3. 酸塩基平衡:体の中では常に「酸」が作られている

 

 

酸塩基平衡とは、体の中の酸と塩基のバランスのことです。私たちが元気に活動するためには酸と塩基のバランスを一定に保っておかなくてはいけません。

 

酸と塩基のバランスを調べるときには、「pH」という指数が用いられます。pHは0から14まであり、0に近いほど強い酸性、14に近いほど強いアルカリ性であるということができます。それでは、私たちのpHの正常値はいくつなのでしょう。

 

答えは、pH 7.35-7.45です。私たちが酸塩基のバランスを保つためには、動脈血のpHを7.35-7.45という非常に限られた範囲でキープしなくてはならないのです。

 

ですが、私たちの体は常に活動を続けています。起きているときはもちろんのこと、眠っている間でも体は常に活動しているのです。そのため、何もしなくては酸と塩基のバランスが崩れてしまうのです。

 

酸と塩基のバランスが崩れる理由の一つは、体の中で酸が常につくられているからです。体の中で常に酸がつくられているので、私たちは酸を一生懸命外に出さなくてはいけないのです。

 

それでは、体の中ではどのように「酸」が作られているのか具体的にみていきましょう。

 

どのように「酸」はつくられているのか?

 

私たちが生きていくために、エネルギーは欠かせません。そしてそのエネルギーを生み出す元が、タンパク質、糖質、脂質などの栄養素です。

 

ご存じの通り、これらの栄養素は通常、食事することによって体内に運ばれます。そして、体の中に運ばれた食物が栄養になるためには、体内で代謝されることが必要です。

 

実は、これらの栄養素が代謝されたときに、酸も作り出されてしまうのです。

 

体内で作り出される酸は、大きく分けて2種類あります。「揮発性(蒸発しやすい)の酸」「不揮発性(蒸発しにくい)の酸」です。

 

体の中で作られている代表的な「揮発性の酸」「不揮発性の酸」は以下の通りです。

 

【揮発性の酸】

 

二酸化炭素(CO2)

 

【不揮発性の酸】

 

硫酸(H2SO4)、リン酸(H3PO4)

 

「硫酸」や「リン酸」が酸の仲間に入るのは、イメージしやすいと思います。ですが、「二酸化炭素も酸の仲間である」と言われても何となくイメージしにくいのではないでしょうか。

 

ここで、なぜ二酸化炭素が「酸」の仲間に入るのかについて説明します。

 

なぜ二酸化炭素は「酸」の仲間に入るのか

 

二酸化炭素が「酸」の中まである理由を説明する前に、まずは、酸塩基平衡における「酸と塩基の定義」について確認していきましょう。

 

酸 : 水素イオンH+を放出する物質のこと

 

塩基 : 水素イオンH+を受け取る物質のこと

 

3. 酸塩基平衡:体の中では常に「酸」が作られている

 

3. 酸塩基平衡:体の中では常に「酸」が作られている

 

この定義を見ていただけたら分かるように、酸とは水素イオンH+を放出する物質のことです。

 

「酸」の仲間であることを見分けるための簡単な方法が、2つあります。

 

一つは、酸の仲間には「○○酸」という名前であることが多いということです。例えば、先ほど出てきた硫酸(H2SO4)、リン酸(H3PO4)の例で見てみましょう。これらの物質には、「酸」という名称がしっかり入っています。

 

そしてもう一つは、「酸」の仲間たちは、先述した通り水素イオンH+をもっているということです。硫酸(H2SO4)、リン酸(H3PO4)の化学式を見てみてください。水素イオンH+がちゃんとくっついていますね。

 

しかし、ここで問題ができてます。二酸化炭素の化学式「CO2」には水素イオンH+がはいっていません。それにも関わらず、なぜ二酸化炭素は酸の仲間に入るのでしょうか。

 

それは、酸の仲間に入るかどうかは、水に溶けた時の状態で判断されるからです。水に溶かしたときに、水素イオンH+が放出されていれば、その物質は酸なのです。

 

では二酸化炭素を水に溶かした時の化学反応式をみてみましょう。

 

3. 酸塩基平衡:体の中では常に「酸」が作られている

 

この化学式を分かりやすく解説します。

 

3. 酸塩基平衡:体の中では常に「酸」が作られている

 

なんとなく分かりましたでしょうか?

 

この化学反応式を見ていただけたら分かるように、二酸化炭素は水に溶けると水素イオンH+を放出しています。そのため、二酸化炭素は酸なのです。

 

ちなみに今回説明した化学反応式は、覚えておくとこれから酸塩基平衡を理解するうえで少し楽できます。

 

もちろん酸塩基平衡というのはとても奥深いので、この化学反応式だけでは説明しきれません。ですが、酸塩基平衡を理解する上でのとっかかりとしては分かりやすいものなので、頭の片隅に置いておいてください。

 

それでは今回のポイントを振り返ります。

 

【ポイント】

 

・体の中では、常に酸が作り出されている

 

・酸には、蒸発しやすい「揮発性の酸」と、蒸発しにくい「不揮発性の酸」がある。

 

・揮発性の酸の代表は、二酸化炭素CO2

 

・不揮発性の酸の代表は、硫酸(H2SO4)、リン酸(H3PO4)

 

酸と塩基のバランスを取っていくためには、常に作り出されている酸をどうにか排出しなくてはいけないんだな、ということを知っておいてください。

 

 

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