15. 代謝性アルカローシス

 

 

病態

 

代謝性アルカローシスは、呼吸以外の原因で体がアルカリ性に傾きすぎてしまった病態です。代謝性アルカローシスは、大きく分けて2つの原因で引き起こされます。

 

塩基である重炭酸イオンHCO3−が体の中に溜まりすぎてしまった場合水素イオンH+が失われすぎてしまった場合です。

 

それでは順にみていきましょう。

 

原因@ 重炭酸イオンHCO3−が体の中に溜まりすぎてしまった場合

 

塩基である重炭酸イオンHCO3−が体の中に溜まりすぎると、体はアルカリ性に傾いてしまいますよね。溜まれば溜まるほど、アルカローシスは進行していきます。

 

では、重炭酸イオンHCO3−が溜まりすぎてしまうシチュエーションとは、どのようなものがあるのでしょうか。答えは、以下の2つです。

 

@重炭酸イオンHCO3−が体の中に入ってきすぎた場合

 

A重炭酸イオンHCO3−がなかなか排出されない場合

 

それぞれみていきましょう。

 

@重炭酸イオンHCO3−が体の中に入ってきすぎた場合

 

このシチュエーションが起こる状況として考えられるのが、重炭酸イオンHCO3−をたくさん含んでいる補液が過剰投与されてしまったり、同じくたくさん含まれる内服薬を過剰に内服してしまったり、といった場合です。

 

また、輸血を大量に行うことで、抗凝固剤として使用されているクエン酸ナトリウムの血中濃度が上がり、代謝性アルカローシスになることがあります。なぜクエン酸ナトリウムで・・・?と思われるかもしれませんが、実はクエン酸ナトリウムは体の中で代謝されると重炭酸イオンHCO3−になるのです。

 

塩基である重炭酸イオンHCO3−が体の中にどんどん入ってきているがゆえに、体はどんどんアルカローシスが進行していきます。

 

A重炭酸イオンHCO3−がなかなか排出されない場合

 

利尿薬(おしっこを出す薬)を使うと、その副作用で重炭酸イオンHCO3−の再吸収が促されてしまう場合があります。この副作用が出る利尿薬は、利尿薬の中でもループ利尿薬と呼ばれる種類のものです。
塩基である重炭酸イオンHCO3−がなかなか排出されず、体はアルカリ性になります。

 

原因A 水素イオンH+が失われすぎてしまった場合

 

体の中で、大量に酸である水素イオンH+が存在している場所があります。それは・・・胃液です。皆さんも嘔吐した経験があると思いますが、嘔吐するとのどがひりひりしますよね?これは、強い酸である胃液がのどを溶かしているからなのです。

 

大量に嘔吐してしまった場合や、胃管から胃液を引きすぎてしまった場合に、水素イオンH+が失われ、代謝性アルカローシスになる場合があります。

 

代謝性アルカローシスを引き起こす疾患

 

○原因が「重炭酸イオンHCO3−が体の中に溜まりすぎてしまった場合」の疾患

 

重炭酸ナトリウムHCO3−の過剰投与、大量輸血、利尿剤の投与

 

○原因が「水素イオンH+が失われすぎてしまった場合」の疾患

 

大量嘔吐

 

血液検査データ

 

それでは最後に、代謝性アルカローシスの血液検査データの見方について説明していきます。まずは正常値からおさらいしましょう。

 

正常値

 

PaO2(酸素分圧):80〜100 mmHg
PaCO2(二酸化炭素分圧):35〜45 mmHg
pH:7.35〜7.45
HCO3−:22〜26 mEq/L

代謝性アルカローシスでは、血液ガスの結果は以下のようになります。

 

HCO3−>26mmHg(重炭酸イオンが体に溜まりすぎてしまうため、重炭酸イオンHCO3−の量は増えます。)
pH>7.45 (塩基である重炭酸イオンHCO3−が体に溜まり、体はアルカリ性になります)

 

 

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