病院で派遣看護師として働くために最低限知っておきたいこと
看護師は国家資格をもつ専門職種です。働く場所や雇用形態にはさまざまな種類があるため、自分のライフスタイルに合わせて柔軟に選択することができます。
雇用形態の一つに、「派遣」として働くという方法があります。しかし、派遣とは何なのかについてはっきりとわからない方も多いのではないでしょうか。
そのため、今回は「病院」や「診療所(クリニック・医院)」で派遣看護師として働く上で最低限知っておきたい知識について述べていきます。
パート・アルバイトと派遣の違い
「非常勤」と呼ばれるパート・アルバイトは、1週間の所定労働時間が常勤(正職員)よりも短い人たちのことを指しています。
そして、「派遣」として働く人も、1週間の所定労働時間は常勤(正職員)より短いです。それでは、両者の違いはどこにあるのでしょうか。
最も大きな違いは、雇用主が違うという点です。
非常勤の場合、雇用主は勤務先の病院や診療所です。働いている医療機関に直接雇われているこのような形態は、直接雇用と呼ばれています。
非常勤看護師は勤務先に直接雇われて労働契約を結び、「賃金の支払い」「社会保険の手続き」「年次有給休暇の付与」「休業手当の支払い」などはすべて勤務先からなされます。
一方派遣看護師の場合、雇用主は人材派遣会社になります。ここが、非常勤看護師との大きな違いです。
派遣看護師を雇っているのは人材派遣会社なので、労働契約は勤務先ではなく人材派遣会社と結ばれます。
また、「賃金の支払い」「社会保険の手続き」「年次有給休暇の付与」「休業手当の支払い」も、すべて人材派遣会社からなされます。
そのため、勤務先で働いているときは一見するとほかのスタッフと変わりないですが、所属は勤務先ではなく人材派遣会社になるのです。
看護師が派遣として働くことのできる条件
「派遣」と呼ばれる雇用形態は、看護師だけでなくさまざまな業種に存在します。そして、派遣として働く人たちを守るために「労働者派遣法」と呼ばれる法律があります。
以前は、医療関係業務において派遣として働いてはいけないという決まりがありました。しかし2004年の法改正で、医療機関(病院・診療所)については、ある条件に限って派遣として働いてもよいことになりました。
その条件とは、「紹介予定派遣」と「育休・産休代替勤務としての派遣」の2つです。
紹介予定派遣とはなにか
「紹介予定派遣」は、聞きなれない言葉だと思います。しかし、派遣に興味のある看護師の方は、自分できちんと知識を持ったうえで転職活動をするために必ず知っておかなくてはいけません。
紹介予定派遣とは、派遣期間終了後に就職することを前提として、人材派遣会社が看護師を派遣することです。
つまり、派遣期間が終了したら退職するのではなく、派遣期間終了後に勤務先である病院・診療所に直接雇用されて働き続けるという前提でならば、派遣看護師は雇われることができるのです。
この場合、派遣期間に関しても決まりがあります。派遣期間は最長6か月という決まりです。
そのため、派遣看護師が「派遣」という雇用形態で勤務するのはどんなに長くても6か月までということになります。そのあとは、勤務先の病院・診療所に直接雇用されて「非常勤(場合によっては常勤)」という雇用形態になり、継続して働きます。
ちなみに育休・産休代替としての派遣とは、配属先の施設における職員が産休や育休などで休業しているときに働くことをいいます。契約期間は基本的に、正規の職員が産休・育休から復帰するまでの間です。
派遣でも「有給」や「育休」は取得できる
雇用形態が「派遣」であっても、労働基準法や男女雇用機会均等法は適応されます。
そのため、年次有給休暇(有給)を取得することは可能であるうえ、勤務時間数によっては育児休業を取得することも可能です。
これらは、人材派遣会社の責任の元で取ることができます。
ここまでみてきたように、派遣は勤務先ではなく人材派遣会社に雇われているという点が大きな特徴になります。そして、看護師が派遣される場合は、育休・産休代替の場合を除き契約期間後に就職することが前提であるという点も覚えておかなくてはいけません。