酸塩基平衡 in 腎臓

 

肺によるpHを一定に保つ働き、すなわち「呼吸性調節」についてはわかりましたでしょうか?
次に、腎臓によるpHを一定に保つ働きについてみていきましょう。

 

腎臓は、どんなタイプの「酸」の排出を担当しているのか

酸塩基平衡 in 肺のところで説明したとおり、肺では「揮発性酸」である二酸化炭素CO2の排出を担当していましたね。肺は、ガス交換を行うことにより、二酸化炭素CO2を体外へ排出しているのです。

 

それでは腎臓ではどのようなタイプの酸を排出しているのでしょう。正解は「不揮発性酸」。つまり、蒸発しにくい酸をおしっことして体外に排出しようとしているのです。不揮発性酸には、乳酸C3H6O3、リン酸H3PO4、硫酸H2SO4などがあります。
ただし、これらの酸はそのまま尿中に排出されているわけではありません。たとえば硫酸であれば

 

H2SO4 ⇔ H+ + SO4−

 

というように、水素イオンH+を放出し、この放出された水素イオンH+が尿中に排出されているのです。

 

また、腎臓では水素イオンH+を排出することのほかに重要な働きがもう一つあります。それは、重炭酸イオンHCO3−を再吸収することです。
重炭酸イオンHCO3−ってなんぞや?と思った人は、例の化学反応式を思い出してくださいね。

 

CO2(二酸化炭素) + H2O(水) ⇔ H2CO3(炭酸) ⇔ HCO3−(重炭酸イオン) + H+(水素イオン)

 

この化学反応式からもわかるように、重炭酸イオンHCO3−は、水素イオンH+の相方としてpHを調整する役割を負っています。つまり、水素イオンH+が増えていく傾向にあるときは数を増やし、水素イオンH+が減っていく傾向にあるときは数を減らしていかなくては、pHを7.35-7.45という狭ーい範囲に保つことができなくなってしまうのです。
どのように重炭酸イオンHCO3−は数を増やすのか。それが、腎臓での再吸収です。重炭酸イオンHCO3−は腎臓で再吸収されることで、数を増やし、水素イオンH+とのバランスをとっているのです。

 

腎臓による酸塩基平衡の調整

腎臓による酸塩基平衡の調整を「代謝性調節」といいます。代謝性調節は、以下のように行われます。

 

私たちが栄養素を代謝したとき、いらなくなった不揮発性の酸が血液中に放出されます。これらの酸は血液中で化学反応を起こし、水素イオンH+を放出させます。そしてこの水素イオンH+を腎臓から尿中へ排出させることで、pHを保っているのです。
また、腎臓は必要時重炭酸イオンHCO3−を再吸収することでも、pHを保とうとしています。

 

 

 

 

 



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