看護師受験資格を得る3年課程と4年課程の違い

 

看護師は、看護師国家試験を受けて合格した人にだけ与えられる「国家資格」です。

 

看護師国家試験は、誰でも受験できるわけではありません。決められた教育機関で看護師になるための勉強をしたうえで、はじめて看護師国家試験を受けることができるのです。

 

それでは、看護師になるためには、どこでどのような勉強をする必要があるのか。看護師になるためのルートは複数あり、3年課程と4年課程という大きく2つに分けられます。

 

看護師になるための進路

看護師になるには、4年制大学または3年以上の教育を受けて、看護師国家試験に合格する必要があります。

 

看護師になるための進路コースについては、以下の図を確認してください。
看護師受験資格を得る3年課程と4年課程の違い
この図から分かるように、看護師になるためには、高校を卒業した後で「看護大学(4年)」「看護短期大学(3年)」「看護師養成所(看護専門学校など:3年)」に通って勉強や実習などを行いながら、看護師国家試験を受けるために必要な単位をとる必要があります。

 

中学校を卒業した後で「5年一貫看護師養成課程校」に通うという方法もありますが、5年一貫看護師養成課程校の学校数は少ないため、このコースを取る人はあまりいません。

 

また、近年は医療の高度化・複雑化が進んでいます。看護師もそれに対応すべく、より高い専門性や高度な知識、技術が求められるようになってきました。そのため、看護大学の数は昭和50年には10校しかなかったにも関わらず、平成26年度には228大学になるなど、右肩上がりで増えてきています。

 

3年課程と4年課程の違い

 

「看護短期大学」「看護師養成所(看護専門学校)」の3年課程と「看護大学」の4年課程のどちらで学んでも、看護師国家試験を受けるための資格を得ることはできます。

 

それでは3年課程と4年課程の違いは何かというと、保健師の資格が取得できるかどうかです。

 

保健師になるためには、1年以上保健師になるための教育を受けたうえで保健師国家試験に合格する必要があります。そのため、看護大学では、4年間の間に保健師国家試験を受けるための単位も取ることができるのです。

 

大学によっては助産師、養護教諭1種の資格を得るための単位も取ることができます。ただし、助産師は専門性が高い職種であるため、4年間で取ろうとすると朝から晩まで講義でびっしりになります。そのため、最近では助産師の資格は大学院進学後に取得する道もできました。

 

3年課程と4年課程のどちらでも看護師資格は取得することができるため、自分の状況に合わせて進路を選択してよいと思います。

 

ただ、もしどちらにでも行ける状況なのであれば、私個人的には看護大学(4年課程)をお勧めします。

 

例えば、より高度な医療を学ぶために看護師の資格をキャリアアップさせ、専門看護師の資格を取ろうと考えたとします。このとき、大学院に進学する必要も出てきます。大学院に進むには大学卒業の要件が必須であるため、将来のステップアップを考えるのであればはじめから看護大学に進学したほうが良いでしょう。

 

社会人経験者の看護師

 

なお、看護師の特徴として社会人経験者が多いということがあります。

 

看護とは全く関係のない分野の大学、職業についていたけれども、社会人経験を経た後で看護学校に入学する人は多いです。看護学校には、「社会人枠」を備えているところも多いため、他の大学に比べるとさまざまな年齢層の人がいるのも看護学校の特徴であると思います。

 

そのため、看護学校は年齢差にはあまりとらわれずに和気あいあいとした雰囲気のところが多いです。

 

実習中や新人看護師の頃には、社会人経験者の方は自分より年下の看護師から指導されることに複雑な思いを持つこともあるかもしれません。

 

しかし、社会人を経験したことで得た豊富な経験は必ず看護業務に活きてきます。看護師は、さまざまな状況に置かれた患者さんや家族を相手にする仕事です。そのため、豊かな人生経験から生まれた「相手に対する深い共感や寄り添う心」はとても大きな武器になります。

 

このように、一見遠回りのようにも見える社会人経験ですが、看護師として働く上ではすべてが意味のあるものになります

 

社会人経験者で看護師を目指す方は、ぜひ自分の社会人経験を生かして、自分にしかできない看護をしていただけたらと思います。



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