混合性アルカローシス
混合性アルカローシスは、呼吸性因子と代謝性因子がそれぞれ別々の原因で障害されてアルカローシスになった場合におこります。
代償作用とは違い、それぞれが別々の要因である、というところがポイントです。
それでは、混合性アルカローシスになると体の中でどのような反応が起きるのか、みていきましょう。
病態
酸塩基平衡に重要な、例の化学反応式で考えます。
CO2(二酸化炭素) + H2O(水) ⇔ H2CO3(炭酸) ⇔ HCO3−(重炭酸イオン) + H+(水素イオン)
呼吸性アルカローシスは、二酸化炭素のはけ過ぎが原因でおこるのでしたね。二酸化炭素がはけ過ぎてしまうことにより、体の中の二酸化炭素の量(二酸化炭素分圧PaCO2)は低下します。
また、代謝性アルカローシスは塩基である重炭酸イオンHCO3−が体の中に溜まりすぎてしまうことにより、体の中がアルカリ性に傾いた状態のことでした。そのため、体の中の重炭酸イオンの量(HCO3−、またはBE)は低下します。
これらの2つがほぼ同時におこるため、体はアルカローシスになります。
混合性アルカローシスを引き起こす疾患
くも膜下出血等、脳圧が高くなったことによる中枢性過換気+治療のために使われた薬であるフロセミドの副作用によるアルカローシス、など。
混合性アシドーシスの血液ガスの特徴
PaO2(酸素分圧):80〜100 mmHg
PaCO2(二酸化炭素分圧):35〜45 mmHg
pH:7.35〜7.45
HCO3−:22〜26 mEq/L
混合性アシドーシスでは、血液ガスは以下のようになります。
○pH >7.45(体はアルカリ性になる!)
○PaCO2<35mmHg (二酸化炭素がはけすぎてしまうため、体の中はアルカリ性になる!!)
○HCO3−>26mEq/L (重炭酸イオンHCO3−が体の中に溜まりすぎてしまうことにより、体はアルカリ性になる!)
混合性アルカローシス 関連ページ
- 苦手意識をもつあなたへ
- そもそも酸塩基平衡とは?
- 体の中で常につくられている「酸」
- 酸塩基平衡を保つための「塩基」はどれ??
- 酸塩基平衡はどこで調節しているの?
- 酸塩基平衡 in 血液・体液
- 重炭酸緩衝系
- 酸塩基平衡 in 肺
- 酸塩基平衡 in 腎臓
- アシドーシスとアルカローシス
- 呼吸性アシドーシス
- 呼吸性アルカローシス
- 代謝性アシドーシス その1
- 代謝性アシドーシス その2
- 代謝性アルカローシス
- 混合性アシドーシス
- 血液ガスとは?
- 血液ガスの単位はなぜ「分圧」なの?
- 血液ガスは、どこで取る
- なんで血液ガスを取るの?
- 血液ガスの読み方〜2つの目的〜
- ガス交換の評価
- 酸塩基平衡の評価 その1
- BEってなに?
- 酸塩基平衡の評価 その2
- 代償反応とは?
- 酸塩基平衡の評価 その3
- 用語集