血液ガスの単位はなぜ「分圧」なの?

 

血液ガスの主要4項目は、PO2(酸素分圧)、PCO2(二酸化炭素分圧)、HCO3−(重炭酸イオン)、pHであることはわかりましたね。

 

それでは次に、なぜ体の中の酸素や二酸化炭素の量を示すときに「分圧」という概念が使われるのか考えていきましょう。

 

分圧とは?圧力とは?

分圧とはなにかをお伝えする前に、まずは圧力とは何かについてご説明します。

 

圧力とは、簡単に言うと、「ものを押す力」です。

 

風船をイメージしてみましょう。私たちが「ふ〜〜〜」っと空気(二酸化炭素)を吹き込むと、風船はパンパンに膨れますよね。
実は風船の中では、二酸化炭素の分子たちが元気にびゅんびゅん飛び回り、風船の壁にバシバシ衝突しています。この時の衝突している力が、「二酸化炭素の圧力」であるといえます。

 

圧力は、分子の数が多ければ多いほど大きくなります。風船が空気を吹き込めば吹き込むほどパンパンに膨れ上がっていくのは、二酸化炭素分子の数が増えて圧力が大きくなっていったからなのです。

 

では、分圧とは何でしょうか?

 

簡単に言ってしまうと、「圧力」とほぼ同じ意味です。なので、「○○分圧」という言葉が出てきたときには「○○の圧力」のことなんだな、と思っていただければよいです。

 

例を出しながら分圧の概念を説明します。

 

例えば、A、B、Cという気体が空のペットボトルの中にあったとします。気体の分子が全部合わせて100個あり、その中でAの分子が50個、Bの分子が30個、Cの分子が20個あり、それぞれペットボトルのなかでびゅんびゅん飛び回っています。

 

ペットボトルの中の圧力は100ですが、その100の圧力の内訳をみてみると、Aの圧力が50、Bの圧力が30、Cの圧力が20となっています。

 

このとき、全体の圧力100に対し、Aの分圧は50、Bの分圧は30、Cの分圧は20であると表現されます。

 

つまり分圧とは、2種類以上の気体が混ざっているとき、それぞれの気体の圧力のことなのです。
 

 

酸素、二酸化炭素の量を表すのに「分圧」が使われる理由

ではなぜ血液中の酸素、二酸化炭素の量を示すのに「分圧」という言葉が使われるのでしょう。
量を示すなら、「濃度」とかでもいいじゃん!って思いますよね。

 

でも、「濃度」じゃだめなんです。
その理由は、酸素や二酸化炭素が血液中に溶けたり空気中に排出されたりといったように、液体と気体の間を行き来しているからなのです。

 

「濃度」の定義は、「液体の中の物質の量」なので、液体でしか通用しません。しかし「分圧」という概念を使えば、液体でおいても気体においてもその物質の量を示すことができるので、液体やら気体やらいろんなところを出入りする酸素や二酸化炭素の量を示すのに好都合なのですね。



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