夜勤専従看護師の給料や雇用形態・求人について

 

看護師の夜勤専従について

 

「夜勤専従」と呼ばれる勤務形態は、夜勤のみを行う勤務形態のことです。日勤やその他の勤務は行わず、特定の期間「夜勤のみ」を行います。

 

「夜勤専従」という勤務形態が誕生した背景には、看護師の働き方において多様化が進んでいるという点があげられます。

 

夜勤は、本来は寝ているはずの夜に起きて働く勤務です。そのため体に大きな負担がかかり、健康面への悪影響が懸念されます。さらに、「結婚」「子育て」「介護」などの理由により、夜勤をすることでプライベートに大きな影響が及んでしまう場合、生活面にも支障がでてしまいます。

 

医療の高度化に伴い、看護師業務は日々複雑化しています。そのため、夜勤帯にも今まで以上にスタッフが必要になってきましたが、上記の理由により夜勤ができる人材を確保しにくい現状があります。

 

このような状況で誕生したのが、夜勤専従という制度です。

 

夜勤専従の雇用形態 「常勤」と「非常勤(パート・アルバイト)」

 

夜勤専従という勤務形態は、導入している医療機関の数が増えてきています。

 

夜勤専従の看護師として働くためには、大きく分けて2つの雇用形態があります。それは、「常勤」と「非常勤(パート・アルバイト)」です。

 

「常勤」は、正社員と同義語ととらえてよいです。常勤のスタッフが夜勤専従をする場合、普段は「日勤」「早番」「遅番」などさまざまな勤務形態で勤務している常勤スタッフの中から、月に数名、夜勤のみに従事してもらうスタッフを決めます。そしてシフトにおける1サイクル(相談によってはそれ以上)のまとまった期間、夜勤専従として勤務してもらいます。

 

夜勤専従になってもらうスタッフを選定する際には、注意事項があります。それは、必ず本人の同意が必要であるという点です。

 

夜勤は体に大きな負担がかかる勤務です。そのため、スタッフによっては「朝方具合が悪くなる」「夜勤中は頭痛がする」などの理由により、どうしても体質的に夜勤が合わない人がいます。そのような看護師に夜勤専従を無理強いしてしまっては、その看護師の健康を大きく損なうことにつながります。そのため、夜勤専従のスタッフを決める際には必ず本人の同意を得なくてはなりません。

 

一方「非常勤(パート・アルバイト)」という雇用形態で勤務してもらう時には、基本的には夜勤専従のみとなります。「月に何回勤務するか」「どのくらいの期間勤務するか」に関しては、就業規則にのっとったうえで雇用主と看護師とが相談し、労使協定・労働協定を結ばなくてはいけません。

 

また、非常勤(パート・アルバイト)で夜勤専従に従事する場合、「健康診断を受けさせてもらえない」「健康管理が不十分である」などの不利益を被る場合があります。

 

そのため、雇用主と看護師がお互いに、夜勤は心身ともに大きな影響を及ぼす勤務形態であるということを必ず念頭に置き、今の体調や状態を共有していく必要があります。同時に、雇用主は非常勤スタッフの健康状態を正社員同様に管理していかなくてはいけません。

 

給料・労働時間(144時間ルール)からみた夜勤専従のメリット

 

心身ともに負担が大きい夜勤ですが、夜勤専従をすることでのメリットもあります。それは、夜勤専従手当てがもらえる場合があるという点です。

 

夜勤専従は体に大きな負担がかかる勤務形態です。そのため、1992年の診療報酬改定により新設された「夜勤看護加算」の算定要件に、夜勤専従者の負担を軽減することが盛り込まれました。

 

夜勤をするだけで夜勤手当がもらえるのに加え、夜勤専従にはさらに夜勤専従手当てが追加されることで、高額の給料を得ることができます。

 

