと
水素イオンH+・・・などのややこしい言葉はまたあとで説明するので、まずは以下のことを覚えてください。
人間は、この酸と塩基のバランスを保つことで生命活動を維持できているのです。
なぜ酸塩基平衡は重要なのか
酸塩基平衡がこんなにも重要視される理由。それは、酸塩基平衡を保たなければ、私たちは生命活動を維持できないからです。
細胞が元気に働くために重要な酵素は、pH(あとで説明します)に強い影響を受けるため、私たちはどうにかしてpHを一定に保っていかなくてはならないのです。
pHってなに?
世の中には様々な液体があります。それぞれの液体は、どのような性質でできているのだろう・・・?と調べる時、気になる液体の性質を知るための指標があります。それは、「酸性・中性・アルカリ性」という指標です。一般的に、酸性の液体は酸っぱく、アルカリ性の液体は苦いといわれています。身近なものを思い浮かべてみましょう。すっぱいレモンは酸性、にがーい石鹸はアルカリ性です。
では、これらの液体の性質を人に説明するときに、どうやったら万国共通で理解できるか・・・・。それには「単位」が必要です。単位がないと「強い酸性」「やや強い酸性」など漠然とした表現しかできなくなってしまうからです。ここで考えられた単位が「pH」。つまり「pH」とは、液体の性質(酸性、中性、アルカリ性)を表す単位のことなのです。
pHは pH 0 から pH 14 まであり、pH 0 に近い方が強い酸性、pH 14 に近いほうが強いアルカリ性です。ちなみにpH 7 は中性です。
それでは、私たちの体が元気に活動できるpHはいくつなのでしょうか?
人間の体液のpHはいくつ?
体液といってもいろいろな種類がありますが、まずは動脈血は何性かについて考えていきましょう。
人間の動脈血は何性か、その答えは・・・「ややアルカリ性」です。正確にいうと、pH 7.35-7.45 という値になります。そしてこの pH 7.35- pH7.45という狭ーい範囲を保つことが、私たちが元気に活動するのに必要なことなのです。
ちなみに汗はpH 7.0-8.0、胃液はpH 1.5-2.0と、体の中でもpHは異なります。
ここで、今後の理解を楽にするためのプチお役立ち知識を2つお伝えします。
@塩基とアルカリの関係
「酸塩基平衡」では「酸」と「塩基」になっていますが、なぜ「pH」では「酸」と「アルカリ」になるのでしょう。
それは、「アルカリ」というのは水溶液にしか使えない言葉だからです。つまり、「塩基性」の物質が水に溶けたものが「アルカリ性」物質なのです。
A酸の秘密
「酸」の正体をご存知ですか?実は酸とは水素イオンH+のことなのです。強い酸性の水溶液の中には、水素イオンH+がうじゃうじゃいっぱいおり、逆に強いアルカリ性の水溶液の中には水素イオンH+はあまりいません。
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