2. 酸塩基平衡の基礎:「酸」「塩基」の定義とは

 

 

臨床で働いていると、酸塩基平衡という言葉を耳にすることも多いと思います。ですが、「酸塩基平衡とは何ですか?」と問われて即答できる人はごく一部ではないでしょうか。

 

このページでは、「そもそも酸塩基平衡とは何か」についてお話ししていきます。

 

酸塩基平衡とは何か

 

酸塩基平衡とは、人間の体の中の酸と塩基のバランスのことです。

 

ここで「酸」「塩基」という言葉がでてきましたが、いきなり「酸」「塩基」などと言われてもピントこない人も多いでしょう。そのため、まずは「酸」「塩基」のそれぞれの定義について確認していきます。

 

酸と塩基の定義はいろいろありますが、酸塩基平衡を学ぶ上では以下の定義が分かりやすいです。

 

酸と塩基の定義

 

酸 : 水素イオンH+を放出する物質

 

塩基 : 水素イオンH+を受け取る物質

 

2. 酸塩基平衡の基礎:「酸」「塩基」の定義とは

 

2. 酸塩基平衡の基礎:「酸」「塩基」の定義とは

 

ここで重要なのは、人間は酸と塩基のバランスを保つことで生命活動を維持できているという事実です。

 

「酸と塩基のバランスを保たなくては、人間は生きていけない」ということを覚えておいてください。

 

ちなみに「なぜ酸塩基平衡を保たなくてはいけないか」というと、細胞が元気に働くために重要な酵素は、酸と塩基に強い影響を受けるためです。すなわち、酸と塩基のバランスが崩れれば細胞が働かなくなってしまうのです。

 

「ph」についての基礎知識

 

酸塩基平衡を学ぶ上で避けては通れないのが、「ph」です。それではまず、phについての基本的な内容から確認していきましょう。

 

世の中には様々な液体があります。私たちが「この液体は、どのような性質なのだろう?」と調べる時、液体の性質を示すための指標があります。それは、「酸性・中性・アルカリ性」という指標です。

 

一般的に、酸性の液体は酸っぱく、アルカリ性の液体は苦いといわれています。身近なものを思い浮かべてみましょう。すっぱいレモンは酸性、にがい石鹸はアルカリ性です。

 

では、これらの液体の性質を人に説明するときに、どうやったら万国共通で理解できるのでしょうか。それには「単位」が必要です。単位がないと「強い酸性」「やや強い酸性」など漠然とした表現しかできなくなってしまうからです。

 

ここで考えられた指数が「pH」です。つまり簡単に言うと、「pH」とは液体の性質(酸性、中性、アルカリ性)を表す指数のことなのです。

 

pHは pH 0 から pH 14まであり、pH 0 に近い方が強い酸性、pH 14 に近いほうが強いアルカリ性です。ちなみにpH 7 は中性です。

 

2. 酸塩基平衡の基礎:「酸」「塩基」の定義とは

 

それでは、私たちの体が元気に活動できるpHはいくつなのでしょうか?

 

人間の体液のpHはいくつ?

 

一口に「体液」といっても、唾液、胃液、血液などいろいろな種類があります。そして、それぞれpHは異なります。

 

酸塩基平衡と血液ガスを考える上で重要な指標になってくるのは血液です。そのため、ここでは動脈血は何性かについて考えていく必要があります。

 

それでは、人間の動脈血は何性なのでしょうか。その答えは「ややアルカリ性」です。正確にいうと、pH 7.35-7.45 という値になります。

 

この pH 7.35- pH7.45という狭い範囲を保つことが、私たちが元気に活動するのに必要なことなのです。

 

それでは最後に、酸塩基平衡を学んでいく上で知っておくと役立つ知識をお伝えします。

 

酸塩基平衡を学ぶのに役立つ2つの知識

 

塩基とアルカリの関係

 

「酸塩基平衡」では、「酸」と「塩基」という表現が用いられます。「私たちが元気に生きていくためには酸と塩基のバランスが保たれていることが重要」というのが、酸塩基平衡の考え方でした。

 

では、なぜ「pH」では「酸」と「アルカリ」という表現になるのでしょう。pHでも「酸」「塩基」という表現をしてもらった方が分かりやすい気がします。

 

しかし、pHの場合に「塩基」ではなく「アルカリ」という表現が用いられるのには理由があります。それは、「アルカリ」というのは水溶液にしか使えない言葉だからです。

 

ここでは簡単に、「塩基性」の物質が水に溶けたものが「アルカリ性」であると覚えておいてください。つまり、乱暴に言ってしまうと塩基=アルカリなのです。

 

酸と水素イオンの関係

 

繰り返しになってしまいますが、私たちが元気に生きていくためには酸と塩基のバランスを保っていくことが必要です。

 

最初の定義で確認したとおり、「酸」とは水素イオンH+を放出する物質であり、「塩基」とは水素イオンH+を受け取る物質のことです。

 

つまり、強い酸性の液体ほど、水素イオンの濃度は濃いのです。

 

そのため、強い酸性の水溶液の中には、水素イオンH+がうじゃうじゃいっぱいいることになります。逆に強いアルカリ性の水溶液の中には水素イオンH+はあまりいません。pHが0に近いほど水素イオンH+はたくさんおり、14に近いほど水素イオンは少ないのです。

 

2. 酸塩基平衡の基礎:「酸」「塩基」の定義とは

 

このことは、今後酸塩基平衡を学んでいく上で役に立つので頭の片隅においておいてください。

 

それでは、今回のポイントを振り返りましょう。

 

【ポイント】

 

酸とは、水素イオンH+を放出する物質のこと

 

塩基とは、水素イオンH+を受け取る物質のこと

 

・人間は、動脈血pH 7.35-7.45という狭い範囲をキープすれば元気に活動できる

 

今回は、「酸」「塩基」の定義の確認や、pHについての基本的な事柄を説明してきました。「私たちは酸と塩基のバランスを保たないと生きていけない」ということは、しっかりと覚えておくようにしましょう。

 

 

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