しかし、注意しなくてはいけないのは、「必ず夜勤専従手当てを○○円支給しなくてはいけない」という決まりごとはないという点です。そのため、どの程度支給されるかは病院によって異なりますし、病院によっては「夜勤専従手当て」とは違う名目で支給される場合もあります。また、支給されない病院があることも事実です。そのため、就職・転職の際には注意が必要です。

 

2012年に日本看護協会が行った調査によりますと、夜勤専従者に対して特別な手当を支給している病院は16.5%で、支給していない病院が83.5%とおよそ大部分を占めていました。「夜勤専従手当て」とは違う名目で支給されていたり、夜勤専従者に特別な賃金体系を用いていたりする病院もあるので一概には言えませんが、いまだに手当が支給されていない病院もあるということをしっかり認識しておかなくてはいけません。

 

また、夜勤専従は労働時間の面からもメリットがあります。1992年の診療報酬改定より、夜勤専従者の勤務時間は一般の夜勤・交代制勤務をする職員の労働時間よりも月に十数時間短くするようになっています。ちなみに、2012年の診療報酬改定ではこの時間短縮についてはなぜか触れられなくなっていますが、日本看護協会は夜勤専従者の労働時間は「月に144時間以下が望ましい」とする提言を出しています。

 

しかし、これに法的拘束力はありません。そのため働く看護師自身が、希望する病院の夜勤専従の労働時間はどのくらいであるのか把握しておく必要があります。

 

ここまでさまざまな注意事項を述べてきましたが、夜勤専従は、夜勤だけに専念できるので、生活リズムを作りやすいという特徴もあります。さらにシフトが夜勤で固定されるため、プライベートの時間も確保しやすいことは事実です。

 

健康状態に問題がなく、夜勤が苦手でない方にはメリットも大きいといえます。

 

夜勤専従のデメリット

 

夜勤専従は、心身ともに大きく影響を与えることに間違いありません。また、「結婚」「子育て」などの状況にある人にとっては、プライベートに支障も出てくることになります。

 

また、夜勤は日勤に比べてスタッフ数が限られています。そのため、日勤以上に看護師一人一人に期待される役割が大きいです。

 

このときに自分以外のスタッフが新人ばかりだったりすると、負担が大きくなってきます。特に年度初めで新人教育期間を終えた直後などは、場合によっては「夜勤スタッフはいるけれども戦力不足で自分一人に負担がのしかかる」という状況に陥るかもしれません。こうなってしまったら、戦力不足の夜勤が数か月続く夜勤専従は非常に負担が大きいものになります。

 

このような点を考慮し、日本看護協会では、夜勤専従勤務者の負担が大きくならないよう、夜勤メンバーの組み合わせには考慮する必要があると提案しています。夜勤メンバーを決める際には、ただ数をそろえるだけではだめなのです。

 

夜勤専従の求人

 

どの医療機関でも夜勤ができる看護師というのは貴重な人材であるため、夜勤専従の募集をかけている病院は多くあります。

 

しかし、「夜勤専従のみ」の求人を探そうとすると、「非常勤」「パート」「アルバイト」といった雇用形態が多くなります。その理由は、夜勤専従は負担の大きい勤務形態であり、正社員でずっと夜勤専従に従事させることはリスクが大きいためです。

 

そのため、「非常勤」でもよいという考えであれば、夜勤専従のみの勤務形態で働くことは可能だと考えられます。

 

また、夜勤専従の求人を探す際には、上述したように「夜勤専従手当ての有無、金額」「労働時間」に関しても注意してみていかなくてはいけません。これは、医療機関による差が非常に大きいためです。
このように、さまざまなリスクが伴うことは確かな夜勤専従ですが、「高額の給料が得られる」「プライベートの時間が確保しやすい」「普段の勤務よりも短い労働時間で済む」などのメリットも数多くあります。

 

そのため、夜勤が苦手でないという方は、一度夜勤専従にトライしてみるのもよいでしょう。



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