働く病院による看護師の給料格差

 

看護師の仕事は、「保健師助産師看護師法(保助看法)」のもとで、その役割が決められています。

 

しかし、同じ仕事、業務内容でも、働く病院や場所によってその給料は大きく変わってきます。日本では、給与の決定がそれぞれの病院や施設にゆだねられているためです。

 

あなたが納得のいく職場選びができるように、まずは病院別の賃金の違いについての基本情報をみていきましょう。

 

設置主体別の給与の違い

 

設置主体とは、「病院を運営してるのはだれか」を指しています。病院は、国が運営しているところもあれば個人が運営しているところもあり、さまざまな設置主体があります。

 

設置主体が違うということは、当然ながら人件費のかけ方も変わってきます。そのため給料も変わります。

 

まずは、新人看護師の給料は、どのように違うかみていきましょう。

 

<設置主体別の新人看護師給与の違い(総支給額)>

 

設置主体

税込給与総額

国(厚生労働省、独立行政法人国立病院機構、国立大学法人、独立行政法人労働者健康福祉機構、その他) 26万9400円
公立(都道府県、市町村、地方独立行政法人) 26万5881円
公的医療機関(日本赤十字社、済生会、厚生農業協同組合連合会、北海道社会事業協会) 26万9,960円
社会保険関係団体(全国社会保険協同連合会、厚生年金事業振興会、船員保険会、健康保険組合、共済組合、国民健康保険組合) 28万1,240円
公益法人(公益社団法人、公益財団法人) 27万5,206円
私立学校法人 29万1,760円
医療法人、個人 27万1,550円

参考:日本看護協会

 

この表を見ていただければわかるように、新人看護師の平均給与(総支給額)が一番多いのは、私立学校法人の病院で29万1760円です。私立学校法人とは、「○○病院(私立大学)付属病院」のような病院のことを指します

 

一方、新人看護師の平均給与(総支給額)が一番少ないのは公立病院で、26万5881円です。私立学校法人と比べると、2万5000円ほどの差になります。

 

それでは次は、勤続10年目の看護師の給与(総支給額)についてみていきましょう。

 

<設置主体別の勤続10年目看護師給与の違い(総支給額)>

 

設置主体 税込給与総額
国(厚生労働省、独立行政法人国立病院機構、国立大学法人、独立行政法人労働者健康福祉機構、その他) 33万2,000円
公立(都道府県、市町村、地方独立行政法人) 33万864円
公的医療機関(日本赤十字社、済生会、厚生農業協同組合連合会、北海道社会事業協会) 33万2,648円
社会保険関係団体(全国社会保険協同連合会、厚生年金事業振興会、船員保険会、健康保険組合、共済組合、国民健康保険組合) 33万9,256円
公益法人(公益社団法人、公益財団法人) 32万550円
私立学校法人 35万7,366円
医療法人、個人 30万8,000円

参考:日本看護協会

 

勤続10年目の看護師の給与で比較すると、やはり私立学校法人が35万7366円で最も高い水準となっています。

 

設置主体のほかにも、給与が違ってくる場合があります。働く地域による違いなどです。たとえば、最高水準の千葉県と最低水準の山口県では、その差は4万円弱にもなります。また、働く病院の病床数によっても給与が異なります。この場合は、病床数が大きければ大きいほど給与も増えていきます。

 

ここまでは、給与のことについてみてきました。しかし、給与を含めた待遇のことを考えるときには、給与のほかに福利厚生についても考慮しなくてはいけません。

 

もちろん病院によって大きな差はあるものの、一般的には運営主体が国や公立のほうが福利厚生は充実しているといわれています。運営主体が国や公立の病院で働く看護師は、公務員となるためです。

 

しかしもちろん、私立学校法人やその他の運営主体でも特色のある福利厚生を売りにしている病院はたくさんあります。面白い例では、ある私立病院は有名テーマパークの年間パスポートを福利厚生にしているような場合もあるのです。

 

そのため、就職・転職する際には、給与をみるのはもちろん、その病院がどのような福利厚生に力を入れているのか確認することも重要なポイントとなります。



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