25. 血液ガスにおける「BE」とはなにか

 

 

「BE」って何なのでしょう?なじみの薄い言葉なので、それだけで苦手意識を持ってしまいそうですね。でもこの指標、実は私たちが酸塩基平衡を評価するのを手伝ってくれる、とってもありがたい指標なんですよ。

 

BEは何の略?

 

まず、BEとは一体全体何の略なのかみていきましょう。

 

BEとは、Base Excess(ベースエクセス)の略です。ベースエクセスを日本語に直すと、「base=塩基(塩基は、英語で基(もと)という意味のbaseといいます) excess=余剰」つまり、塩基余剰という意味です。

 

重炭酸イオンHCO3−の基準値はあてにならない!?

 

塩基余剰=ベースエクセスの正体は一体全体何でしょうか?

 

実は、ベースエクセスを理解するうえで欠かせないのが重炭酸イオンHCO3−の存在です。

 

例の化学反応式を思い出しましょう。

 

CO2 + H2O ⇔ H2CO3 ⇔ H+ + HCO3−

 

この化学反応式は、酸である二酸化炭素CO2が、体の中で水素イオンH+と重炭酸イオンHCO3−に変化する化学反応式です。重炭酸イオンHCO3−は、水素イオンH+を中和する働きを持っています。

 

二酸化炭素CO2が増えれば増えるほど、水素イオンH+も増えて、重炭酸イオンHCO3−も増えていきます。反対に、二酸化炭素CO2が少ない時は、水素イオンH+も少なくなり、重炭酸イオンHCO3−も少なくなります。この部分について詳しく知りたい方は、重炭酸緩衝系重炭酸緩衝系:例を見ながら考えるを参照してくださいね。

 

なぜ今この話をしたかといいますと、実は、重炭酸イオンHCO3−の基準値はPaCO2の値によって変化するのです。PaCO2が高いほど、重炭酸イオンHCO3−の基準値も高くなります。それもそうですよね。そもそも重炭酸イオンHCO3−は、体の中で酸の数に合わせて増えたり減ったりしている、調整役のような・・・いわば都合のよい存在なのですから。

 

よく言われている重炭酸イオンHCO3−の基準値22〜26mEq/Lというのは、PaCO2=40Torrの時に限る、という条件付きの基準値だったのです。

 

とっても便利なベースエクセス

 

重炭酸イオンHCO3−は、実はPaCO2=40Torrの時に限る、条件付きの基準値だったということはわかりましたね。これでは、もし検査をしてPaCO2が40ではなかった場合、重炭酸イオンHCO3−の正しい値を知ることは困難になります。

 

そこで、頭のいい人が、「では、重炭酸イオンHCO3−の正しい値が即座にわかるように、取った検体のPaCO2を40ってことにする新しい項目を設けよう!」と思いつきました。
それが、ベースエクセスです。

 

ベースエクセスの基準は、-2〜+2mEq/Lです。PaCO2=40Torrの時に、HCO3−が24mEq/Lだった時の値をBE=0mEq/Lという基準にしています。

 

PaCO2=40Torrの時

 

HCO3− 22 mEq/L → BE −2 mEq/L

 

HCO3− 24 mEq/L → BE   0 mEq/L

 

HCO3− 26 mEq/L → BE +2 mEq/L

 

簡単に言うと、ベースエクセスがプラスに傾けば傾くほど重炭酸イオンHCO3−の数は多く、マイナスに傾けば傾くほど重炭酸イオンHCO3−の数は少ない、ということになります。

 

 

25. 血液ガスにおける「BE」とは何か 関連ページ

1. 「酸塩基平衡と血液ガス」に苦手意識をもつあなたへ
2. 酸塩基平衡の基礎:「酸」「塩基」の定義とは
3. 酸塩基平衡:体の中では常に「酸」が作られている
4. 酸塩基平衡を保つための「塩基」とは、重炭酸イオンのことである
5. 酸塩基平衡はどこで調節しているの?
6. 「血液・体液」にておこなわれている酸塩基平衡の調整
7. 酸塩基平衡における「重炭酸緩衝系」とは何か
8. 「肺」でおこなわれている酸塩基平衡の調整
9. 「腎臓」でおこなわれている酸塩基平衡の調整
10. アシドーシスとアルカローシス
11. 呼吸性アシドーシス
12. 呼吸性アルカローシス
13. 代謝性アシドーシスとその原因:重炭酸イオンが失なわれすぎる場合
14. 代謝性アシドーシスとその原因:水素イオンが溜まりすぎる場合
15. 代謝性アルカローシス
16. 混合性アシドーシス
17. 混合性アルカローシス
18. 「血液ガス」とは何か:血液ガスの基礎知識
19. 血液ガスの単位はなぜ「分圧」なの?
20. 血液ガスは、どこで採る
21. なんで血液ガスを採るの?
22. 血液ガスの読み方〜2つの目的〜
23. 血液ガスの読み方:「ガス交換の評価目的」の場合
24. 血液ガスの読み方:「酸塩基平衡の評価目的」の場合@
26. 血液ガスの読み方:「酸塩基平衡の評価目的」の場合A
27. 酸塩基平衡における代償反応とは?
28. 血液ガスの読み方:「酸塩基平衡の評価目的」の場合B
酸塩基平衡と血液ガス:用語集

サイトマップ
HOME キャリアの考え方 紹介会社の活用法 お勧め転職サイト