病棟看護師が知っておくべき「夜勤」のルール

病院で働くうえで、夜勤は避けては通れないものです。しかし夜勤をすることは、看護師の「健康」「生活」「安全」に大きな影響を与えます。

 

看護師が自分の健康を守りながら長く働き続けるために、日本看護協会ではいくつかの提案をしています。法的拘束力はないのですが、どれも働く看護師を守るうえで非常に重要な事柄です。

 

しかし、残念ながら病院(病棟)によっては「慢性的な人手不足」「管理者の理解不足」などの理由により、これらが取り入れられていない場合もあります。

 

そのため、わたしたち自身が夜勤に対する正しい知識を持ち、自分自身を守れるようにしていかなくてはいけません。

 

それでは、日本看護協会で提案されている対策について順番にみていきましょう。

 

夜勤回数の上限は月8回

 

夜勤回数の上限は、法律で決まっているわけではありません。しかし、公的な目安とされている上限はあります。それが「月8回まで」です。

 

この目安は、1960年(昭和40年)に人事院が出した「看護職の夜勤は8時間3交代勤務において、2名、月8回以内を基本とする」という文章によるものです。ちなみにこの文章は「2-8(ニッパチ)判定」と呼ばれています。

 

昭和40年というかなり昔に出された2-8判定ですが、残念ながら時代が変わった今でも守られていません。2010年に日本看護協会が行った調査によると、3交代制の勤務の平均夜勤回数は8.5回で、43.1%が月9回以上、21.6%が月10回以上勤務しているという結果でした。

 

現実的には、このように夜勤上限を超える働き方を強いている病院(病棟)がまだまだあるのです。就職・転職の際には、「平均夜勤回数は何回なのか」にも注目していく必要があります。

 

ちなみに、看護師の夜勤上限を定める目安には、上述した「2-8判定」のほかに「72時間ルール」と呼ばれるものもあります。こちらは、口述します。

 

勤務と勤務の間は11時間以上あける

 

これは、主に3交代制の場合です。3交代制を採用している病院(病棟)の中には、「日勤→深夜勤」「準夜勤→日勤」のようなシフトの所もあります。次の勤務まで8時間あいているので余裕があるように見えますが、実は違います。

 

時間外労働や出勤時間、そして食事・入浴といった生活する上で最低限必要なことを行う時間を加味すると、「仮眠できる時間は2、3時間しか残っていなかった」ということにもなりかねないのです。これでは、疲労や集中力の低下から、医療事故を引き起こしかねません。

 

そのため、勤務と勤務の間は11時間以上あけるように推奨されています。

 

拘束時間は13時間以内

 

8時間を超す労働は「長時間労働」であるとされています。2交代勤務の場合、夜勤の拘束時間は16時間です。先進諸国の中で看護師が夜勤で16時間も働く国は日本しかありません。

 

長すぎる勤務時間は看護師の健康を害すると同時に、医療事故のリスクも増大します。そのため、16時間夜勤に関しては今後、医療界全体で検討していくべき課題となります。

 

夜勤の連続回数は2回(2連続)までとする

 

「朝起きて夜眠る」という生体リズムは2日間で固定されます。つまり、昼夜逆転生活を2日間続けると、体のリズムも昼夜逆転してしまうのです。

 

しかし、これでは困ってしまいます。まず、体の自律神経やホルモンバランスが乱れ、不健康な状態になります。また、わたしたちの社会ではみな昼型生活を送っているため、昼夜逆転ではさまざまな不都合が生じます。

 

そのため、2連続以上の夜勤を避け、体が昼夜逆転してしまうのを防ぐ必要があります。

 

2連続夜勤の後には48時間以上、1回夜勤の後には24時間以上の休憩時間を確保

 

先述したように、人間の生体リズムは2日で固定されます。そのため、2連続夜勤の後には2日以上の休息をとることで体を通常のリズムに戻していく必要があります。

 

また、1回の夜勤後であっても、疲労を少なくするために24時間以上の休息をとることが望ましいとされています。

 

休憩時間は、夜勤の途中で1時間以上確保する

 

「労働時間のうちどれくらいの時間を休憩に充てるか」については、労働基準法で決められています。労働基準法では「労働時間6時間以上8時間未満の場合は45分以上、8時間を超える場合は1時間以上の休憩を勤務の途中で与える」とされています。これは、法律で定められているため、必ず守らなくてはいけません。

 

しかし、夜勤中の休憩時間に関しては実は具体的な基準が示されていません。そのため、「最低1時間」は確保する必要がありますが、それ以上は各病院や病棟によって差があります。

 

夜勤は、本来眠るべき夜に働かなくてはいけないので、心身ともに負担が大きい勤務です。そのため、次項で述べる「仮眠」という観点から考えても、本来であれば最低でも2時間の休憩時間が確保されることが望ましいです。

 

夜勤の途中で連続した仮眠時間を設定する

 

人間の睡眠は、90分サイクルで繰り返されます。この90分間の間に、「レム睡眠」と呼ばれる浅い睡眠と「ノンレム睡眠」と呼ばれる深い睡眠を波のように繰り返しているのです。

 

夜勤の途中で90分の仮眠をとることができれば、1サイクルの睡眠を確保できたことになります。1サイクルの睡眠を確保できれば、効果的な疲労回復がなされる上に、目覚めた時の倦怠感も最小限で済みます。

 

そのためには、仮眠時間を2時間以上確保する必要があります。

 

患者さんの急変や急患などで必ず毎回2時間確保することは難しいかもしれませんが、できる限り長く休憩時間を確保できるよう、休憩交代のタイミングなどを工夫していく必要があります。

 

夜勤中に休憩が取れなかったら、その分の時間を時間外勤務として扱わなくてはいけない

 

これに関しては、労働基準法第119条に規定されています。そのため病院は、夜勤中に休憩が取れない看護師がいたら必ず時間外手当を支給しなくてはいけないのです。そして、それが22:00〜5:00までの間だった場合、深夜割増料金の時間外手当を支給しなくてはなりません。

 

このように、夜勤に従事する看護師が働きやすくするために提案されている対策には、さまざまな種類のものがあります。

 

しかし、これらは組織が意識して取り組まなくてはいけない問題です。そのためスタッフレベルでは、なかなかすぐに現状を変えることは難しいかもしれません。

 

そのためにも、現場で働くスタッフは夜勤に対する正しい知識をつけていく必要があります。正しい知識を持つことで、自分の働いている状況を客観的に見つめなおすことができますし、必要時には管理者に相談することもできるからです。

 

就職・転職の際にも、これらの事項を頭に入れながら、それぞれの病院の労働条件を慎重に吟味していく必要があります。

 


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