看護師におけるキャリアプランの描き方

 

「キャリアプラン」という言葉をご存知でしょうか。

 

「キャリアプラン」とは、「自分が職業人としてどのようなキャリアを積んでいきたいか」についての計画です。同じ職業についていても、価値観は人それぞれ大きく異なります。そのため、一人として同じキャリアプランの人はいません。

 

「キャリアプラン」を考えるうえでは、自分のこれまでの人生・これからの人生について考えることが欠かせません。なぜなら、仕事はただお金を稼ぐためだけのものでなく、「自分自身がどうありたいか」という、自分自身の存在と密接に関わりあっているからです。

 

例えば「高収入のクリニックで働きたい」と思っていたとします。このとき、自分自身に「自分はなぜ高収入のクリニックで働きたいのか」と問いかけてみましょう。

 

すると、「稼いだお金を自分に投資して自分磨きをしたい」「高収入の職場で短時間働き、空いた時間で英会話を習いたい」など、自分が高収入のクリニックで働きたい本当の理由が見えてくると思います。さらに何度か繰り返し「なぜ」を問いかけると、自分が本当は何を求めていて、「どうありたいと思っているのか」に気づくことができます。

 

「自分自身がどうありたいか」というのはすなわち、「自分がどんな人生を歩みたいか」ということです。

 

つまり、キャリアプランを考えることは、自分自身がどんな人生を歩みたいかについて考えることなのです。

 

「キャリアプランってなんだか面倒くさそう」と思わずに、どうすればより楽しい人生になるのか、それを考えるためのツールとしてキャリアプランを使っていきましょう。

 

キャリアプランにおける短期目標と長期目標

 

みなさんは看護計画を立てるとき、「短期目標」と「長期目標」を考えると思います。

 

看護計画における「短期目標」は、少なくとも1、2週間くらいの間に達成したい目標のことです。たとえば術後の患者さんが「自分でトイレに歩行できるようになる」などが、短期目標に当たります。

 

一方「長期目標」は、長い目で見た目標のことです。数か月、年単位の目標となります。たとえば、術後の患者さんが「退院し、自立して安全に生活できるようになる」などが長期目標に当たります。

 

これと同じで、キャリアプランにも「短期目標」と「長期目標」を設定するとよいでしょう。

 

例えば新人看護師の場合、短期目標は「業務を覚え、自立して患者さんを受け持てるようになる」ことかもしれません。または「採血が上手になる」などの具体的なものでもかまいません。

 

看護師は、日々の業務に精いっぱいでなかなか余裕がありません。そのため、ついつい目先の「短期目標」にばかり目が行きがちだと思います。しかし、自分が理想とするライフスタイルを送るためには「長期目標」についても意識していかなくてはいけません。

 

先に挙げた新人看護師の例であると、「3年後:新人教育に携わる」「6年後:専門領域を深めるために大学院に進学」「7年後:専門看護師になる」などになるかもしれません。

 

このように具体的に目標を決めることで、その目標に向けてどのように努力していけばいいのかがはっきりしてきます。

 

キャリアプランの長期目標が思い描けない場合

 

そうはいっても、まだ具体的な目標や興味のある方向がはっきりせず、長期目標が思い描けない場合もあると思います。そして、このような悩みを抱えている人は多いのではないのでしょうか。

 

そのような場合は、まずは、日々の業務を確実に積み重ねていくことだと思います。

 

単調な繰り返しに見える日々かもしれませんが、同じ日は一日としてありません。毎日出勤し、いろいろな経験を重ねていくうちに、ぼんやりと自分のやりたいことの方向性が見えてくる場合もあると思います。

 

また、日常業務の小さな一つ一つについて意識して向き合うようにしてみてください。「もっと効率よくケアをするには」「もっと患者さんに寄り添うには」などを真剣に考えるようにすることで、思いがけないタイミングで自分の興味が定まる場合もあります。

 

思い切って、部署を変えてみるのも一つの方法かもしれません。部署を変えることで、今までいた領域を客観的に見ることができますし、また新たな価値観と出会うこともできます。

 

キャリアプランの具体的な描き方

 

興味がある方向性がはっきりしている方もそうでない方も、具体的なキャリアプランの描き方について知ることは重要です。その手順に沿ってキャリアプランを考えていくことで、「自分自身が何を求めているのか」について知ることができるからです。

 

キャリアプランを描くために大切なことは、まず「今の自分自身を知ること」です。

 

「自分はどんな価値観・看護観を持っているのか」「長所・短所は何か」「得意なこと・苦手なことは何か」「好きなこと・嫌いなことは何か」「興味のあることは何か」などを、紙に書きだしていきます。

 

こうすることで、自分自身のことを客観的に見つめなおすことができます。

 

その作業が終わったら、次に「未来の自分を具体的に想像する」という作業に移りましょう。

 

「夢は何か」「どんな生活がしたいか」「どんな職場で働きたいか」「どんな看護師になりたいか」などを、なるべく具体的に想像します。そのうえで、その「なりたい自分」になるためには何をしていけばいいのか考えましょう。

 

例えばキャリアプランを考えているうちに「自分は海外に興味がある」ということに気が付いたとします。そこで将来は「海外留学してみたいな」と考えたならば、「1年後にTOEICを受ける」「3年後にTOEIC700点」「5年後に海外留学」など、具体的なキャリアプランを考えていきます。

 

もちろん、すぐにキャリアプランを決めることは難しいですし、その時々のライフステージによってキャリアプランも大きく変わることがあると思います。しかし、迷ったときは一度立ち止まって自分自身について振り返ってみましょう。キャリアプランをたてることで、「仕事」が人生を豊かにするために役立つものとなってくれます。



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