12. 呼吸性アルカローシス

 

 

病態

 

呼吸性アルカローシスとは、二酸化炭素のはけ過ぎが原因で、体の中がアルカリ性に傾いてしまった状態のことをいいます。

 

機序

 

呼吸性アルカローシスが起きると、体の中ではこのような化学反応式がすすんでいきます。

 

CO2(二酸化炭素) + H2O(水) ← H2CO3(炭酸) ← HCO3−(重炭酸イオン) + H+(水素イオン)

 

矢印の方向は、左←です。

 

急性の呼吸性アルカローシスの代表的な疾患は、過換気症候群です。過換気症候群では二酸化炭素がはけ過ぎてしまうので、血液ガスを取ってみると、二酸化炭素の量を示す二酸化炭素分圧PaCO2が減少しているのがわかります。

 

呼吸性アルカローシスを引き起こす疾患

 

@呼吸中枢(延髄)に障害が起きた場合

 

呼吸中枢に障害がおきると、呼吸のリズムがくるって換気が促進され、二酸化炭素がはけ過ぎてしまうことがあります。原因は、脳圧亢進、代謝性脳症、頭蓋内出血などです。

 

A細胞レベルで低酸素状態になった場合

 

敗血症やショックなどがおきると、循環がうまくいかなくなり、細胞レベルで低酸素状態が起きます。低酸素状態とはすなわち、細胞の中の酸素が少ない状態=二酸化炭素が溜まっている状態であるため、細胞の中は二酸化炭素という酸が溜まった、アシドーシスの状態になっています。

 

それを是正するために、溜まっている二酸化炭素をはけさせようと、アルカローシスになります。

 

B心因性

 

いわゆる過換気症候群の病態です。緊張や興奮、恐怖などによりハカハカと換気量が増えてしまい、体の中に二酸化炭素が溜まってしまいます。

 

○その他

 

人工呼吸器の設定が不適切である場合にも、CO2がはけ過ぎてしまうことがあります。

 

血液検査データ

 

それでは、呼吸性アルカローシスの時の血液検査データについてみていきましょう。まずは、正常値のおさらいです。

 

正常値

 

PaO2(酸素分圧) : 80〜100 mmHg

 

PaCO2(二酸化炭素分圧) : 35〜45 mmHg

 

pH : 7.35〜7.45

 

HCO3− : 22〜26 mEq/L

 

呼吸性アルカローシスでは、血液ガスの結果は以下のようになります。

 

PaCO2 < 35mmHg (二酸化炭素がはけ過ぎてしまうため、二酸化炭素の量を示す二酸化炭素分圧PaCO2が減少します)

 

pH > 7.45 (酸である二酸化炭素が体からはけすぎてしまう、体はアルカリ性になります。)

 

 

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