20. 血液ガスは、どこで採る

 

 

血液ガスは、動脈血で採るのが基本となっています。

 

肝機能、コレステロール・・・などの生化学検査は体のどこの血液を採っても同じですが、血液ガスではそうもいきません。なぜなら、血液ガスにおける主要項目である酸素が、全身の組織で消費されてしまうからです。

 

肺で新鮮な酸素を手に入れた血液はいったん心臓にもどり、そこから動脈を使って全身に運ばれます。この時点では、つまり動脈血のなかには酸素がたくさんあります。

 

しかし、組織を通過していくごとに酸素はどんどん減っていき、心臓に戻る静脈血を通るころには酸素の量は動脈血の3/4程になってしまっています。

 

そのため、酸素がしっかり体に供給されているかどうかを知るためには動脈血できちんと検査することが必要になります。

 

しかし、実際の臨床では静脈血で血液ガスを採ることも多いです。

 

 動脈血ガス分析と静脈血ガス分析の違い

 

では、動脈血と静脈血では、検査結果はどのように異なるのでしょうか。

 

主要4項目で考えますと、pH、重炭酸イオンHCO3−は正常値がほぼ変わらないため、静脈血で取ったとしても、その値から動脈血での値を予測し、評価することができます。また、二酸化炭素PCO2は動脈血に比べると少し正常値が高くなりますが、こちらも予測可能です。

 

しかし酸素分圧PO2では正常値が大きく変わります(全身の組織で酸素が消費されているから当然ですよね・・・)動脈血よりも、40mmHgくらい低い値となってしまいます。なので、静脈血で採った酸素分圧PO2は参考になりません。

 

まとめると、pH、重炭酸イオンHCO3−、二酸化炭素分圧PCO2は静脈血から予測可能、酸素分圧PO2は参考にならず、となります。

 

動脈血ガスと静脈血ガスの正常値

 

静脈血は動脈血に比べ、PCO2は7〜8Torr高く、pHは0.03〜0.04低く、HCO3−は2mEq/L高くなります。

 

つまり、静脈血から動脈血の値を予測するには、動脈血の正常値をしっかり把握したうえで、その値から上記の値を差し引きしていけばよいのです。

 

動脈血の血液ガスの正常値は以下の通りです。

 

PaO2 : 80〜100 mmHg

 

PaCO2 : 35〜45 mmHg

 

pH :7.35〜7.45

 

HCO3− : 22〜26 mEq/L

 

 

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