28. 血液ガスの読み方:「酸塩基平衡の評価目的」の場合B

 

 

先ほどのページで、代償反応とは何かについてわかったところで、いよいよ酸塩基平衡の評価最後の項目である「代償反応があるか否か」についてみていきましょう。

 

まずは、復習です。

 

酸塩基平衡の評価で見るべき項目は、PaCO2、pH、HCO3−(またはBE)

 

読み解く順番は、

 

@酸塩基平衡は順調?

 

Aアシドーシス?アルカローシス?

 

B呼吸性?代謝性?はたまた混合性?

 

そしてこれから説明する、C代償反応があるか否か

 

の4項目になります。

 

チェックC代償反応があるか否か

 

体の中でどんどん作られている酸を体の中の外に出すための器官には、腎臓と肺がありましたね。

 

そして代償反応とは、簡単に言うと、腎臓がうまく機能しなくなったら肺が代わりに頑張り、肺がうまく機能しなくなったら腎臓が代わりに頑張ることでした。

 

それでは、それぞれのケースを見ていきましょう。

 

アシドーシスの場合

 

a.呼吸性アシドーシス

 

呼吸性アシドーシスになると、血液検査のデータは以下のようになります。

 

呼吸性アシドーシス
PaCO2>45 mmHg

 

pH<7.35

 

呼吸性アシドーシスの場合には、代償反応が起きているか否かは重炭酸イオンHCO3−(もしくはベースエクセスBE)の値で判断します。

 

もし代償反応が起きていない場合には、重炭酸イオンHCO3−、ベースエクセスBEの値は変わりません。この時は「急性呼吸性アシドーシス」であると判断できます。

 

一方、代償反応が起きて、肺の機能を補おうと腎臓が頑張り始めた場合、以下のような化学反応式がおこります。

 

CO2(二酸化炭素) + H2O(水) → H2CO3(炭酸) → HCO3−(重炭酸イオン) + H+(水素イオン)

 

矢印は右→です。二酸化炭素をどんどん分解していくので、その結果作られた重炭酸イオンHCO3−と水素イオンH+の数が増えます。

 

よって、血液ガス上は重炭酸イオンHCO3−(もしくはBE)の数が増えます。

 

呼吸性アシドーシスの血液ガスデータに加え・・・

 

HCO3−>26 mEq/L もしくは BE>+2 mmol/L

 

この場合は、「慢性呼吸性アシドーシス」であると判断できます。慢性閉塞性肺疾患などでみられます。

 

b. 代謝性アシドーシスの場合

 

代謝性アシドーシスになると、血液検査のデータは以下のようになります。

 

代謝性アシドーシス
HCO3−<22mmHg

 

pH <7.35

 

代謝性アシドーシスは、「重炭酸イオンHCO3−が失われすぎてしまった場合」「水素イオンH+が体に溜まりすぎてしまった場合」におこります。

 

代償反応がおきていないときには、PaCO2の値は変わりません。この場合は「急性代謝性アシドーシス」となります。

 

一方、代償反応が起きているときには、どのような化学反応式になるのでしょうか。

 

CO2(二酸化炭素) + H2O(水) → H2CO3(炭酸) → HCO3−(重炭酸イオン) + H+(水素イオン)

 

矢印は右→です。

 

代謝性アシドーシスの時、体は塩基である重炭酸イオンHCO3−を欲しています。重炭酸イオンHCO3−を増やしてどうにか体をアルカリ性に近づけようと、体の中では、二酸化炭素を分解して重炭酸イオンCO3−と水素イオンH+を増やそうとする働きがうまれます。

 

よって二酸化炭素はどんどん分解されていき、数が減っていきます。

 

血液ガスのデータは、以下のようになります。

 

代謝性アシドーシスの血液ガスデータに加え・・・

 

PaCO2<35 mmHg

 

この場合は、「慢性代謝性アシドーシス」であるといえます。

 

アルカローシスの場合

 

a. 呼.吸性アルカローシスの場合

 

呼吸性アルカローシスになると、血液ガスは以下のようになります。

 

 

呼吸性アルカローシス

 

PaCO2<35 mmHg

 

pH >7.45

 

代償反応が起きていない場合は、重炭酸イオンHCO3−の値は変わりません。この場合は「急性呼吸性アルカローシス」となります。

 

代償反応が起きている場合には、化学反応式は以下の通りです。

 

CO2(二酸化炭素) + H2O(水) ← H2CO3(炭酸) ← HCO3−(重炭酸イオン) + H+(水素イオン)

 

矢印は左←です。減りすぎた二酸化炭素CO2をどうにか増やそうと、重炭酸イオンHCO3−と水素イオンH+はどんどん使われていきます。

 

その結果、重炭酸イオンHCO3−の数は減少します。

 

血液ガスの結果は以下のようになります。

 

呼吸性アルカローシスの血液ガスデータに加え・・・

HCO3−<22 mEq/L または BE<−2

 

この場合は、「慢性呼吸性アルカローシス」とよばれます。

 

b. 代謝性アルカローシスの場合

 

代謝性アルカローシスの場合、血液ガスは以下のようになります。

 

代謝性アルカローシス

 

HCO3−>26 mmHg

 

pH >7.45

 

代償反応が起こっていなければ、PaCO2の量は変わりません。この場合は「急性代謝性アルカローシス」となります。

 

一方、代謝性アルカローシスの状態が長期間続くと、以下のような化学反応式が進行します。

 

CO2(二酸化炭素) + H2O(水) ← H2CO3(炭酸) ← HCO3−(重炭酸イオン) + H+(水素イオン)

 

代謝性アルカローシスは、「重炭酸イオンHCO3−が溜まりすぎた場合」、もしくは「水素イオンH+が失われすぎた場合」に起ります。酸が失われてしまっているため、このとき体は酸を必要としているのです。

 

腎臓の機能はキャパオーバーのため、肺を頼るしかありません。そのため、「低換気」状態とすることで、血液中に二酸化炭素をため込もうとします。

 

このように低換気状態になることで、血液ガスをとってみると動脈血中の二酸化炭素分圧PaCO2は上昇しているのです。

 

代謝性アルカローシスの血液ガスデータに加え・・・

 

PaCO2>45 mmHg

 

この時の状態を「慢性代謝性アルカローシス」といいます。

 

混合性アシドーシス、アルカローシスの場合は?

 

では、肺も腎臓も障害されておこる混合性アシドーシス、アルカローシスの場合はどうなるのでしょうか?

 

この場合、どちらもキャパオーバーとなっているため代償反応は発生しません。

 

これで、酸塩基平衡を読み解くための4つの順番の説明はおわりです。もう一度復習しますね。

 

@酸塩基平衡は順調?

 

Aアシドーシス?アルカローシス?

 

B呼吸性?代謝性?はたまた混合性?

 

C代償反応があるか否か

 

の順番に読み解いていきましょう。

 

 

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