看護師資格と業務内容

 

看護師として働く以上、「そもそも看護師はどのような立ち位置で働く職種なのか」という点については、必ず押さえておかなくてはいけないものです。

 

まずは、看護師という資格について確認し、そこから看護師がどのような業務を行っているのかについてみていきましょう。

 

看護師業務の法的位置づけと業務内容

 

ご存知の通り、看護師は国家資格です。国家資格とは、国が法律に基づき認定を行っている資格のことです。つまり、国に認められた人だけが「看護師」という資格を得ることができるのです。

 

看護師は国家資格であるために、その資格を得るためには「看護師国家試験」と呼ばれる試験を受けなくてはいけません。看護師国家試験に合格することができたら、厚生労働大臣の許可を受けて看護師になることができるのです。

 

看護師は、「保健師助産師看護師法(保助看法)」と呼ばれる法律で規定されています。

 

「看護師」の定義について、保助看法の第5条には以下のように書いてあります。

 

【看護師の定義】

 

この法律において「看護師」とは、都道府県知事の免許を受けて、傷病者もしくは褥婦に対する療養上の世話または診療の補助を行うことを業とするものをいう

 

つまり、看護師とは病気の人や褥婦(出産後の女性)のお世話、さらには診療の補助を行う仕事であるといえます。

 

しかしながら、この法律にある「診療の補助」という部分に少し語弊があります。あなたが今まで病院でみたことのある看護師の働く姿を思い出してください。確かに医師のそばで診察の補助をしているときもありますが、採血したり、時には注射を打ったりもしています。これらの行為も、「診察の補助」に含まれるのです。診療の補助の解釈というのは、とても広くて曖昧な部分があるのです。

 

診療の補助に関して触れている法律について、みていきましょう。まず、看護師が行う医療行為については、保助看法の第37条に以下のように書いてあります。

 

【特定業務の禁止】

 

保健師、助産師、看護師又は准看護師は、主治の医師又は歯科医師の指示があつた場合を除くほか、診療機械を使用し、医薬品を授与し、医薬品について指示をしその他医師又は歯科医師が行うのでなければ衛生上危害を生ずるおそれのある行為をしてはならない。ただし、臨時応急の手当をし又は、助産師がへその緒を切り、浣腸を施しその他助産師の業務に当然に附随する行為をする場合は、この限りでない。

 

一方で医師の行う医療行為に関しては、医師法に以下のような規定があります。

 

【非医師の医業禁止】

 

第17条 医師でなければ、医業をなしてはならない。

 

ここでいう「医業」は、次のようになります。

 

(医師法17条の医業の解釈)

 

医師法第17条に規定する「医業」とは、当該行為を行うに当たり、医師の医学的判断及び技術をもってするのでなければ人体に危害を及ぼし、又は危害を及ぼすおそれのある行為(医行為)を、反復継続する意思をもって行うことであると解している。

 

ここまでの法律をまとめてみましょう。最初に見た保助看法第37条においては、「医師の指示があった場合を除き、医療行為は禁止されている。」とされています。つまり、医療行為は本来医師が行うべきものなのです。それでも看護師が医療行為を行う必要性がある場合があります。

 

その時には、医師の指示を必要とし、あくまで「診療の補助」という範疇のもとで行われるものとされているのです。

 

看護師が行う「注射」について

 

一口に注射といっても、穿刺部位(注射を刺す場所)によって、実はいろいろな種類があります。皮下注射、筋肉注射、静脈注射、動脈注射などです。

 

この中で看護師が行ってはいけないものがあります。

 

それは、動脈注射です。動脈注射は、そのほかの注射に比べて患者さんに与える影響が大きく、また、清潔操作(体の中に菌が入らないように行う操作のこと)や止血操作もより高いレベルで行わなくてはなりません。そのため、医師のみが行うとされています。

 

ちなみに静脈注射に関しては、平成14年の9月に「診療行為の範疇」という拡大解釈がなされたため、看護師は医師の指示のもとで行うことができるようになりました。

 

このように、看護師が行う業務は医師の診療補助ですが、実際には大きな範囲で医師を手伝うことになります。ただ、注射と言っても動脈注射のように看護師が認められてない行為も存在するため、こうした点については注意する必要があります。



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