看護師求人は「施設の種類」「開設者」によって給料が変わる
看護職(看護師、准看護師、保健師、助産師)は、活躍できる場所がとても多いです。
最も多いのは「病院」「診療所」で働く看護職で、全体のおよそ8割にものぼります。その他の就業場所としては、主なものに「助産院」「訪問看護ステーション」「看護師養成学校」「老人介護施設・老人保健施設」「保健所」などがあります。
しかし、このほかにも「保育園」「会社」「コールセンター」など、看護職には本当にさまざまな働き場所がある上に、その多様性は年々増してきています。
それぞれの職場で給料・待遇に差は出てきますが、まずは働く看護職の約8割を占める「病院」「診療所」について詳しくみていきましょう。
注目すべき点は、働く施設によって大きく給料が変わることはもちろん、「誰が病院を作っているか」によっても給料が変わるというところです。
「病院」と「診療所」の違い
はじめに、「病院」と「診療所」の違いについて説明しておきます。「病院」と「診療所」の違いは、「病床数(ベッドの数)がいくつか」という点です。
病床数が20床以上あるのが「病院」、19床以下であるのが「診療所」です。
なお、街を歩いていると「〇〇クリニック」「〇〇医院」「〇〇診療所」などとさまざまな名称の施設があると思いますが、これらはみな「診療所」というカテゴリーに入ります。クリニック=医院=診療所と思っていただいて構いません。
さまざまな種類の「病院」
病院は、「ベッドの使用目的」によって5つに分けることができます。「一般病床」「感染症病床」「結核病床」「精神病床」「療養病床」です。
例えば「一般病床」と「療養病床」を比較してみましょう。
一般病床は、いわゆる普通の「総合病院」です。病気になってしまった人に対して、「治癒」「病気との共存」を目的とした治療が行われます。一方の「療養病床」は、長期にわたって療養を必要とする人が対象の病床です。長い時間をかけてリハビリ等を行いながら機能の回復を目指します。
この2つを比較しただけでも、性質が大きく違うことに気がつくと思います。病床はそれぞれの目的ごとに人員配置が異なりますが、「一般病床」と「療養病床」を比較してみると、上述したような性質の違いにより、一般病床の方が人員は手厚いです。
しかし、同じ「一般病床」の病院であっても、病院によって人員配置は異なってきます。
病院によって異なる「看護配置基準」に注意して就職先を選ぶ
「7対1」「10対1」などの言葉を聞いたことがあるでしょうか。これらは、「看護職員が受け持つ患者の数」を表しており、「看護配置基準」と呼ばれています。
長い間、日本の看護配置基準は諸外国に比べて低い水準でした。しかし2006年の診療報酬改定により、従来と比べ手厚い「7対1」(患者さん7人に対して看護職員1人)という看護配置基準が新たに設けられました。
これにより、「7対1」を看護配置基準とした病院も増えてきましたが、まだ「10対1」の病院も多いです。そのため、就職先を選ぶ場合には看護配置基準についても必ず知っておかなくてはいけません。
なお、それぞれの看護配置基準による看護師の受け持ち人数は下記のようになります。(一般病床、患者数50人の場合)
看護配置基準 | 看護職員全体の数 |
<夜勤時> |
<日勤時> |
---|---|---|---|
7対1 | 37人 |
看護職員:5人 |
看護職員:12人 |
10対1 | 25人 |
看護職員:3人 |
看護職員:9人 |
13対1 | 20人 |
看護職員:3人 |
看護職員:6人 |
15対1 | 17人 |
看護職員:2人 |
看護職員:6人 |
受け持ち患者さんが1人増えるだけで、「ケア」「ナースコール対応」「記録」など、負担は大きく変わります。また、受け持ち人数が増えるほど、患者さんへ行われるケアの質も低下します。
そのため、就職の際には看護配置基準にくれぐれも注意するようにしましょう。
「開設者」の種類
医療機関を開設し、運営していく組織や団体のことを「開設者」といいます。つまり、「誰が病院を運営しているか」ということです。
なお、開設者がどのような組織・団体であるかによって、給料や福利厚生にも差が出てきます。一般的に、一番給料がいいのは「私立学校法人」です。なお、福利厚生に関しては、「国、公立(公務員)」がよいとされていますが、これも一概には言えません。
開設者の種類や給料の詳細は、働く病院による看護師の給料格差に詳しく載せていますのでご確認ください。
このように、見落としがちな施設の種類や開設者ですが、よくみてみるとこれだけで給与・収入に直結するような内容になっていることがわかります。