3交代制、2交代制のメリットとデメリット

 

病院で働く看護師は、基本的には交代勤務となります。特に病棟勤務の看護師の場合には夜勤を含めた勤務形態となるため、病院で勤務するうえでは交代勤務についての知識をもつことが不可欠となります。

 

病棟における交代勤務ですが、基本的には3交代制2交代制の2種類があります。病院によって、または病棟によって、どちらを採用しているかが異なります。

 

どちらがよいかについては、一概には言えません。自分に合うのはどのような交代制なのか、3交代制と2交代制のメリット・デメリットを認識した上で就職先を考えていく必要があります。

 

それぞれの特徴について、順番にみていきましょう。

 

3交代制の特徴

 

3交代制勤務とは、基本的には「日勤」「準夜勤」「深夜勤」の3通りの勤務形態で働くことです。

 

3交代制勤務では、24時間を3等分にして考えます。つまり、1回のシフトでの勤務時間は8時間が基本です。

 

ある3交代制の病棟における勤務時間を例に出します。

日勤:8:00〜16:30
準夜勤:16:00〜0:30
深夜勤:0:00〜8:30

 

それぞれの勤務終了時間が「30分」となっているのは、次のシフト担当者との引き継ぎ時間が入っているからです。

 

なお、基本的には「日勤」「準夜勤」「深夜勤」の3種類の勤務形態ではありますが、部署によっては人手が不足する朝や夕方の時間に合わせて「早番」「遅番」などの勤務形態を取り入れているところもあります。そのため、実際には5種類かそれ以上の種類の勤務形態をこなすことになります。

 

<3交代制のメリット>

 

3交代制のメリットは、1回の勤務時間が8時間と短いことです。そのため、勤務中は集中力を持続させることができます。特に高い集中力を要求されるICUなどの集中治療領域においては、これ以上の勤務時間だと医療事故を起こす可能性が高くなってしまいます。

 

<3交代制のデメリット>

 

3交代制のデメリットは、連休が少ない点です。

 

例えば3交代制では、「休み」→「深夜勤」のようなシフトがあります。この場合「休み」というシフトになってはいるものの、翌日が深夜0:00から働かなくてはいけないため、実際には夕方から仮眠をとるなどして次の勤務に備えなくてはいけません。その結果、シフト上は「休み」だけれども、丸一日プライベートに費やすことは困難になります。

 

また、病院によっては「日勤」→「深夜勤」や「準夜勤」→「日勤」といったシフトがある場合があります。

 

これらのシフトは一見、次の勤務まで8時間空いているので休めるように思いますが、実際にはそうはいきません。時間外労働や通勤などに時間がとられる上、ご飯を食べたり入浴をしたりしていると仮眠時間はほとんどなくなってしまう場合があります。

 

その結果、ほとんど寝ないまま次のシフトに突入しなくてはいけなくなります。このことは看護師の健康を大きく害しますし、集中力が低下して医療事故のリスクも高まるため大変危険です。

 

<3交代制の病院(病棟)を選ぶうえでの注意点>

 

日本看護協会では、「夜勤・交代勤務に関するガイドライン」の中で、「勤務と勤務の間は11時間以上あける」ことを推奨しています。

 

しかし、これは推奨しているだけであって、法的拘束力はありません。そのため、病院によっては人手不足などにより、次の勤務まで8時間しか空かないようなシフトの組み方をしているところもあります。

 

次の勤務までが8時間未満だと、先述したように看護師の健康を害する上に医療事故のリスクも高まります。

 

そのため、3交代制の病院を選ぶときには、勤務と勤務の間を11時間以上空けているシフトを作成しているか確認する必要があります。

 

2交代制の特徴

 

3交代制では、基本的には「日勤」「準夜勤」「深夜勤」という3種類の勤務形態でした。

 

2交代制の場合は、「準夜勤」と「深夜勤」が合体して16時間の「夜勤」となります。つまり、8時間の「日勤」と16時間の「夜勤」の2通りの勤務形態をとるという点が、2交代制の特徴です。

 

ちなみに、2交代制の場合も、病院(病棟)によっては「早番」「遅番」があったり、16時間の「夜勤」もするけれども「準夜勤」や「深夜勤」の時もあったりというように、実際の勤務形態にはさまざまな種類がある場合が多いです。

 

ある2交代制の病棟における勤務時間を例に出します。

日勤:8:00〜16:30
夜勤:16:00〜8:30

 

3交代制の場合と同じく、勤務終了が「30分」となっているのは、次のシフト担当者への引き継ぎが必要なためです。

 

<2交代制のメリット>

 

2交代制勤務のメリットは、連休が取りやすいためプライベートを充実させやすいという点です。

 

16時間「夜勤」は、1度の出勤で2日分働くことになります。また、3交代制と違って「休日のあとの深夜勤」といった勤務はほとんどないため、休日は丸一日プライベートの時間を確保できます。

 

<2交代制のデメリット>

 

一方、デメリットは夜勤の拘束時間が長すぎるという点です。

 

先進諸国の中で看護師の16時間勤務を行っているのは日本だけです。長すぎる夜勤は、判断力や作業能力をかなり低下させます。十分な休養をとらないまま夜勤をすると、真夜中から朝方にかけて作業能力が低下し、酒気帯び状態で同じ作業をさせた場合よりも作業能力が落ちてしまうという報告があります。

 

また、医療事故の発生するリスクも増加します。看護師の健康を害するのはもちろん、夜勤明けに極度の疲労状態のなか運転して帰宅することで、交通事故も増えるともいわれています。

 

看護師のプライベート面を考慮するならば魅力的な2交代制ですが、長時間労働に伴うデメリットも知っておかなくてはいけません。

 

12時間シフトについて

 

先述したように、先進諸国では12時間を超える労働を課している国は日本以外ありません。16時間勤務というのは、人員不足という現実の中、少しでも看護師のプライベートな時間を生み出そうとして開発された苦肉の策です。しかし、看護師の健康面や医療安全面を考慮すると必ずしも適切とはいえません。

 

そのため、最近では12時間シフトのトライアルを開始している病院もあります。

 

12時間シフトとは、「日勤」「夜勤」の2通りの勤務をそれぞれ12時間従事する勤務形態です。

 

12時間シフトを導入すると、長時間労働を避けることができます。しかしその代り、例えば日勤が8:00〜20:00になってしまいます。患者さんの朝から晩まですべてみなくてはいけなくなってしまうため、業務量が増えてしまうのではないかと危惧する声もあります。

 

そのため、12時間シフトに関しては、「早番」「遅番」などの勤務形態をうまく取り入れながら、業務量が偏りすぎないように調節していくことが必要です。

 

このように、交代制勤務にはまだまだ改善すべき点が多くあります。日本看護協会も、看護師がより働きやすい勤務形態を実現できるよう努力してはいますが、まだまだ現場に浸透していないのが現状です。

 

勤務形態を含めた看護師の労働環境は、病院によって大きく異なります。そのため、就職・転職の際には、「どのような勤務形態か」「勤務と勤務の間は11時間以上あいているか」「残業時間はどのくらいか」などを注意してみていく必要があります。



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